マキシマム ザ ホルモン炎上事件について今更振り返る


2019年7月20日にマキシマム ザ ホルモンとレペゼン地球が炎上してから一年以上が経過しました。当時はすごい勢いで叩かれており、攻撃的な人も多かったのでこの件について発信しづらかったのですが、ほとぼりも冷めてきたところで思っていることを整理していこうと思います。

流れとしては事件の概要を簡単に説明したあと、寄せられた批判の内容及びそれについての私の考えを述べていきます。最初に結論を述べておくと私個人はこの件を炎上するほどのことではないと思っている(けど一応炎上には納得してる)ので、なぜそう思っているかとか、批判している人とここが違うとか、そういうことを長々と書いていきます。

1.ホルモンとレペゼン地球に対する私のスタンス

まず初めにそれぞれのグループに対する立ち位置を明確にしておきます。

私はマキシマム ザ ホルモンの大ファンです。信者と言っても過言ではないと思います。が、なるべくこの記事内では贔屓目線を出さないように頑張ります。(100%は無理)

レペゼン地球に対してはほぼ無関心です。1回だけすごい再生されてた動画を見た事あるぐらい。好きでも嫌いでもないけど、相容れないタイプの人種だなというイメージです。


2.炎上の経緯

ネット上にまとめ記事などがたくさんあると思うので詳しくは書きませんが簡単に説明します。

2019/7/17

レペゼン地球の事務所所属のジャスミンがDJ社長からパワハラ、セクハラ被害を受けているとツイッター上で告発。それに対しマキシマムザ亮君が「DJ社長好きだったのにショック」と反応する。

2019/7/20

レペゼン地球のYouTubeチャンネルにジャスミンの告発が釣りであったことを発表し、続いてパワハラ ザ ホルモンのMVが流れる動画がアップされる。

このMVはホルモンの過去MVをオマージュしており、曲の構成もホルモン風に作られていた。MVの最後にホルモンメンバーがレペゼン地球に説教、制裁をする役割として登場した。

2019/7/21

前日に公開された動画に対し批判が集まり、両グループは謝罪文を出し、動画は非公開となった。

2019/7/26

レペゼン地球が開催を予定していた西武ドームでのライブの中止が発表された。


3.ホルモンに寄せられた批判

冒頭でも述べた通り、私個人はこの件は炎上するほどのことではないと思っています。が、一方で炎上したことは仕方ない(=炎上に値する行動をした)という認識もあります。この章の最後で少し補足します。

本章ではホルモンに寄せられた批判の中でよく見られたものをピックアップし、それぞれについてコメントしていこうと思います。以下に記すものは私がツイッターや5ch邦楽板ホルモンスレで見たホルモンに対する批判です。記憶ベースではありますが、主要な意見はカバーできていると思います。


・セクハラ、パワハラを軽視している

この意見に関して私は懐疑的というか、はっきり言うと間違ったことを言っていると思っています。

なぜかと言うと、この炎上商法は「セクハラ、パワハラは絶対にやってはいけないことである」という前提の元で行われているからです。

単純な話ですが、そもそも炎上商法は「炎上するような行動をして注目を集める」という手法なので、「セクハラパワハラをしたら炎上する(=やってはいけないことである)」という認識はあるわけですね。したがってこの一連の騒動においてレペゼン地球もホルモンもパワハラセクハラの容認は一切していないのです。(ややこしいですが今回真に炎上したのは炎上商法で、元々の狙いは告発されて炎上することです)

批判の中でも酷いのだと「じゃあホルモンのライブでは痴漢し放題ってことだな」みたいなことを言っている人もいました。

もちろんこの人達が実際に痴漢しようとしているわけではなく皮肉で言っているのはわかりますが、この前提を理解していないのだろうと思います。

ただ、この前提を踏まえた上でネタにしちゃいけないだろ、という批判に関しては理解できます。私は最初に種明かし動画を見た時「新しい切り口で面白いな」と思ったので同意はできませんが。

ここの相違は突き詰めるとネタにしていいことの基準が違う、ということになります。価値観の問題なのでどっちが正しいとかはないと思いますが、これほど炎上したということは世間はネタにしてはいけないという価値観なのだと思います。(この点で世間とのズレを大きく感じました)


