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マスターピース=究極のシャツを探して。

シャツが好きだ。日常着であり、スーツを着ないぼくにとってはフォーマルでもある。とくに白シャツが好きで、ユニクロとは違う生地感を求めて着目してきた。

グラフペーパー、コモリ、オーラリー、ダイワ。おなじみのブランドの色々なシャツを着てみたが、現時点でのマスターピース=究極のシャツと言えるのはグラフペーパーのオーバーサイズシャツだ。個人的な見解であるが、シャツ選びに迷っているみなさんのために、ぼくのシャツをめぐる旅について記しておこう。

1位:【Graphpaper】Broad L/S Oversized Regular Collar Shirt

バンドカラーも良きシルエット

このシルエットは発明である。Freeのワンサイズなのに、どうして誰にでもあうのだろう。高級シーツに使用される生地をベースに作られているという生地感は、柔らかすぎず、硬すぎず。後述するコモリとオーラリーの合いの子、いや、良いとこ取りと言えよう。とくにBlueの色合いが美しいのだが、水に濡れたような謎の染みがつきやすいのが難点。いつまでも着ていたいシャツなのだが、ビッグサイズのトレンドが終わったときに、どう感じるか。あるいは、このシャツ自体がどのように変化していくのか、注目していきたい。

トーマスメイソンの生地verも美しい


2位:【COMOLI】コモリシャツ

コモリシャツのカラバリは揃えたくなる

コモリシャツは生地感が独特だ。「空気をまとう」と形容される、ふわっと薄くて軽やかな着心地は気持ちよく、洗いざらしで着られる気軽さも兼ね備えている。だが、そうしたメリットと引き換えに、あまりに脆い。洗濯機で回すことすら怖い。ぼくにとってシャツは日常着。ある程度、タフに着れないと結局、着づらいシャツとなる。そして、ぼくはコモリシャツならWhiteをオススメする。NavyやSaxは襟まわりがすぐにヤケたように色落ちして薄汚くなる。その意味でも脆い。しかし、コモリシャツにはコモリシャツにしかない雰囲気がある。頻繁に買い替えていける財力がある方にはいちばんオススメできるシャツに違いない。

でも、結局はWhiteに行き着く
オックスやベタシャンより通常版がベスト


3位:【AURALEE】WASHED FINX TWILL BIG SHIRTS

パープルもブルーも発色がきれい

オーラリーの定番シャツは、はじめて着た「良いシャツ」だった。シルクのようになめらかなフィンクスコットンの風合いは上品で、シルエットも抜群。ひと目で良いシャツを着ていることが伝わる、ような気がして、自己満足であるにせよ、着て歩くことに高揚感がある。グラフやコモリに比べるとタフさもあり、電車に乗ったり、ラーメンを食べたり、1日中、着ていても意外とシワがつきにくい。が、洗濯したらアイロンがけは必須。シーズンによって色々なカラーがあるが、どの色合いも発色がきれいなこともまたオーラリーの生地の魅力だろう。あえて言うなら、21AWのLIGHT BLUEが好き。

BIG SHIRTSとBIGでないSHIRTSがある


4位:【DAIWA PIER39】Tech Regular Collar Shirts

初期のサックスが良い色合いだった

ドカンとデカイ。そんなシルエットはさておき、注目はポリエステル100%の生地感。シーズンによってブロードな風合いやオックスフォードな風合いなど、いろんな風合いに科学的にチャレンジしているようだが、ぼくはツルツルテンのブロード見えする風合いのものが好きだった。旅をする仕事柄、シワがつきにくい点がメリットで、一晩、ハンガーにかけておけば、アイロンがけをしたかのようにピンとはる。しかし、ポリエステルの弱点なのか、洗濯により毛玉のような小傷がつきやすい点と、白の場合、襟に黄色いシミがつきやすく取りづらいのが難点。さらなる進化を希望するところだ。

5位:【PORTER CLASSIC】ロールアップシャツ

縫製や柄合わせは流石

35,200円という値段が最大のくせ者。チェックの細かい柄合わせだけでも質の良さを感じるし、背中のギャザーのような縫い付けは唯一無二。オジサンになっても品よく着られるオトナのシャツと言えそうだが、アウターに払うような金額で消耗品のシャツを着倒せるか。まぁ、これまで紹介してきたシャツも3万円ぐらいはするのだが、オジサンならではの財力がためされるところだ。

