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トイレで過ごした青春の日々

わたしは潰瘍性大腸炎という難病を15歳の時に発症しました。現在は23歳で、絵やものづくりを通して病気を発信するために活動をしています。
今日は、私がトイレで過ごした青春のお話をしようと思います。

今日からあなたは難病です

15歳のある日、トイレに行くと便に少し血が混じっているような気がしました。気のせいかなと思っていると、次第に腹痛が強くなり、血が噴き出るようになりました。すぐに病院へ行くと「潰瘍性大腸炎」と診断を受け、1週間程入院をしました。正直自分が難病と言われてもよく分からず、そこまで症状が酷くなかったので、その後は自分が難病であることを忘れていました。

潰瘍性大腸炎には活動期かつどうき寛解期かんかいきがあり、腸が活発になって炎症しやすい活動期と症状が安定して普通に過ごせる寛解期を、波のように交互に繰り返す病気とされています。悪化の時期が長い人や短い人、血便が出る人や、突然倒れて救急車に運ばれる人など...症状は人それぞれです。

それから5年ほど時が経ち、洋服を作る専門学校で勉強をしていました。学校生活では、定期テスト、検定試験、アルバイト、ファッションショーのモデルもやっていたので、モデルのレッスンもありました。家に着くのは23時過ぎだったので、白目を剥きながら課題をしていました。

中々ハードスケジュールでしたが、友達も沢山できて毎日がとても楽しかったです。しかし、頑張れば頑張るほどトイレへ行く回数が増えていきました。体調が酷い時は、一日に10回以上はトイレへ駆け込み、一回のトイレで長いと4時間掛かる時もありました。

トイレに呼ばれている

まず起きたらトイレに行きます。
食事をしたらお腹を下してしまうので、朝食は取らずにトイレに行ってから家を出ます。
電車に乗る前に一応トイレに行きます。
特急に乗るので10分我慢しますが、体調が悪い時、クーラーが当たる時、寒い日は高確率で漏れます。
学校に着いたら真っ先にトイレに行きます。
トイレにいる時間が長いので、みんなが使わない場所にあるトイレでSTまで時間を過ごします。
授業中、友達との会話の途中、食事中、テスト中もトイレに行きます。行きたくないです。
バイト中も勿論トイレに行き、やっと家に着いてお風呂と課題を済ませた後、寝る前にトイレに行きます。寝ていても、深夜に突然目が覚めてトイレへ走ります。
トイレに行き過ぎて1日のほとんどをトイレにいると言っても過言ではないくらいトイレに行きます。夜中にトイレに行く習慣ができてしまったので、ベットにいたはずが、目が覚めるとトイレにいたことがあります。便器の中からアラームが鳴っていました。忘れられない恐怖体験です。

見た目は普通

トイレに行く頻度やタイミングは先述した通りです。どんな時も便意を感じたら0.5秒で行かないと漏れます。3秒以内に行かないと漏れます。その為、楽しい会話中をぶち壊してでもトイレに行かないといけません。少しでも気を遣ったら後が大変です。見た目は普通、中身は難病だと人間関係が大変です。コイツ空気読めないやつだ!って思われますし、学校やバイト中に何十回、何十分も行くと、高確率でサボりだと感じます。体調大丈夫?と言ってくれる人はごくわずかなので、天使だと思って尽くします。

小学校の時にドアに指を挟んで骨折した時の方が労わってもらえたので、症状が目に見えないのも中々大変だなと思いました。

見えなくても、見てくれる人は必ずいる

自分が難病であることを打ち明けた時に、そうだったんだね...と悲しい顔をする人、そうなんだ〜と軽く受け流す人、どういうこと?と疑問を感じる人、気付かなくてごめんね...と謝る人。色んな反応を見てきました。反応に正解も不正解もないけれど、体験したことのない自分の経験や気持ちを想像してくれるのはとても嬉しいです。病気だからこそ明るく振る舞っていましたが、身体は全然言うことを聞きませんでした。再び入院することになり、学校は退学して、憧れだったアパレルのバイトも辞めました。本当に辛い時に声をかけてくれたり、話を聞いてくれる友人達のお陰でなんとか生きています。

私は今まで病気の人が周りにいても、なんて声をかけたらいいか分かりませんでしたが、目に見えない自分の悩みや苦しみを理解しようとしてくれる姿勢が嬉しいです。話を聞いてくれるだけで涙が出そうです。たまに「可哀想」と言われることがありますが、それは見当違いです。
可哀想とは客観的に見てなのか、健康的な人と比較してそう思うのか分かりませんが、私は自分が可哀想だと思ったことは一度もないです。
大変だったことや辛かったことは沢山ありますが、どんなに辛くて苦しいことが起きても、必ず立ち上がる強い人間だと思っています。
困っている人や悩んでいる人、今も難病で苦しむ人のために、そして何より自分自身のためにnoteを始めました。みんなの悩みが、どこか遠くに飛んでいって流れ星になっちゃえ〜と思いながら書いています。

トイレで心が洗われる

トイレで過ごした苦行を乗り越えた私は、現在かなり回復しました。今ではトイレ...我慢できちゃうんです。自分の肛門に感動しています。
精神的にも肉体的にも鍛えられたので、トイレは修行場であり、青春であり、マイホームです。アナザースカイに出演できるとしたら、是非実家のトイレでロケをしたいですね。

人は目に見えるものに惑わされやすいです。
顔、服装、収入、会社、学歴、身長...見えるものは比較しやすいし、見えるからとても分かりやすいです。安心するし判断しやすいです。
しかし、それが本当に素晴らしい人間を表すものかどうかは心の中を覗いてみないと分かりません。私はトイレで過ごした修行の中で、審美眼しんびがんを身につけました。審美眼とは美しいものや綺麗で価値のあるものを見極める能力のことを指します。このスーパー能力についてはまた今度の記事で深掘りしますが、「自分にとって本当に大切なもの」を見つけることができました。家族、友人、新たな夢や目標、生きることの素晴らしさです。この文章を書きながら、自分ちょっとスピってるな〜と、こそばゆいですがトイレ修行のお陰で心が洗われました。
(※スピってる:スピリチュアルの意)

死にそうなくらい辛い時も、夢のために努力していた時も、素敵な友達と出会い笑いあった日も、トイレと共に過ごした青春の日々でした。いつかトイレのような純白で美しい存在になれるように精進します!トイレ最高!

最後までご覧いただきありがとうございました!私の記事を通して少しでも元気に、前向きで明るい気持ちになれたら嬉しいです。

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