徳島ヴォルティスポジション別2022シーズン総括&編成展望

J2最終節の山形戦に敗れ残念ながら徳島ヴォルティスの2022シーズンは終了。J1もリーグ戦がすべて終了し、ここから徳島は毎シーズン悩まされてきたストーブリーグでの戦いが始まる。
それに向けて今シーズン徳島のポジション争いがどのように変化したか、そしてストーブリーグがどのように進むかを展望(妄想)する。
各ポジションに記載した補強候補は存在を知っている選手(こんな感じの助っ人、とかではなく)の中で、願望込み込みマシマシギリギリ有り得そうなラインをついた。そりゃハーランドが欲しいよ俺は。

GK

ホセ・アウレリオ・スアレス
長谷川徹
松澤香輝
田中颯
後東尚輝(栃木シティFCへ期限付き移籍)

ホセの去就が再注目

昨年の正GK上福元直人が京都へ移籍し、大卒ルーキー田中颯を加え4人体制でスタートしたGK陣。長谷川徹が実力を発揮する一方、後東尚輝のプロデビューや松澤香輝のリーグ戦デビューというトピックもあったが、3月末に加入したホセ・アウレリオ・スアレスが圧倒的なパフォーマンスを披露。合流後はほぼすべての試合に出場した。
来年も当然ホセ中心……と言いたいところだが、ほぼすべてのスタッツでリーグ上位の数字を並べたGKをJ1が放っていくはずもなく、移籍の可能性は十分にある。「ホセの残留が最大の補強」なのは間違いないが、流出に備え候補をピックアップしておく必要はある。

中野小次郎(コンサドーレ札幌)

J2にも有力なGKはたくさんいるが、ホセの代わりと考えればJ1クラスのGKでなければ釣り合わない。そこで注目しているのが札幌の中野。徳島の下部組織出身の選手であり、将来を嘱望されるGKである。しかし札幌では菅野とのポジション争いに敗れた上、ク・ソンユンの復帰が発表されており難しい立ち位置になっている。経験を積んでレベルアップという意味でも、地元徳島で足元を磨くのも良いのではないか。

CB

カカ
内田航平
安部崇士
石尾崚雅
石井秀典
森昂大
鈴木大誠(愛媛FCへ期限付き移籍)
奥田雄大(テゲバジャーロ宮崎へ期限付き移籍)

比較的補強の優先度は低いポジション

昨シーズンオフはまさかのカカの慰留に成功。ややゴタゴタしたのもあって開幕直後はコンディションが上がらなかったが、万全になってからは内田航平とともに絶対的な存在になった。唯一のレフティで岡山での修行の成果を見せた安部崇士、やや出番に恵まれなかったが安定したプレーを見せた石尾崚雅、そして我らがキャプテン石井秀典などベンチにも実力者がおり、カカが今度こそ移籍してしまっても頭数は揃っていると言える。しかしもし流出するのであれば、J2環境保護法を破って入国する反則級FWに抗える守備力を持ったCBは欲しいところ。外国人選手からの評価がやたらと高い森昂大、対人守備に特長を持つ鈴木大誠、そして宮崎の地で成長する地元戦士奥田雄大がその役を担えるか。はたまた補強によってその術を取り戻すか。

鈴木喜丈(水戸ホーリーホック)

毎年注目している左利きCB。もともとボランチだったため技術があり、エクストリームAKBサッカーの中で対人守備も鍛えられた。アンカーでもやれそうなのが◎。久保建英と仲が良いらしいので徳島の良さを教えてあげてほしい。

チャン・ミンギュ(ジェフユナイテッド千葉)

強い・速い・意外と上手いの三拍子揃った選手で、正直なぜJ2にいるのかまったく分からない。分からないが、いる以上放っておくこともできない。急にボランチを任せられてもある程度こなしてしまう対応力の持ち主でもある。監督交代があったため移籍のタイミングとしては悪くなさそうだが、はたして。

SB

新井直人(セレッソ大阪より期限付き移籍中)
エウシーニョ
田向泰輝
川上エドオジョン智慧
藤田征也
西坂斗和(履正社高校より加入)
吹ヶ徳喜(FC今治へ期限付き移籍)
(安部崇士)

最も補強の仕方が難しいポジション

シーズン最後まで誰が出場するか予想できなかったほどポジション争いが激しかった。しかしそれはセレッソ大阪より期限付き移籍中の新井直人がいてこそ。両サイドをこなし、攻守ともにそつなくこなせる新井の存在は大きかった。所属元のC大阪がSBに困っていなさそうだが、古巣・アルビレックス新潟がJ1昇格を決めており、放っておかないのではないだろうか。何かしらのアクションは予想される。
また、田向泰輝エウシーニョ藤田征也と実力者ではあるが高齢化が激しいポジションであることも特徴。川上エドオジョン智慧吹ヶ徳喜やCBと兼任の安部の存在も含め、「数は揃っているし質もあるが層が厚いとは言えない」というところが補強を難しくしている。
理想は「SBこなせる選手」だろうが、そのような選手が果たして市場に出てくるか。新井さえ残留してくれれば何も心配ないが、そうでなければ最も頭を悩ませることになりそうだ。
一方で年代別代表も経験している純正左SB・西坂斗和の加入は楽しみで、開幕スタメンを狙えるポテンシャルの持ち主である。