・セクハラパワハラ被害に遭ったことがある人が見たら傷つく

先述のネタにしていいかどうか、という判断基準に関わってくる内容です。

これに関しては実際傷つく人はいるだろうな、と思います。ただそれをどこまで配慮するかというのはとても難しい問題で、例えばヤンキーにいじめられたことがある人がヤンキー漫画に対して同様の批判をすることに正当性があるのか、と考えると私はあまりないように感じます。

じゃあ何も配慮しなくていいのかと言われるとそれも違うとは思いますが、結局声の大きいところに配慮していく形になるのではないでしょうか。(今回の炎上も批判者が数人しかいなかったら謝罪も非公開もなかったと思います)

要は多くの人が配慮すべきだと思うことは配慮しなければならない、ということになりますね。ここでも私と世間のズレが確認できました。(私はセクハラパワハラ自体を否定しているので十分だと思いました)


・今後の被害告発が嘘だと思われるようになる

これはどうなんですかね。一回ドッキリがあったら関係ない人が告発してもドッキリだと思うようになるんでしょうか?少なくとも私個人は思いません。そういう人が絶対いないかと言われたらそりゃあ断言はできませんけど。

強いて言えばジャスミンさんが本当に告発した時の信憑性は落ちるでしょうが、最初ドッキリだと思われてもネタばらしがないので最終的には本当の事だと伝わると思います。


・予襲復讐をこんなことに使うな、あんなに大事にしてたのに

これはかなり見かけた意見です。が、この曲言うほど予襲復讐ですかね?たしかにMVの演出は予襲復讐の物が多く使われていますが、それは予襲復讐のMVを8人の監督がそれぞれ映像を作っていて、ネタになる素材が多いからではないか、という気がします。

曲として似てるのはサビで泣きメロが入るところぐらいかなあという印象です。

私はむしろUFOのCMで糞しょうもない替え歌に予襲復讐が使われた時に同じことを思いましたね。あと、関係ないけどアオハルかよ。のCMにハングリープライドが使われた時もこんなキラキラしたCMなんかに使わせてんじゃねえと思いました。

ちなみにパワハラ ザ ホルモン、MVのオマージュのクオリティもさることながら、歌詞で歌舞伎町って出てくる辺りでG'old〜en〜Guyっぽいギターが鳴っていたりしてかなり凝ってるなと思いました。

あと最後のホルモンのポアダパートはたぶん新録です。


・ホルモンは弱者の味方だと思ってたのに

これも結構見ました。が、ホルモンってそんな正義の味方みたいなイメージありました?

確かに、クラスのイケてない奴がロックでイケてる奴らをぶちのめすっていうのはホルモンの根底にあるし、実際それで我々イケてない人間はうおおやってやるぜ!!って気持ちになったりするんですが、これって亮君が自分事としてやってることにこっちが勝手に感化されてる、というイメージなんですよね。もちろんホルモンメンバーもイケてない人間にパワーを与えたいという気持ちはあると思いますが、メインは亮君自身の復讐ストーリーだと私は認識しています。

あと、そもそもホルモン(亮君)って、徹底的に自分の好き嫌いで動いて、嫌いなものはまあまあdisるしdisられた側の気持ちをそんなに考えないイメージなんですよね。(ご存知ファンモンとか、ワンピースhttps://www.55mth.com/ryotoday/index.php?n=20080427とか、堂本兄弟http://www.55mth.com/ryotoday/index.php?n=20060109とか)

なので元々そんなに弱い者の味方とか、人の気持ちを考えるというイメージはなかったです。(もちろん震災被災者への支援活動してたり、素晴らしい人達なのは知ってます)

※全て私のイメージの話をしています


・あんなしょうもない連中と絡むなんてホルモンダサすぎる

これに関してはそう思う人とそう思わない人がいる、というだけの話ですね。私は元々レペゼン地球に対して良いイメージも悪いイメージもなかったので後者です。


・くだらないことばっかしてないで曲作れ

ここまで辛辣には言いませんがクリエイティブの方向をもう少し音楽にも向けてほしいとは思っています。


・今回の件を肯定してる奴は人間として終わってる、クズだ、関わりたくない、などなど

これはホルモンに向けた批判ではないけどすごーーく記憶に残ってるので書きました。そこまで言う!?って思いました。こういうことを言ってた人にボコボコにされたくないのでこの記事は今頃になって書きました。でもあの時の怒りも多少収まってるだろうからあの人たちにもこの記事読んでもらいたいかもしれない。