選外:【MUJI labo】洗いざらしオックスレギュラーカラーシャツ

ビッグシルエットの中でも肩が落ち感が強い

オックスフォードは洗いざらしでも着られなくはない点においては優れている。なおかつ、ぼくが求めるタフさもあり、MUJI laboであれば、7,000円という価格からしても気軽に着倒すことができる。「そう思う」ということは、ぼくの身の丈にあっているのはこの価格帯。GUやユニクロの価格帯からは卒業したものの、ドメブラの価格帯には入学できていない。そんな浪人層にぴったりなのがMUJI labo。ガシガシ着られる、という気持ち良さが、実はいちばん気持ちが良いのかもしれない。

選外:【AURALEE】SUPER LIGHT WOOL CHECK SHIRT

さすがAURALEEと言わざるを得ない生地感

素材がコットンではなくウールなので選外にしたものの、無差別級でブレイキングダウンしたら、最強はオーラリーのスーパーライトウールシャツかもしれない。とろんとした落ち感は惚れてまうほどうっとり。かつチェックのパターンはどのシーズンも美しい。あえて1位を決めるならば22AWのブラウンチェック。かと思えば、定番の無地のブラックもウールの糸の美しさが映える。リセールバリューも安定していて手放しやすく、手に入れやすい。

毎シーズン、欲しくなるカラバリ

選外:【COMOLI】デニムシャツ

なぜ人気がないのだろうか

コモリシャツのシルエットをデニムに落とし込んだ新作。あまり人気がないように感じるが、ぼくは今、このシャツにハマっている。コモリシャツの弱点であった脆さが、デニムによって緩和されているからだ。しかし、デニムのハリに対してボタンが華奢で脆い。ボタンホールも脆くて糸がやたらとほつれて飛び出してくる。そうした弱さを内包することに愛着を覚えてこそコモリを着る楽しさなのかもしれない。普段はサイズ3を着ているが、こちらはサイズ4でざっくり羽織るスタイルが気に入っている。

マルニのシャツも好きだが飽きやすい

そもそもシャツの起源は古代ローマでカエサルが着てそうな「チュニック」と言われている。それから丈が短くなり、中世にはシェイクスピアが着てそうな「襟がやたらと主張しているやつ」になる。やがて、襟の主張が落ち着きながらも様々なバリエーションに分家していき、近世アメリカで革新。下着から脱却して馴染みのある姿になっていく。

おもしろいのはシャツの語源。古くはスカンジナビア語の「スキルタ」であったと言われ、「短い着物」という意味合いだったそうな。女性の「スカート」も同じスキルタを語源とすることから、短い着物の中でも上半身に重きをおいたものがシャツで、下半身に重きをおいたものがスカートになるという。

ちなみに「ワイシャツ」は日本の造語で「WHITE SHIRT」が訛ったもの。「カッターシャツ」はミズノの創業者が考えた造語で「勝った」をもじったものだという。

AURALEEのオックスとVISVIMのオックス

シャツの魅力はなんといっても、日本において着用できる期間が長く、どんなTPO、どんなパンツ、どんな靴にも合わせやすいこと。サイズ選びを除けば、買って失敗するようなケースも少ない。万能だからこそ、ぼくのようなファッション初心者は最初に着目すべきアイテムだろう。そして、ブランドが持つ背景やこだわりを学ぶとより愛着が持てる。興味がない人からすれば、GUはともかく、ユニクロとの違いはわかりにくいが、自分をアゲるためにあるのがファッションだ。衣食住と称されるわりには、生きていくのにいちばんお金をかける必要がないのが衣料。SDGsと言われる昨今、嗜好品としての役割が増していくばかりだが、生地の魅力に取り憑かれたら離れられない。あれもこれも袖を通してみたくなる。

このようなシャツを旅してきたぼくは次に何を着るべきか。マーカウェアのテントシャツが気になっていたりはするのだが、値段を無視しても最高峰のシャツがあるなら着てみたい気もする。服や生地に詳しいみなさん、オススメのシャツがあれば教えてほしいです。

シャツ探しの旅は続く

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