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IT会社を起業した中年”元”アドマンの冒険譚

広告代理店で20年もマーケティングをやっていた中年が、ある日ひょんな思いつきと妄想で古巣の大会社を飛び出し、システム開発の世界に足を踏み入れた。そして、かつて一度も踏み入れたことのない不動産の世界に首を突っ込み、そのままどっぷり首まで浸かってしまうことになりました。そこで見る風景は、まさに鏡の国、異次元空間。そこで立ちすくむ私の気分を言い表すなら、異星の酒場に紛れ込んだ若いルーク・スカイウォーカー(まったく若くはないところが残念ですが)といった感じでしょうか。

もともと、テレビ広告を見なくなったのはかれこれ30年近く前。以来、広告会社に勤めながら、テレビを見ない、新聞もとらない、マスメディアに触れないよう注意して暮らす日々でした。テレビがついていると夫婦でテレビに向かって文句をぶつくさ言っている感じになって、いつもお茶の間の空気が悪くなるのがいやだったんですね。なので、うちは数十年前から、テレビというデバイスは決まった海外ドラマぐらいしかみない映像機器になっています。

仕事で、テレビCMの好意度を調べるアンケート調査に明け暮れるうち「ほんとかよ」と思うことが多くなってきた。で、海外から巨大なコンテナで脳波計を会社に運び込んで、本当にCM見ながら脳が反応してるか調べてやる!なんてことを、ものすごい真面目にやっていました。

今思えば、そもそも当時自分の勤めていた会社が最も利益をあげている商品、つまりテレビ広告を心から愛せなくなってきていたのでしょう。だって、番組が面白ければ面白いほど、いいところで中断してほしくないはずじゃないか?それを暴力的に遮って脈絡のない映像が差し込まれたら、それって迷惑なんじゃないか?それって、CM好感度というよりむしろ「CM嫌悪度」なんじゃないか?みたいなことがひっかかってくるようになっていたんだとおもいます。当時、そこまで自覚はなかったですが、今思うと、そういう心の歪みが大きくなってきて、気がついたら目の前に「起業」っていう標識が立ってた。目の前の信号は青だった。気がついたら向こう側に渡ってた。。。そんな感じです。

ちょうど、脳波計測みたいなキテレツなことをやっているとき、アンケートのゲーム化みたいなアイディアが浮かんでました。早押しクイズみたいなアンケートや、ちょっとゲームっぽい設問にすると、ホンネが出てくるし、結構前向きに回答してくれるのでデータが信憑性を帯びてくるのです。でも、これをちゃんとやると、ますます自分の会社のメイン商品をディスることになるし、自傷行為っぽくなるなあ、なんてことも思っていました。

で、そんなアンケートのゲーミフィケーションっていう、これまた奇想天外な思いつきを毎日妄想しているうちに、いてもたってもいられなくなり、いい年こいて無茶な起業をしてしまった、というのがかれこれ9年も前の話です。

そこから今までは、とにかく恥ずかしい失敗、思い出したくもない苦々しい失態と、赤面するような甚だしい思い上がりの連続なのですが、そういうぐちゃぐちゃも含めて、七転八倒してきて、そのおかげで今やっと、心から信頼できる仲間に囲まれています。全員、前職とは縁もゆかりもない異星人ですが、命がけでいっしょに戦ってくれる大切な仲間です。

ここでは、そんなここまでの摩訶不思議な冒険の話=過去の話と、今、本気で取り組んでいる「不動産営業説得ロボット」の話=未来の話をしていこうかと思います。毎日、昨日の自分が恥ずかしくなる現象を抑え、恥ずかしい痕跡を勇気出して残していこうと思います(続けられるかな。。。)。

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