振り返ると、「批判してる内容がそもそもおかしくない?」ということと「言ってることはわかるけど私はそうは思わない」というのが半々ぐらいでしたね。

後者に関しては批判に値すると考える人があれだけいるということは炎上しても仕方ないことだったのだな、自分の感覚は世間とズレているんだな、という理解をしています。

世間とズレているということは、私自身は炎上するほどのことではないと思っている、ということです。噛み砕いて言うと、頭ではダメだと理解しているけど心が追いついていない状態(心からダメなことだと思えない)です。もし仮に他の人が同じドッキリをしたとしたら、「炎上するってわかってるのになんでこんなことするんだ、バカだなあ」とは思うでしょうが、「許せない!」とはならないでしょう。

あと今回思ったのが、よくある芸能人の炎上と比べて明らかに元々ファンだった人からの批判が多いということですね。面白そうだから燃えてるところに便乗する愉快犯みたいな人があまり目立たなかった気がします。単に批判している人の数が多いだけでなく、ファンが真剣に批判している、ということも「ほんとにまずいことをしたんだな」と理解する助けになったと思います。


4.ホルモンの対応

炎上後のホルモンの対応についてはそんなに悪くなかったと思います。特に、「すぐに謝罪し、その後この件に全く触れなかった」「批判に対して言い返さなかった」ことは炎上の鎮火をかなり早めたのではないでしょうか。(ブロックはしてたみたいですが)

ただ、私はホルモンの対応について不満に思っていることが二つあります。

一つ目は動画アップロード直後のナヲのツイートです。現在は削除されていますが以下の内容でした。

女性として親として1人の人間として、セクハラ及びパワハラ、許さん!炎上商法?全然ダメ! とレペゼンを叱る立ち位置なら…と出演しましたが、ここまで嘲笑う感じになるとは思わず正直引いています。本当の被害者の方の気持ち考えて!誤解させてごめん…涙
こんなん一番嫌!次会ったらしばく。
byナヲ

このツイートに対してもかなりの数の批判リプがついていました。内容は上に書いたものや「本当に反省してるの?軽すぎる」のようなツイートの文面の軽薄さを批判するものが多かったと記憶しています。

私がこのツイートを不満に感じている理由は「きちんとオファーを受けて出演しているはずなのに後出しでレペゼン地球を批判しているから」です。こんなことは動画を表に出す前に終わらせておくべき。文面から察するに動画の内容を全て把握していたわけではないようですが、後の謝罪文で

炎上目的の本MVに出演するのはどうなのかとメンバー・スタッフ間でも様々な否定的な意見がありました。

と言っているのに動画の内容を把握しないままOKを出してしまうのは脇が甘いように思えます。一言で言うと「ホルモン側が批判に乗っかるのは違うだろ」ということです。

とはいえ、ナヲにも同情はしていて、実際動画の詳細な内容は公開されるまで知らなかったのだと思います。(あれはダメでどういう内容ならOKだと思っていたんだ?という疑問はありますが)

なぜかというと、ホルモンのコンテンツは全てマキシマムザ亮君がプロデュースしており、他のホルモンメンバーに内容を伏せたまま色々なことを決めることが多々あるからです。例えば「耳噛じる 真打」のジャケット絵や、Deka Vs Dekaのタイトルの意味を語るシーンなどは他のメンバーに内容を明かさないまま進めていたことがDVD内やスペシャ特番でわかっています。この炎上は実質亮君が全ての実権を握っているホルモンのチーム体制が悪い方に影響した結果起きた事件なのかもしれません。

ここで、二つ目の不満点に繋がります。それは「マキシマムザ亮君が表に出て来なかったこと」です。先も述べた通り、ホルモンのコンテンツは全て亮君が管理していますから、少なくとも亮君だけは動画の中身を全て知っていたはずなのです。亮君の性格上自分達のパロディーMVに自分達が出演しているのにチェックせずにOKを出すことは絶対にあり得ません。

普段から全てのコンテンツをディレクションし、レペゼン地球の動画の中身も知っていたはずの亮君が表に出て来ず、動画に口出しする権利を実質的に持っていなかったであろうナヲに謝罪を任せるのは筋が通ってないように思えます。もし批判に納得がいっていなくて謝罪したくないというのであればそれを表に出て言うべきだったと思います。

まあ本当に亮君が表に出てめちゃくちゃに批判を受けたらメンタルを病んでしまうことは確実なので1ファンとしてはナヲに任せる選択で良かったと思うのですが、客観的に見ると謝る人間が違うだろう、という気持ちはあります。


