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いわゆる陰謀論者へのdisを巡る私見

最近はいわゆる陰謀論者をバカにすることが流行っているらしいが、私のスタンスはこうである。

昨今の陰謀論叩きの潮流は、(いわゆる)陰謀論者からの被害者によって行われるならまだしも、そうでなしに、知的権威からの危険信号(という体裁をとった晒し)によって発生しているように私には映る。ならば、下手にそれに加担することは止めておいた方がいい。私の周囲でその手の問題が起きたらそれはそれとして対処を考えるが、それは、インターネット空間で大っぴらにdisを執拗に続けることとは別問題だ。

そもそも、陰謀論にだってレベルがある。

正直、これだけ濃淡があるものを「陰謀論」と一括りにしてdisるような人間に知性は感じない。が、当の本人らは自分が知的であり知性に裏付けられた論理でもって陰謀論者を撃破していくことを楽しんでいる。ついていけない。

これがエスカレートすればおそらく信教の自由の否定に行き着くだろうとは思っている。昔であれば、たとえば爬虫人人類征服計画を唱えながら大したお咎めもなく寿命を迎えた太田竜(1930-2009)のように、自由は維持されていたが、今後この流れが加速すれば、ちょっとTwitterで呟いたりnoteで文章を発表したりするだけで危険分子と認定されることになるのではないか。

コロナワクチンだって、どうも接種後死亡というのが認定されたようだ。特に悪いことにはなっていないのが多数派であるようだが、しかし、接種後死亡というニュースを聞かないわけではない。
新型コロナワクチン接種後に死亡した男女2人 "因果関係否定できない" 青森県内初の死亡認定 |日テレNEWS NNN (ntv.co.jp)

某弁護士の「巨大なロシアンルーレット」という喩えは間違っていないのかもしれぬ。興味深いのは、いわゆる医クラ(SNS上の医者界隈)が、ワクチンについて安全性をアピールすることよりも、「過激なワクチン否定派」をdisることに躍起になっていることだ。

ワクチン肯定

a.打たない奴と絶縁
b.打つことを勧める
c.打つ
d.打たない
e.打たないことを勧める
f.打った奴と絶縁

ワクチン否定

たとえば上のようなa-fのグラデーションがあったとして、ワクチン接種率を上げたい医クラがやるべき仕事はd,eくらいの穏健な連中に助言して打ってもらうことなのだが、彼らはそれをするだけの知識がおそらくない。ないので、fの更に奥の過激派の発言を探し、笑いものにして満足するのだ。彼らはもはや目的を忘れてゲームに堕ちており、とてもプロフェッショナルとは呼びがたい。いま、日本のワクチン接種率が明らかに伸び悩んでいる所以でもある。

そういえば、最近はこんなツイートもした。

「オーガニックな食事は発達障害の症状を改善させることができる」という旨の投稿をした立憲民主党の川田龍平という議員がいるのだが、彼のその投稿に対しての米山隆一(彼もまた立憲の議員だ)の反応を巡って、バトルが起きた。

米山隆一は、川田龍平の投稿のその科学的内容について否定したが、あくまで「思想は人それぞれ」という姿勢は崩さない。

https://togetter.com/li/2273784より引用

これに医クラが猛反発。要は、医学デマは人身に影響を与えるから悪質であり、何かしらの処分をせよと米山隆一に求めているらしかった。ここに一つの傲慢さがある。科学的誤りを発信したからと言って、それは発信者の否定には繋がり得ず、それを簡単に否定することは端的に言って傲慢なのだ。正しさを建前とした強烈な排斥を疑おう。

(そもそも、医者というのは病院のなかでは権力者なので多少傲慢になっても仕方がない。ところが、その傲慢さは政治の世界では通用しない。政治は政治の論理で動いており、医学や科学の論理では動かない。医学部を出ていながら政治家でもある米山隆一はそれをよく理解しているので、このバトルに勝てたのだろう)

医療的管理主義とも呼ぶべき、医学的正しさを盾にした権力の横行を疑っていくべし。

学生という身分で政治や思想に興味ありまっせという顔をしていると色んなテーマを持った運動を知ることになる。反戦だったりフェミニズムだったり反原発だったり学費値下げだったり障碍者支援だったり…。そんな中、反ワクチンに焦点をあてたものが殆どないことに気づく。京都大学では、ほんとうにくだらない企画が開催されたという。

実際どうなったかは知らないが、外側から見れば揶揄目的としか見えない。悪名高い731部隊を生んだ大学という自覚が足りない。731部隊と京都大医学部とは|文化・ライフ|地域のニュース|京都新聞 (kyoto-np.co.jp)

学生は学生ゆえに反知性主義にハマれない。ゆえに野蛮・トンデモとかいう印象を植えつけられた反ワクチンの擁護すらしづらいということなのだろう。やはりこれはポストコロナ時代の重要なテーマとなる気がする。

(追記)(2023.12.21)
エセ医療ビジネス問題について、昨日このような投稿をした。

エセ医療ビジネスを解体するために必要なことは、「なんか偉い人が言っていることを信用する」という態度そのものをとりあえず改めることである。「科学リテラシーを向上させよ、論文として掲載されたものだけ信用せよ」というのは、要は「主流派たる俺たちの陣営に入れ」と言っているだけなのだ。たいていの場合、それでうまくいくのだろうが、コロナ禍のような非常事態では、彼ら専門家の言うことを〝聞かない方が〟満足度の高い生活を送れたに違いないというのが正直な感想である。

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