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リーダーの夢は、みんなの夢を叶えること「導く勇気、優しさを胸に」イベスト感想【プロセカ】

「守りたい夢もないから 答えのない日々 でもそれは優しさではないんだろう?なぁ」

 一歩を踏み出した初めての穂波バナーイベスト「揺れるまま、でも君は前へ」の書き下ろし曲『霽(は)れを待つ』が今回改めて刺さりました。
 一歌が手を引いてもう一度4人で繋がれるまで、誰かにバカにされても貫くような「くだらない夢もないまま」、自らは動けず「君を待つ日々」でした。誰も傷つけたくなくて何も選べなかった優柔不断な優しさから、決断して意思を伝える勇気を得て、誰かを守れる力強い優しさを得ていきました。もう体現できない「優しさではない」ものではありません。

 一方で、自分の夢が、自分が音楽を通して伝えたいものがあるわけではありません。志歩と一緒にプロを目指すと決めた時は一歌と咲希もそうでしたが、2人は曲作りなどを通じて自分が届けたいものを見出していきました。
 いざプロになって「目指す音楽」を問われ、悩んだ穂波が出した結論は「みんなの想いを叶えられる力になりたい」。言ってしまえば私が目指す音楽は無い、3人が目指す音楽が私の音楽だというのは、とても穂波らしいです。
 「夢を持つことが大切だ」と言う人は多々いますが、「友達の夢を叶えるのが夢」というのは、そういった人の想定にはあまりなさそうに思えます。一般的に"夢"は○○になる・○○をするという自己実現か、先生になって子どもたちの夢を支えるといった広い他者への貢献が典型的です。特に優しく世話好きな人からは、広い他者への貢献が連想されますが、別にみんながみんなそうした夢でなくたっていいのです。誰かの力になりたいという想いを雑に一般化せず、他の誰でもない友達3人の想いを叶えるんだというある種のエゴを率直に示しているのが最高に良いです。今の穂波なら「守りたい夢」は友達3人の夢だと堂々と言えるでしょう。

 それぞれが目指す音楽も決まり、マネージャー真堂さんからバンドのリーダーになることを打診され、みんなからも推された穂波は即決します。皆の期待を裏切りたくないからではなく「私がそうしたいから」、みんなを支えたという意志で選びました。宣言した後の心の声にも表れていますが、決して心配とか怖さを感じなくなったわけじゃないんですよね。でも、心配や怖さを乗り越える勇気や意志で越えていく、超人的でないとても等身大の強さです。

 それぞれの想いを明確にしたことで、逆に演奏にまとまりがなくなるという壁に当たったLeo/need。楽曲1つ1つの意図をみんなですり合わせ共通理解を深めますが、協調を意識しすぎると勢いがなくなります。真堂さんに相談すると、誰かが指揮を執り皆を導けばいいと、そのための技量をつけるため個人特訓となりました。メンバーの想いのすれ違いがなければプロとして活躍したであろう真堂さんの実力は明確で、マンツーマンで指導を受けます。 
 おそらくバントは文化的にも、全て独学という人も多いと思います。現代はネットで情報・教材も多数見つかるでしょう。それでも、指導者がその場で課題を指摘し修正法を提案して、それを直ぐに実践できるという練習は、(合う合わないはあるにせよ一般に)自力より凄い効率で実力を高めます。今までバント経験値は高いけどあくまでベーシストである志歩の指導しか受けてこなかった(ミクたちは多分見守る役割が主なので技能を直接授けることはなさそう)であろう穂波にとって、大きな成長の機会です。

志歩はもちろん、一歌も歌に関しては結構譲れない思い入れがありそう。

 「音楽のことで力になれないのがずっと歯がゆかった」穂波が、音楽外の精神的支柱だけでなく、演奏でも個々の想いを大切にしながらLeo/needとしてまとめ上げる支柱となりました。「私がもっと強かったら」と思うことしかできず本当に辛かったメインストーリーから、皆を導く強さを得た姿が今回の書き下ろし曲『レグルス』に詰まっていました。

画像出典:『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』イベントストーリー「導く勇気、優しさを胸に」2024年、
SEGA・Colorful Palette・Crypton Future Media
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