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1年前④

中学校からの同級生の『よじょうちゃん』とコンビを組むことになった。

コンビになるにはなったが、僕が『ツッコミ』で、よじょうちゃんが『ボケ』ということに対して、僕はまだ懐疑的だった。

そもそも、小学校からの同級生『うだぞう』を誘ったとき、僕が『ボケ』になるつもりだったし、もっというと、


『よじょうちゃんのボケって、見たことないなぁ。』


と思っていたからだ。

どちらかというと、よじょうちゃんは、他人のミスを見逃さないタイプというか、誰かが変なことをしたときに、


「それって、○○みたいになってるやん!」


と、たとえツッコミなんかをしているイメージだった。しかし、コンビを組もうと誘ったのは僕であり、


「俺、ボケしか出来へんで?」


と、モテ男のテンションでOKしたきたのがよじょうちゃんだったので、僕は、


『付き合ってもらってる』


という感覚もあったので、役割については、あまり深く考えないようにした。

そこからの数ヶ月は、お互い恥ずかしがっていたのか、『コンビ』みたいな雰囲気は感じながらも、あまりお笑いのことには触れない期間だった。

この当時の主な活動は、毎週月曜日に我が家によじょうちゃんが来て、お酒を飲みながら、恋愛バラエティ『あいのり』を観るということ。


『ヒデがアヤに恋していたが、アヤはアラシが好きだった。』

この言葉で全て伝わった方は同世代ですね。僕は自分の世代を

『REVIEW世代』

と名付けています。学生時代、誰の家にも絶対にGLAYのベストアルバム『REVIEW』があった世代という意味です。

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春頃にコンビを組み、そこから不毛な活動(あいのりを見るだけ)をしていた僕たち。そのまま夏が過ぎ、秋が来て、あいのりの主題歌が、スピッツの『スターゲイザー』から、Miの『未来の地図』に変わって、冬を迎えた。


『M-1グランプリ2004』は、よじょうちゃんと2人で見た。すごく照れくさい感じはあったが、お互い、去年とは違うテンションで見ていたと思う。


『もしかしたら、コレに来年出場すんのか、、、』


という感覚があった。だからだろうか、見ながら、無駄に口数が多かった思う。決勝スタート前、敗者復活戦のメンバーが映り、その下にテロップで、40組ほどのコンビ名が流れているのを見ている時によじょうちゃんが言った、


「誰やねん!一人も知らんわ!」


というセリフは、来年、見事に自分たちに突き刺さることになる。


決勝本番が始まり、優勝候補の笑い飯さんがあまりふるわなかった中で、またあらたなジャンルの漫才を目の当たりにした。


『南海キャンディーズ』


山里さんを見て、衝撃が走った。


「ツッコミでも笑い取っていいんか。、、、ってか、こんなにも笑い取っていいんか!?お客さんも審査員も、もうツッコミを待ってるやん!」


お笑いをやる以上、自分はボケをやるものと思っていたが、少し思いが変わった瞬間だった。いや、むしろ、


『とんでもない世界に足を踏み入れようとしてんねんから、今までやったこと無いことをやるのもアリかも。』


とまで思っていたかもしれない。そんな表情を、よじょうちゃんも読み取ったのか、


「山里系のツッコミやったらいいんちゃう?」


と言ってきた。


『こいつ、心を読んでんのか?いや、コンビって以心伝心っていうもんな。俺のこと、めっちゃ見てくれてるってことや!』


と思った。今思えば、完全にまぐれだったと思うが。

これで、よじょうちゃんがボケ、僕がツッコミという、各々の役割が決定した。

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