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プレミアリーグ 第23節 リーズVSニューカッスル マッチレビュー

スタメン

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フォーメーションはどちらも4-3-3。
リーズは前節負傷したフィルポとフォーショーに代わりジョレンテとロドリゴがスタメンに起用された。

前半(1) ビルドアップの整備

ボール保持率は60%以上、xGでも前半立ち上がり以降は相手を上回る数値を出し続けたリーズ。
前節ウェストハム戦以上に、ゲームを支配していた印象を受けた。

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中でも前半10分から30分過ぎまでの20分間は多くのチャンスを作り出した。
この日のウェストハムの守備は、4-1-4-1で中盤に段差をつける形ではなく、4-3-3で中盤が横並びになり、1トップ+WGもしくはIHの1人がリーズの2CBにプレッシャーを掛ける形を取った。

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これは、前線からのプレッシャーを浴び、苦し紛れのロングボールから流れを失った前節ウェストハム戦を分析しての選択だろう。
ただし、リーズ側も前節の拙いビルドアップを受けて改善を図っていた。
リーズが狙ったのは、中盤の背後と脇のスペース。

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前述の様に、ニューカッスルの守備陣形は中盤が横並び+WGも高めの位置を取っていてカバーリングの意識は高くない。
さらに、WGもしくはIHの1人がマークを捨てて前にプレッシャーを掛けに行くため、中盤3枚の周辺には大きなスペースが生まれる。
前節はこのスペースを活用できなかったリーズだったが、今節は改善が見えた。
背後を上手く使ったのが、10分30秒のシーン。
ウィロックがプレッシャーを掛けてくる中でストライクからシェルビーの背後に流れたロドリゴへ縦パス。そこからハフィーニャ→ジェームズと繋がり決定機を演出した。
このシーンでウィロックは左のIHの位置にいたクリックを意識して消しに行っている様に見えた。ただ、ここで逆サイドにいたロドリゴが流れてきてパスを受けている。この様にIHが同サイド上に流れてくる動きはリーズの特徴である。

次に脇のスペースを使ったのが22分のシーン。
ジョエリントンからプレスを受けたジョレンテがアンカーのコッホへパス。ニューカッスルの中盤がボールウォッチャーになっている中で、コッホから落ちてきたハフィーニャが中盤の脇で受け、ロドリゴ→ハリソンボールが繋がる。ハリソンからの折り返しに再びハフィーニャが合わせるも相手選手がブロック。
コッホのパスからハリソンのクロスまで全てがダイレクトで行われた綺麗な形だった。
また、ニューカッスルの中盤からすれば前に出れば背後を使われ、ボールに喰いつけばハーフスペースを使われ、出なければアンカーにフリーで持たれてしまう。
周りに敵の選手が多すぎるという状況が続いた前半30分間だったと思う。
裏を返せばリーズとしてはこの時間に先制点を奪いたかった。

前半(2)アディショナルタイム

前半30分以降ニューカッスルは前線からのプレスを諦め、4-5-1でセットすることを選択した。
これによって中盤で使えていたスペースが狭まり、リーズの攻撃はペースダウンする。
37分には、ニューカッスルがロングボールのセカンドからチャンスを作る。
一方で、リーズもニューカッスルの攻撃の流れからカウンターと一進一退の攻防が続く。

前半のアディショナルタイムはジョエリントンの負傷による交代もあり5分。
リーズはこの時間帯にゴールキックから2度ロストしニューカッスルにチャンスを与えてしまう。
クリス・ウッドのシュートはメリエが何とかセーブ。
しかし、(結果論になるが)ニューカッスル側に勢いを与えたアディショナルタイムになってしまった。

後半 自分たちの土俵で

後半は立ち上がりから4-5-1で構えるニューカッスル。
リーズは、アンカーのコッホを経由したビルドアップやSBからの斜めのボールを使ったサイド侵入などでチャンスを伺う。
一方で、前に人数をかけるということは背後には大きなスペースが広がる。
ニューカッスルはリーズのビルドアップを引っ掛けてのショートカウンターやウッドやサン=マキシマンへのロングボールを使った攻撃を狙う。

両者の狙いがハッキリとする中で50分以降試合が動く。
具体的にはよりオープンな展開となり、目まぐるしく攻守が入れ替わる展開へと変化した。

この変化にはいくつか要因があるだろう。
1つ目は、ニューカッスル側の割り切った攻撃だ。
ハイプレスとボールポゼッションを諦め、自陣からのカウンターとロングボールを選択したことで全体が間延びし、オープンな展開となった。

2つ目の要因はリーズのプレースタイル。
リーズのスタイルとして、ボールを奪った際にスペースがあれば縦に素早く攻めることを第一に目指す。
間延びするニューカッスルに対してリーズ側もある程度間延びすることを許容した上で、カウンターの打ち合いに応じたため、オープンな展開となった。
もしリーズがシティのようにまずボール保持を第一に考えるチームであれば、ニューカッスルを押し込んでから攻撃を開始することを選び、違った展開になっていただろう。

では50分以降のオープンな展開はどちらに利をもたらしたか。
結論から言えば、74分に獲得した直接FKから決勝点を掴んだニューカッスルだろう。
しかし、個人的にはリーズ側にも勝つ目算はあったように感じる。
なぜなら、縦に速い攻撃で目まぐるしく攻守が入れ替わる「カオス」な展開はリーズの得意とするサッカーで、自分たちの土俵にニューカッスルを引き摺り込んだとも言えるからだ。
事実エランロードのリーズサポーターは前半以上に熱狂していたし、これこそが彼らの求めるフットボールだからだ。

ただ一つリーズ側が誤算だったのは、自分たちの土俵でニューカッスルに逆転の突き落としを食らってしまったことだろう。
リーズは、カウンター局面でミスを連発した。
カウンターのカウンターを打たれ徐々に消耗していく体力、さらに増えるイエローカードが確実にリーズからインテンシティを奪っていった。
74分の失点に繋がったFKも中途半端な位置でのロストから。
(もちろん失点はアンラッキーな形であった)

その後は、ファイナルサードまで引いて構えるニューカッスルに対して、ゲルハートを投入しゴールを目指すも、高さのない前線はゴールを脅かすことが出来ず、逆にカウンターを浴びピンチを招いてしまった。

そのまま0-1で試合終了、降格圏に手痛い敗戦となってしまった。

おわりに

①前線の決定力不足
②勝負所での強度不足
敗因はこの2つに尽きるだろう。
前者を解決するのは難しいかもしれないが、後者は解決可能、いや解決しなければいけない。
ホームサポーターのリアクションからしても今日のサッカーが間違いだったとは思わない。
ただ前半は、エイリングやダラスによる果敢なインターセプト、ジェームズやハリソンの献身的な守備があってゲームに安定感をもたらしていた。
守備での強度とカウンターの精度が勝負所で鍵を握る。
その為にも前半で先制点が欲しい=決定力か?

堂々巡りになるが、とにかく継続、細部にこだわりを見せて欲しい。
面白いサッカーを見せてるのだから。





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