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時代を創る「全方位モテ」のアイコン ~赤文字モデルとモグラ女子~

4月11日発売の集英社の青年誌「ヤングジャンプ」の表紙を女性ファッション誌「Seventeen」専属モデルの加藤栞が飾った。

加藤の母はかつてViViモデルを務めた人物(名義等は不明)であり、また姉はギャル誌でモデルを務める加藤雛。
抜群のスタイルと美バスト、爽やかな笑顔を誌面で見せつける加藤は、STモデル以外にもバラエティ番組「EXITV」やAbemaTV配信ドラマ「オオカミちゃん」シリーズ(2022年の「オオカミちゃんとオオカミくんには騙されない」)などに出演し、タレント・女優として活動の幅を広げている。

ヤングジャンプへの掲載は2022年9月(「オオカミちゃん」出演の告知)以来2度目であり、今回は巻末掲載となった前回から表紙+巻頭と一気に躍進。なお、Seventeenの表紙は未経験である。
青年誌のグラビアページはグラビアアイドル、女優に限らず多くの若手女性タレントにとって名誉な仕事であり、特に表紙は爽やかな笑顔で好感度を上げ人気を獲得する好機である。特にヤングジャンプに関しては週刊プレイボーイともども集英社の雑誌なので、同社の20歳前後向け女性ファッション誌(Seventeenと姉妹誌のnon-no)の専属モデルがグラビアページを飾る機会も割と多い。
このルートでブレイクした人物には佐々木希、馬場ふみか、新川優愛、三吉彩花、川津明日香などのビッグネームが名を連ねている。そのような大躍進のチャンスをこの度加藤は掴み取ったと言える。

青年誌のグラビアは主に男性、ファッション雑誌は主に女性の読者さんが目にするものと思われるが、皆さんにとって両者を見比べる機会はさほど多くはないだろう。ネット上で見られるものに限られるが、男女向け双方のメディアで加藤が起用されているビジュアルの一例をここに挙げてみよう。
※現在のSeventeenは季刊誌となっており、主な情報は公式サイトまたはインスタ・X(Twitter)などSNSにて配信されている。

▼男性向け

▼女性向け

▼ファッションショー

Seventeenの恋愛相談企画で加藤は「モテ女No.1」と言及されている。どのメディアでも「品よく自然で接しやすい女の子らしさ」が見て取れ、Xでは長澤まさみに似ているとの声も聞かれる。

このように女性ファッション誌で専属モデルをしながら男性誌・青年誌といった男性向けのメディアで水着グラビアページを飾る女性芸能人は一般に「モグラ女子」と呼ばれている。

ファッションモデルの仕事が「着ている服やカラーメイクを魅力的に見せること」である一方、グラビアの仕事は「自分自身のボディを魅力的に見せること」という違いがある。
世界最高峰のモデルがランウェイを歩くパリコレなどを見るとお分かり頂けるかと思うが、大多数のファッションモデルは「色々なサイズの服を着る」ことに特化した身体作りをしているため「手足は細長く、胸は無い」体型をしており、基本的に「お色気アピール」には向いていない。一方、グラビアにおいて魅力的に見えるスタイルは(あくまでも日本人男性的な価値観ではあるが)「二の腕や太ももはほどほどに肉付きが良くおっぱいにボリュームがある」タイプであり、ファッションモデルにおいて理想とされるスタイルとは大きく好対照であると言える。
モグラ女子とはその大きく対極的な二つのアピールを一つの肢体で実現する存在であり、実際にモグラ女子をしている女性芸能人の多くが「表現の違い」を体感したと語っている。

このモグラ女子は、特に「赤文字系」とは親和性が強いと言え、赤文字系雑誌人気専属モデルの多くがグラビアに進出している。
「赤文字系」とは「モテ」を着飾る動機に位置づけるファッションカルチャーであり、そのようなファッションを提案している雑誌(JJ, CanCam, ViVi, Ray等)の題字の色がある時期まで赤で統一されていたことに因んでそう呼ばれる。

ヤングジャンプ、週刊プレイボーイ、メンズノンノなど青年誌・男性向け雑誌を多く発行する集英社では、先に挙げた佐々木希らを筆頭に多くの赤文字系モデルを自社の男性向け雑誌のグラビア特集(メンズノンノでは着回し特集の女性ゲスト枠にも)に出演させるなど積極的な「モグラ女子」のマーケティングを展開している。
また、講談社ではViViの増刊号として「びびぐら」を展開し、その第2弾で専属モデル(当時)の古畑星夏をフィーチャーした。

「赤文字系」においては以下のようなスタイルが定番であり魅力的とされている。男性目線で言うならばいずれも分かりやすく「品よくかわいい」スタイルと言えるだろう。(ViViはやや方向性が異なるが…)

この「モテ」とは、言い換えれば「男から見てその人の性を魅力的と感じる」ということであり、つまり「モテたい」とは究極的には「色気・女らしさの追求」に他ならない。この「女の色気のアピール」こそ「赤文字系」というファッションの本質的に目指すところと言える。
そのように考えると、「赤文字系」と「モグラ女子」は好相性であることが分かるだろう。

このようなモデルはヴィクトリア・ベッカム、ミランダ・カーなど欧米系諸国にもまあまあいるが、その大部分は本職をファッションモデルとしていないので「ファッションモデルを本職としながらグラビアで売っていく」人物が比較的多いのは日本のモデル市場の「世界的にレアな傾向」と言える。

余談ではあるが、近年日本共産党を筆頭に左派野党(いわゆる「野党共闘系」、批判的な立場からは「立憲共産党」とも)がこのような「女の色気」を仕事にする女性(グラビアアイドル、萌えアニメの制作者等)を悪魔の如く嫌悪し地方議員の権力を振りかざして仕事を失わせる動きが散見される。「赤文字系」支持者としてこのような傾向には警鐘を鳴らしておきたい。
(このような政策姿勢には宗教的価値観の押しつけという問題もあるのだが、これはまた別の機会に…)

話を戻すと、「モテたい」願望を「着飾る(見てくれを良くする)動機」に持ってくる「赤文字系ファッション」と「グラビアアイドル」には「女の色気をアピールする」という方向性において共通点があり、その結果として赤文字系のモデルには多くの「モグラ女子」が誕生、または進出している、ということが言える。

このような「モグラ女子」や赤文字系モデルは、主に芸能事務所の売り込みによってデビューして誌面を飾るため、女優やテレビタレントを主要な活動としている人物が多数派で、またその体型・スタイルも先に述べたパリコレのトップモデルのようなものよりも、一般に「そこまで身長は高くなく出るとこは出てる」と言われるような体型が割と多い。この点においても彼女たちは「男性目線での女らしさ」を体現するアイコンになっていると言える。

そういえばnon-no最新号で専属モデルデビューした乃木坂46の井上和(いのうえ・なぎ)もそのようなタイプと分類できるだろう。

女性向けにはファッションモデルとして、男性向けにはタレント・芸能人としてのスター性と女らしさを日々アピールしている彼女たちは、まさに「男女全方位に向けたモテのアイコン」であり、時代の顔と言える。

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