田邉秀斗(川崎フロンターレ→ジェフユナイテッド千葉)

川崎から千葉へ期限付き移籍で売り出し中の若手DF。元はSBだが、千葉ではCBとして起用され身体の強さと静学・川崎仕込みの技術を存分に発揮した。川崎の選手はまず間違いないし、川崎としてもエウシーニョがいるクラブなら信頼して任せてもらえるのではないだろうか? 千葉は監督も変わるし、狙い目である。たぶんリオの1年先輩。

小田逸稀(鹿島アントラーズ)

両サイドをこなせて小柄だがパワーのあるSBというところで、新井に似た特徴を持っている。鹿島・町田・千葉と、どちらかといえばパワーイズジャスティスな経歴な持ち主であり、本人のプレースタイルもそれっぽいのだが、徳島ナイズドされるとおもしろそうである。できるかは知らない。

アンカー

白井永地
櫻井辰徳(ヴィッセル神戸より期限付き移籍中)
長谷川雄志
山下雄大(早稲田大学より加入)
岩尾憲(浦和レッズへ期限付き移籍)
森田凛(奈良クラブへ期限付き移籍)
大森博(福島ユナイテッドFCへ期限付き移籍)

白井の残留が最大の補強

白井永地の残留交渉はチームの最優先事項。一方で当然ながら最難関でもある。当初はインテリオールを主戦場としていたが、アンカーに入っては持ち前の運動量で文字通り縦横無尽に動き回ってチームに安定をもたらした。
一方で開幕当初アンカーに入っていた櫻井辰徳はプレスに強く、中央で受けて展開できるというところで最もポヤトスの理想を体現していた選手と言える。期限付き移籍で加入している選手だが、所属元のヴィッセル神戸は恒例の積極補強を行っているため、もう一年くらいは延長できるか?
その櫻井に代わって終盤バックアップメンバーを努めたのが長谷川雄志。加入直後は能力の高さは見せるもピッチ上で戸惑いを隠せずにいたが、終盤にようやく本来の姿を取り戻し、来季への期待を抱かせた。
早稲田大学より加入が発表された山下雄大は柏ユース仕込みの技術とスペシャルな左足を併せ持つレジスタタイプっぽい。あんまり知らないが小西っぽい選手と思っている。名前もそれっぽいし。
森田凛大森博の2人は修行先で順調に成長を重ねている。森田は奈良クラブのJ3昇格に貢献、大森もJ3で出場時間を伸ばしている。大型でパンチ力も持ち合わせるボランチなので、期待したいところ。
そして気にならざるをえないのが岩尾憲の去就。レンタル延長or完全移籍が既定路線のように思えたが、リカルド・ロドリゲスが実質的な解任となるなら話は別。復帰となるか、はたまた別のクラブへの移籍か。良くも悪くも影響力の大きい選手なだけに目が離せない。

佐野海舟(FC町田ゼルビア)

コンディション不良により離脱中で復帰が未定のボランチ。なのだが、それでも獲得しにいく価値がある。球際での獰猛さとは裏腹に細かいポジショニングをサボらない気の利いた選手である。先述のコンディションと町田というチェッカーズのナイフくらいに尖ったクラブで育っているのが不安要素ではあるが……まあなんとかなるんじゃないか? ハセもなんとかなったっぽいし。
町田サポーターの期待を背負いに背負いまくってる選手だが、移籍のタイミングとしては悪くないのでは? オフに弟とも遊びにいけるしな。

インテリオール

児玉駿斗
杉本太郎
玄理吾
坪井清志郎
渡井理己(ボアヴィスタFCへ期限付き移籍)
(白井永地)

優秀な選手揃うが得点力が課題

シーズン序盤は渡井理己白井永地の天下だった。しかし渡井は海外へ旅立ち、白井はチーム事情により配置転換を余儀なくされた。そのポジションを奪い取ったのが新加入の児玉駿斗。溢れ出るアイディアとそれを体現するテクニックを持つトリックスターは時にチームメイトすら欺くプレーで決定機を創出した。そしてルーキー・玄理吾はボールを持てば遜色ないプレーを披露。渡井の盟友・坪井清志郎は自慢の右足を振り抜く機会こそ少なかったが、ポジションをたらい回される中で必死に役割をこなしていった。若い力でチームを支えるところにかつての10番・杉本太郎がカムバック。チームに経験と強度をもたらし、太郎が出場した試合は、試合序盤の退場の余波で早々に交代した最終節を除けば無敗だった。
しかしこれらの選手を合わせて0得点なのは不満も不満(清志郎の得点はWGでの出場時)。児玉を筆頭にブロックの外でボールを受けて捌きたがる選手が多く、ボックス内へのアクションやミドルの精度は不足していた。また、仕方ないとはいえ守備の強度に課題を抱える選手も多く、補強するとなればそこがポイントにはなってくるだろう。

