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10月の花の俳句(季節を味わう#0029)

「季節を味わう」では、毎月第4水曜日にその月の花を詠んだ俳句をご紹介します。あくまでも素人の好みで選んでおります。

【木犀】

木犀やしづかに昼夜入れかはる      岡井省二

我が家では玄関先に金木犀を植えていて、毎年秋が深まってくるこの季節には良い香りを漂わせてくれます。朝、出かける時にドアを開けた時、夕方帰宅して鍵を開けている時などに、ふと香る金木犀に気持ちが和みます。
秋分の日以降、日に日に昼が短くなり、夜が長くなっている時期、昼と夜が入れ替わる時間帯は肌寒さを感じます。夏のような賑やかさ元気さはなく、「しづかに昼夜入れかはる」のを実感として理解できる句だと思います。

【竜胆】

写真:マリスコスさま

りんだうや声かけあひてザイル張る    望月たかし

竜胆は秋から冬に向かう花が少ない時期に咲きます。
花の少ない時期に咲くだけでも目立つのに、あの鮮やかな色彩にはハッとさせられるのではないでしょうか。
それが登山中ともなると、なんだか元気をもらえるかもしれません。
竜胆の鮮やかな紫に励まされ、お互いに声を掛け合ってザイルを張る様子が目に浮かぶ句です。



(2023年10月25日)


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