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【サッカー×ポーカー #1】利益が欲しけりゃ金を出せ

サッカーの学際性を考える一環として、今日からサッカー×ポーカーについて少しずつ考えたことを書いていきます。(ここでのポーカーとはテキサスホールデムのことです)

サッカーとポーカー、どちらかが分かっていれば読めるように書いたつもりです。

初回はポーカーにおける基本的な考え方の利益が欲しけりゃ金を出せについてです。

※注:記事内の「お金」「チップ」「利益」はゲームを勝つために必要なポイントのことを指します。賭博行為とは関係ありません。

利益が欲しけりゃ金を出せ

ポーカーで勝負をするためには*ポッドにチップを入れる必要があります。このとき大事なのはです。得られるリターンが大きいならポッドにも沢山チップを入れなければいけません。

*ポッド: 賭けチップを入れる場所

具体的な説明に入る前にポーカーで勝負に勝つ方法についてまとめておきます。勝負に勝つには方法が2つあります。

①相手を降参させる
②お互いのカードを見せ合って強さを比べる

相手の手札がわからないポーカーで②の状況は出来るだけ避けたいものです。②の状況になる前に相手を勝負から降ろせれば、それは喜ばしいことなのです。

たとえばポッドにチップが1000あるとしましょう。勝負に勝ったプレイヤーはポッドに入っているチップを全て取ることができます。

あなたは追加で20をポッドに入れます。ポッドの合計は1020です。あなたは勝負に勝つことができるでしょうか。

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無理でしょうね。問題はあなたが取るリスクの大きさにあります。小さすぎるのです。

相手のリスクとリターンの比は20:1020=1:51で、52回のうち1回でも勝てればこの勝負に乗っていいことになります。必要な勝率は2%にも及びません。相手は勝負を挑まれたことすら気づかないでしょう。

ベットする前に戻って、今度はあなたがポッドの半分の500を投げ込むことを考えます。ポッドの合計は1500です。勝負に勝つことはできるでしょうか。

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今回はもしかしたら相手を降ろせるかもしれません。相手のリスクとリターンの比は500:1500=1:3で、4回のうち1回は勝たないといけません。25%の勝率が必要となります。

相手はこの勝率に見合わない手札では勝負を降りるでしょう。あなたの勝ちです!

相手が勝負を降りなかったらどうでしょうか?チップはまだ奪えていませんが、あなたは多くの場合で「あるもの」を得ることができているはずです。

情報です。

「相手は25%の勝率が必要な勝負に乗ってきた」という情報です。20のベットでは決して得ることができなかったものです。

ポーカーでは一つの手札に対して複数回ベットするか勝負を降りるかという意思決定をします。あなたが得た情報は次の意思決定に生きてきます。

このようにリスクを取ればポッドか情報のいずれかを得ることができます。言い換えれば、リスクを取らなければポッドも情報も得ることはできません。

ゴールが欲しければ前線に人を

サッカーで勝つにはゴールが、ゴールを取るにはシュートが必要です。ゴールが決まる確率を上げるにはいいシュートが必要で、いいシュートにはいいお膳立てが必要です。お膳立てとは味方からの決定的なパスだったり、自分の決定的なドリブルだったりします。

ではパスやドリブルを「決定的」にするには何が必要でしょうか。

確かに言えることはパスやドリブルが相手陣内で起こる必要があるということです。そのためには相手陣内に選手を送り込む必要があります。

サッカーは選手数に比べてピッチが広すぎるため、前に送り込んだ選手の分だけ後ろの人数が足りなくなります。前に選手がいればゴールの確率(リターン)は高くなりそうですが、その分反撃をくらって失点する確率(リスク)も上がるのです。

具体的な話に入る前にここでもサッカーの勝利条件について考え方を揃えておきます。

勝負に勝つ=ゴールを奪う

実際に得られた利益をリターン、そのために必要だった全然の選手をリスクとします。

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まずはノーリスクの攻撃について考えましょう。そんな攻撃が一応存在します。そんな攻撃とは「シュートで終われる為、反撃を食らうリスクがゼロ」という攻撃で、自陣から超ロングシュートという名前が付いています。

成功率はご存知のとおりで、相手のGKがアクシデントで大きく前に出ていない限りはなかなかお目にかかることはありません。

このシュートが1試合で何回も決まるとするなら、ボールをスナイパーライフルに足元に装填しているか相手の監督がファン・エスナイデルだったかのいずれかでしょう。選手の1人がハッパを吸っていてオーストラリアンフットボールをやっていると勘違いしたのかもしれませんね。

上のような状況を除けば、リスクは確かにありませんが、同じくらいリターンもないのです。

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ゴールを奪うにはどこかの時点でボールを前に運ばなければいけません。ボールを前に運ぶには運び手が必要です。

全てのサッカーチームはより多くのリスクをとって前線に選手を送ることができます。しかも、相手の状況をみてリスクの掛け方を自在に変えることができます。そして素晴らしいチームというのはリスクを小さくしながらリターン高める戦略・戦術を取ることができるのです。サッカーのような複雑性の高いスポーツで強いチームがあるというのはそういうことなのです。

数学的プレッシャーと空間的プレッシャー

大きなリスクをかければ得られるリターンは大きくなることは分かったと思います。

しかし何事にも限度があります。大きすぎるリスクは自分の首を締めることになるのです。

ポーカーの話に戻りましょう。ポーカーではベット額を高めれば勝負に勝つ確率が上がると言いました。実際にはベットを高めることで相手にかけたはずのプレッシャーは自分にも跳ね返ってきます。

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たとえばポッドの半分がベットされたとき、相手が勝負に乗るには25%の勝率が必要でした。同じことがあなたにも言えます。あなたがポッドの半分をベットするのは、それに見合う勝率があると信じているからです。

そしてベットする額(リスク)が上がれば上がるほど必要な勝率も上がっていきます。あなたが大きなベットをするにはそれ相応の理由がひつようになってくるのです。

これをポーカーの元世界チャンピオン、アニー・デュークは数学的プレッシャーと表現しています。

リターンと数学的プレッシャーのバランスを考えた上でどれくらいのリスクを取るかを決めましょう。

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サッカーも同じです。全選手が敵陣に侵入するとゴールを奪う確率は上がるかも知れませんが、自分たちも相当なプレッシャーを受けながらプレーすることになります。それもそのはず、ピッチ半分のスペースに選手が1人もいないのですから。

これを空間的プレッシャーと呼ぶことにします。

サッカーにおいてもリターンと空間的プレッシャーのバランスを見ながらかけるリスクを考えるのがいいでしょう。

最後までありがとうございました。次回はサッカー✖️ポーカーを「自然死」の観点から見ることができればと思います。

参考にした書籍

ポーカー×サッカーではこのような動画も出してます。


ありがとうございます。