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『Escape From Tarkov』で幾度となく喪失を味わった夏

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先日、仲間内で一緒に買ったEscape From Tarkovを空き時間に楽しんでいます。ここまで緊張しながらゲームをしたことはあっただろうか?というくらいに、神経をすり減らすゲーム性に日々疲れつつも、いつの間にか癖になってしまっている自分がいてびっくりします。

本作は、ロシアのとある地域を舞台にしたFPSゲームで、主な目的としては「良き物資を求めてマップを探索する」「敵と遭遇したら基本は倒す」「物資の売買により蓄えを多くしキャラクターや隠れ家を強化する」ことです。ゲームクリアやエンディングというのはいまのところなさそうなので、終始装備や基地を強化していくことになりそうです。

このFPS部分が非常にシビアかつリアル寄りに製作されていて、照準や体力など自分が与えられるHUD情報はほとんどないので、手持ちの銃器や残弾数、射撃モードや身体の状態などはその都度対応したボタンやホットキーを押して確認するしかありません。攻撃されてしまった場合、当たりどころがひどいと、よほど質の良い回復アイテムを持っていない限り治療不可になってしまい、めまいや出血、足をひきずったまま動くことになります。そのためむやみに突撃したり、何も考えずに撃ちまくってしまったりした瞬間、このゲームでは死を意味することになるのです。

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ゲームプレイとしては、出撃時PMCとSCAVのふたつの勢力から好きな方を選ぶことになります。メインキャラクターとして選ばれるのはPMC側で、こちらでプレイしたときのみ経験値が入り、プレイヤーのレベルアップが可能です。経験値は敵を倒すだけでなく、未確認アイテムの鑑定や自身への医療行為をはじめとしたさまざまな行動から得ることが出来ます。レベルが上がることで、フリーマーケットやアイテム検索機能など新たな要素が順次開放されていきますが、PMCプレイ時に死亡してしまうと、所持品はすべてロストします。気に入った武器や装備、アイテムなど、一切合切持っていかれてしまいます。このリスクを背負いながら、広いマップの端から端まで探索することになるのです。一方、経験値はゲットできませんが、装備品はランダム支給かつ物資は持って帰ることのできるSCAV側があります。こちらはゲームの流れに慣れるまでは、SCAV側でマップの下見や良さげな物資を漁りながら探索をして、PMC側で本番という形式が遊びやすいかもしれません。

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「行って漁って帰ってくる」という、言葉にしてしまえば極めて簡単なことにも関わらず、その過程でこれほどまでの緊張感を持たせられる内容に、ぼくは脱帽しました。一発撃たれてしまったら最後死を覚悟しなければならないゲームバランスに、どうあがいたとしても慎重に進むことを強いられるので、あっという間に時間が過ぎていきます。1回の出撃で30分はざらです。その間、つねに誰かから狙われているという死と喪失の隣り合わせから生まれる緊張感にジリジリと心を蝕まれていくのです。最初のうちは目の疲れや気疲れしていましたが、だんだんとこれが心地よくなってしまっている自分に恐れを抱いています。いまはただただ、良い物資を漁りたい……

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もうひとつ、個人的に好きな点としては銃器へのこだわりがすさまじく良い点があります。ひとつの銃をとってみても、細かいパーツまで改造や分解が可能です。ものによっては、銃のスライド部分やバレル部分、ダストカバーに至る部分まで取り替えて、戦闘時により扱いやすいものにしたり、または性能を度外視して見た目を良くすることも可能したりと、非常に自由度が高いです。倉庫に入れる際には、銃をすべてパーツ単位まで分解して、本体のみを収納することで省スペース化を図るということもできます。マップ中には銃器パーツのみ隠されていることが多いので拾い集めたり、手に入れづらいものは商人から買い集めたりして、最終的にひとつの銃を作り上げることができたときは、感動もひとしおです。

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僕はこのゲームをプレイし始めてから、何度も何度も何度も何度も好きな銃やパーツを奪われました。銃のベースから手に入れて、マップで見つけたり商人から手に入れたパーツを集めてようやく組み上げた銃も、一瞬にして消えてしまいます。パーマネントデス(死んだらキャラクター削除)とまではいかずとも、それに近い喪失感をこのゲームは何度も味わわせてくれます。ときにはチーターに遭遇して、キレ散らかしてしまったこともありました。あの手のゲームシステムでチーターが発生すると、それはもう最悪極まりないです。しかし、ひとたび吹っ切れると、「喪失こそ喜び」という異常事態に陥っています。実際、倉庫がパンクしたときは武器を売ったりPMC側でプレイ中にいらない装備を捨てに行く作業も加わります。喪失に対する耐性がイカれてしまってから見えてくる本作の面白さを、存分に堪能しています。

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そうしてプレイしていくうちに、本作は不思議のダンジョン作品に似ている印象を受けました。巻物や呪文を使って武器をむりやり持って帰ったあと、合成や改造をしていくことで、より有利に進めていく。もしその場で倒れてしまったら育てていた武器や防具も全ロスト。もともと不思議のダンジョンシリーズが大好きだったこともあって、喪失に対する耐性がついていたのかもしれません。今後もこの『Escape From Tarkov』での生活は続けていこうと思った次第です。ですが、そろそろ心が折れそう=闇落ち(上位エディションに課金=倉庫スペース上限増加)しそうなので、だれか助けてほしいです。皆さんもぜひこの地獄のTarkovで神経をすり減らしてみませんか?


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