日本で最初の親子ゲンカ

天照大御神(アマテラスオオミカミ)という太陽の女神、月読命(ツクヨミノミコト)という月の男神、建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)という嵐の男神が生まれました。素晴らしい神々が生まれたことを、伊邪那岐神(イザナキノカミ)は大変お喜びになり、

イザナキ「たくさん子供を生んできたけど、最後に三柱の貴い子=三貴子(みはしらのうずのみこ)を得た!最高や!」

と仰せになりました。そして、自らの首飾りを天照大御神に授け、こう命ぜられました。

イザナキ「よっしゃ、お嬢は高天原(たかまがはら)に上がって、昼の世界を治めよか。ほんでお兄ちゃん(月読命)は夜之食国(よるのおすのくに)=夜の世界を治めて、タケ(建速須佐之男命)は海原(うなはら)=海の国を治めることにしよ。これでいっちょ上がりや!」

しかし、建速須佐之男命は父からの言いつけを守らず、泣きわめいてばかりいらっしゃいました。それは、顎髭が胸元に届くほどに成長しても変わりませんでした。

建速須佐之男命は荒々しい性格の嵐の神であるだけに、泣きわめくだけで風が荒れ狂い、青々とした山はことごとく枯れ山となり、河と海は、須佐之男命の涙として吸い上げられ、ことごとく干上がってしまいました。これにより、悪しき神の声が夏の蠅のように満ちあふれ、ありとあらゆる災いが起こりました。

息子の鬼ニートっぷりが心配になった伊邪那岐神が須佐之男命を呼び出します。

イザナキ「お前、ずっと泣いてばっかりで、海の国を全然治めへんやんか。なんで泣いてるんや?お父さんに言うてみ?」

スサノオ「うわぁ〜〜〜ん!うわぁ〜〜〜ん!」

イザナキ「泣いてばかりやったらわからへんやろ?お父さんに言うてごらん?ほら。」

スサノオ「グスン、、、お母さんに会いたい。」

イザナキ「いやいや、お前は俺の鼻から生まれたんやから、俺はお前のお父さんでもあるけど、お母さんでもあるんよ。」

スサノオ「なに言ってるかわからへん。」

イザナキ「俺もわからへんよ。けど、実際そうやねんからそうやねん。」

スサノオ「聞いたもん。元々はお母さんがいたって。」

イザナキ「、、、」

スサノオ「死んじゃって、今は根之堅州国(ねのかたすくに)にいるって聞いたもん!」

イザナキ「たしかに、死者の国にいることはいるけど、」

スサノオ「会いに行きたい!」

イザナキ「あかん!死者の国になんて行ったら、二度と帰ってこられへんくなる!今は俺がお前のお母さんでもあるねん!」

スサノオ「だからそれ意味がわからへんの!本物のお母さんに会いたい!」

イザナキ「!!!!本物のお母さんってなんや!俺も本物のお母さんや!いや、俺が本物のお母さんや!!!!!!」

スサノオ「もういやや!死んだお母さんがいる国にいく!」

イザナキ「勝手にせえ!二度とこの国に帰ってくるな!」

伊邪那岐神は須佐之男命の天つ神(あまつかみ)の身分を剥奪し、追放しました。

イザナキ「本物のお母さんか、、、」

須佐之男命を追放したのを機に、伊邪那岐神は淡海(おうみ)の多賀、今の滋賀県多賀町に移って隠棲なされました。

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いつの時代も、親子はケンカしますね。

次回、日本で最初の姉弟ゲンカ


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