5.余談〜金属バットの炎上との類似点〜

ここからは余談です。ホルモンが炎上した約2ヶ月後に私の好きなお笑いコンビAマッソも炎上しました。内容はライブ中に「大坂なおみに今必要なものは漂白剤だ」と発言し、それが人種差別的だと批判されたものです。私はAマッソのファンですが、これはまあまあ直球の差別的発言なので燃えても仕方ないと思います。(燃やそうとは思いませんけど)

そして、Aマッソの炎上が飛び火する形でなぜか金属バットも過去の「早口言葉」という漫才を掘り起こされて人種差別だと批判されました。その批判されている台詞は「座布団黒人に運ばせてよ」「黒人が触ったもの座れるか!」の二つです。字面だけ見るとかなり酷いことを言ってますがAマッソの発言とは明らかに性質が異なり、ホルモンの炎上と似ている部分があると感じたので書いていきます。

Aマッソと金属バットの発言の性質について、Aマッソは「差別的な内容で笑いを取ろうとした」、金属バットは「差別的なことを言う、という行動で笑いを取ろうとした」、という違いがあります。詳しく説明していきます。

炎上した金属バットの漫才では途中でボケの小林が早口言葉と称して「日本人は人間に非ず。イエローモンキーなのである。」と言い、ツッコミの友保が「早口言葉に差別が入ってきた」とツッコみます。これを起点に漫才は人種の話になっていきます。ちなみにこれは「差別的な内容で笑いを取ろうとした」台詞ですが、日本人が日本人に対して自虐的に言っているからか、あまり問題視されていなかったと思います。

イエローモンキー発言に続き、小林の「黒人白人黄色人種、みんな合わせて地球人。」という早口言葉に対し友保は「イイね!黒人も白人も黄色人種も、差別なく綺麗に生きましょう!いいこと言ってるね」と称賛します。が、続いて「山田くん!小林に座布団持ってきて!黒人に運ばせてよ」とド直球の差別発言を放り込んできます。直前まで「差別はダメだよね」と言っていた人間が1秒後に差別的な発言をする。これが「差別的なことを言う、という行動で笑いを取ろうとした」、ということです。観客は差別はダメだという話の流れなんだな、と思っていますから、それを裏切られて笑ってしまう訳です。

これに対し小林は「なんで黒人に運ばすねん」とツッコミます。ボケに対してはツッコミが必要ですから、差別をする、というボケに対して差別しちゃダメだろ!というツッコミが入ったわけです(この時点では観客はそう受け取っています)。ですが小林は続いて「黒人が触ったもの座れるか!」と言い放ち、漫才は終了します。小林が「なんで黒人に運ばすねん」と言った時点では観客は友保の差別発言を小林が諫めるんだな、と想定するので更にその想定を裏切って小林が差別発言をする、というボケになっています。なので批判されている台詞はどちらとも「差別的なことを言う、という行動で笑いを取ろうとした」ものである、ということです。

長々と書きましたが、Aマッソのやったことは「差別発言」、金属バットのやったことは「差別発言をネタにした」という違いがあることがお分かりいただけたかと思います。

ホルモンの炎上で例えると、Aマッソは「セクハラパワハラをした」金属バットは「セクハラパワハラをネタにした」ということになります。そして金属バットは「セクハラ、パワハラをネタにして炎上した」。ここがホルモンの炎上との類似点だと思います。(ただし、金属バットは「セクハラパワハラをした」扱いで批判されたので炎上の仕方はやや違う)


6.最後に

(もしいれば)この長文を最後まで読んでくださりありがとうございます。

基本的に自分の思っていることを書き連ねただけなので結論みたいなものはないですが、この炎上事件で私が学んだのは「世間の感覚と大きくズレている部分がある」ということですね。所謂「価値観のアップデートができていない」状態でしょうか。ホルモンも同じことを学んだのではないかと思います。

ここわかる!とか、こう書いてるけど私はこう思う、とかここ違うんじゃない?とかあったらコメントください(あまり攻撃的に書かれると怖いのでやめてください)。特になかったらあなたの好きな今日の亮君を教えてください。私が好きなのはうんこ同士がぶつかったら相手のことを汚いと思ってる方が損する話です。(https://www.55mth.com/ryotoday/index.php?n=20080118)

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