谷内田哲平(京都サンガ→栃木SC)

もともと技術には定評があったが、栃木での1年半に及ぶ修行で守備力が向上。栃木でもボランチを任される選手になったが、もともとはアタッカーであり、中央でのプレーも苦にしない。京都がプレーオフに回ったので処遇が気になるところ。

松本凪生(セレッソ大阪→ヴァンフォーレ甲府)

今年も来てくれたらなーと思っていた。ボール奪取に長け、キック力もあるタイプのセントラルであり、強度と得点力をもたらしてくれそう。今年は修行先を栃木から甲府に移したが、あまり出場機会を得られなかった。セレッソさん、徳真を育てた徳島に預けてみないか?

ウィング

西谷和希
杉森考起
浜下瑛
西野太陽
オリオラ・サンデー
藤原志龍
鈴木輪太朗イブラヒーム(FCバダロナへ期限付き移籍)
勝島新之助(ジローナFCへ期限付き移籍)

スペシャルな選手がいれば獲得へ

西谷和希杉森考起浜下瑛の三銃士(?)は健在。杉森は今季もっとも成長した選手の一人で、ボックス内への入り方が抜群によくなった。浜下は右サイドを主戦場とし、クロスでアシストを量産。西谷は一貫性を大事にするクラブの理念をピッチで最も体現してくれた選手だった。
それぞれ信頼の置ける選手だが、このポジションの最大の問題はこの3人と他のメンバーの間に差がありすぎることだ。西野太陽は天皇杯では輝きを放ったがリーグ戦では精細を欠いた。オリオラ・サンデーはポテンシャルの高さは見せたものの技術・戦術的にまだまだ未熟だった。そしてユースの至宝・藤原志龍はなんとメンバー入りすら叶わず。
消耗が激しいポジションであり、西谷・浜下あたりは顔に似合わずそれなりの年齢でもあるので補強は考えたいところ。ただし中途半端な実力ではカップ戦要員が無限に増えることになる。西谷らに匹敵する選手を獲得するのは容易ではないが、一つでもスペシャルな武器を持つ選手がいれば検討する余地はある。また、鈴木輪太朗イブラヒーム勝島新之助のスペイン修行コンビは満了であれば6月に戻ってくる。このあたりの動向も含め考えなくてはならないだろう。

髙橋大悟(清水エスパルス)

J2を観てきた人に知らない人はいない。スペシャルな左足と、運動量で北九州の攻撃を牽引した。期限付き移籍中の選手でありながら10番とキャプテンマークを背負い、降格決定時には涙を隠さなかったアツいハートの持ち主。しかし所属元の清水では出場機会を確保できず。そろそろ移籍してもよいのではないだろうか。「高橋」ではなく「髙橋」なのだが、結構いろんなところで高橋って書かれてる気がする。屋久島出身。

木村太哉(ファジアーノ岡山)

圧倒的なスタッツを叩き出すドリブラー。切り返しのキレが凄まじく、間合いに入ってしまえば抜けないDFはいない。サンデーや志龍がなりきれなかったジョーカーになりえる能力の持ち主である。その代償としておそらく守備の理解度が致命的で、頑張っているんだけどいてほしいところにいない。そこを徳島の指導力ならなんとか……なんとかならないか?? なってほしい。

センターフォワード

藤尾翔太(セレッソ大阪より期限付き移籍中)
一美和成
ムシャガ・バケンガ
佐藤晃大
棚橋尭士(国士舘大学より加入)
武田太一(FC大阪へ期限付き移籍)

藤尾・一美の去就が最大の焦点

セレッソ大阪からやってきて成長を見せた藤尾翔太、稼働率は低かったがピッチ上では存在感を見せた一美和成。この2人のうち最低1人の確保は至上命題。できれば2人ともそのまま残してもらいたい。
ムシャガ・バケンガはボックス内ではクォリティを見せたもののポゼッションへの関与が薄く、逆に佐藤晃大はゴール前でのみクォリティを発揮できなかった。武田太一はコンディションの問題もあるか、期限付き移籍先でも出場時間を確保できず。それぞれ持ち味は持っているが、やや層の厚さに不安を残す陣容となっている。
その一方で世代屈指のストライカー・棚橋尭士の加入は大朗報。サイズが小さいのでもう一つ後ろのポジション、あるいはワイドで起用されるかもしれないが、シュート力がありマークを外す動きも上手い。やや怪我がちのようではあるが、開幕から計算してよい選手だろう。

長野星輝(福島ユナイテッドFC)

大森のプレーを見に行って見つけた。デカくて、動けて、足元が柔らかい。いきなりJ2の強度でやれと言うのは難しいが、間違いないポテンシャルを持っている。このポジションは実力者はいるが、年齢層は高めで先述の通り層はそこまで厚くないので、今のうちに交代出場で経験を積ませながら主力に育てたいところ。

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