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笑いは世界を照らす?

太陽の神様である天照大御神(アマテラスオオミカミ)が自らその御身を天の岩屋戸(あまのいわやと)に隠してしまわれました。

八百万の神(やおよろずのかみ)は困りに困り、天の安の河(あめのやすのかわ)の河原に集まって、対策を考えましたが、大した案は出てこず、結局『知恵の神』で知られる思金神(オモイカネノカミ)に相談することにしました。思金神は、高天原(たかまのはら)に最初に現れた三柱の神のうちの一柱である高御産巣日神(タカミムスヒノカミ)の子です。相談を受けた思金神はこう答えます。

オモイカネ「・・・祭りしかないな。」

八百万の神「祭り!?」

オモイカネ「天の岩屋戸の前でどんちゃん騒ぎをしたら「あれ?何してるんやろ?」と気になって、天照大御神様が自分から出てくると思わへん?」

八百万の神「思う!」

さっそく神々は祭りの準備に取り掛かります。まず、常世の長鳴鶏(とこよのながなきどり)が集められ、一斉に鳴かせました。長鳴鶏とはニワトリのことです。ニワトリを鳴かせることは太陽の出現を意味していて、悪神や悪霊を追い払うまじないでもあります。

次に、天の安の河の上流にある、鉄を鍛えるのに使う『天の固石(あめのかたいし)』を採取し、高天原の鉱山である『天の金山(あめのかなやま)』の鉄を採掘し、鍛冶屋を探して、伊斯許理度売命(イシコリドメノミコト)に命じて鏡を作らせ、また玉祖命(タマノオヤノミコト)に命じて八尺勾玉(やさかのまがたま)をたくさん使った玉飾りを作らせました。これで必要な神器が揃いました。この時に作られた鏡が『八尺鏡(やたのかがみ)』で、玉飾りが『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』です。やがて天皇の皇位の印である『三種の神器』のうちの二つになります。

そして、天児屋命(アメノコヤネノミコト)と布刀玉命(フトタマノミコト)をお召しになって、まずはこの作戦がうまくいくかどうかの占いをさせたところ「絶対うまくいく!」という結果が出たので、さらに祭りの準備を進めます。

天の香山(あめのかぐやま)の、よく茂った榊(さかき)の木を根ごと掘り出して、上の枝には八尺瓊勾玉の玉飾りを取り付け、中の枝には八尺鏡を取り付け、下の枝には木綿と麻をたくさん束ねて作った『幣飾り(ぬさかざり)』を垂らしました。

この美しく派手に飾った榊の木を布刀玉命が取り持ち、天児屋命は、天照大御神が岩屋戸の中からお出ましになるように、祝福の祝詞(のりと)を奏上しました。岩屋戸のすぐ脇には、腕力の神様である天手力男命(アメノタヂカラオノミコト)が隠れ立ち、戸が緩むのを待ちました。これで準備は完璧です。

オモイカネ「さぁみんな大いに騒げぃ!祭りじゃぁ〜〜〜!」

岩屋戸の前で神楽が始まりました。踊り手は、今か今かと出番を待っていた天宇受売命(アメノウズメノミコト)という女神です。

天の香山の『日陰蔓(ひかげかずら)』というツル草をたすき掛けし、『天之真析(あめのまさき)』という、これまたツル性の植物を髪飾りにして、天の香山の笹の葉を束ねて持ち、逆さまにした桶の裏を「ととん!ととん!」と踏み鳴らし、踊り狂いました。

八百万の神「ピィ〜〜〜ィ!(指笛)いいぞいいぞ!踊れ踊れ〜!」

と盛り上がって見せてはいるものの、心のどこかで「嘘の祭りってバレへんかなぁ。。」と思っていたのかもしれません。

岩屋戸の中に隠れている天照大御神も、

アマテラス「祭りの音がするけど、盛り上がり方がなんか嘘っぽい。もしかして、私をここから出すための演技ちゃう?そんなんで騙されへんもん!」

と見抜いていたのかもしれません。

しかし、そのときテンションが上がりすぎて、神懸かり(かむがかり)して狂喜乱舞している天宇受売命の着衣がはだけました。そして、胸乳(むなち)すなわち乳房がおもいっきりあらわになりました。

八百万の神「!!!」

さらに、腰に結んだ紐がほどけ、陰部まで丸見えになりました。

八百万の神「!!!!!」

八百万の神々は一瞬ドン引きしましたが、それに構わず踊り続ける天宇受売命を見ていると、だんだんおもしろくなってきて、最終的には演技も忘れて大爆笑しました。

オモイカネ「狙い通りや!アメノウズメならやってくれると思っとった!」

すべては思金神の計算だったのです。八百万の神々は、嘘の祭りであることを忘れて、本気で楽しみだしました。その楽しげな声を聞いた天照大御神も、

アマテラス「あれ?これガチのやつちゃうん?」

と信じられました。こうなると、外が気になって気になって仕方がない天照大御神です。

アマテラス「あかん。めっちゃくちゃ外見たい。」

天照大御神は、ついに岩屋戸に手をかけられました。

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古事記によりますと、これが日本で最初の『お笑い』であり、日本で初めて爆笑をとった神様は『天宇受売命』ということになります。しかも、女性の裸踊りです。ただ、女性の神様でありながら、乳房が見えても、陰部が見えても、引かれずに大爆笑を取ったという記述を見る限り、おそらく『ゆりやんレトリィバァ』に近いお姿だったのではないかと想像しております。

今でも芸能の神様として天宇受売命が祭られている神社に参拝させていただいておりますが、時間がない時はゆりやん本人に手を合わさせていただこうと企んでいます。




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