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スサノオVSヤマタノオロチ

怪物が現れるのを待っていた須佐之男命(スサノオノミコト)の前に、ついに八俣遠呂知(ヤマタノオロチ)が現れました。

スサノオ「こいつがオロチか。聞いていた通りの姿やな。キモッ!」

さすがの須佐之男命も、その異様さに一瞬たじろぎます。

垣根を超えて庭に入ってこようとした遠呂知が、庭に置かれた八つの酒船(さかぶね)に気づき、それぞれに頭を突っ込んでガブガブと飲み始めました。酒は遠呂知の大好物です。

しばらくすると酒がまわり、八つの首がひとつ、またひとつとうなだれていき、ついにはすべての頭が眠ってしまいました。

スサノオ「しゃあ!作戦通りじゃい!」

須佐之男命は腰に帯びていた『十拳剣(とつかのつるぎ)』をスラリと抜き、寝ている遠呂知に切りかかられます。そして、八つの首それぞれをズタズタに切り刻むと、おびただしい量の血が吹き出し、その血が斐伊川(ひいかわ)に流れ込み、川は真っ赤に染まりました。

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この須佐之男命が八俣遠呂知を倒すときに用いた酒を『八塩折之酒(やしおりのさけ)』といいます。映画『シン・ゴジラ』にて、ゴジラを倒す作戦であった『ヤシオリ作戦』はこの物語からきています。さらに、須佐之男命が振るった『十拳剣』は、その名を『天羽々斬(あめのはばきり)』といい、ヤシオリ作戦の際に用いられたポンプ車隊の名前が『アメノハバキリ』です。あのシーンをよく聞いてみると、本部との無線のやりとりで「アメノハバキリ01(まるひと)了解。」と答えています。

さらにさらに、漫画『ワンピース』において、ワノ国編で光月おでんが持っていた二本の刀の名前が『閻魔』と『天羽々斬』です。そして、敵の名前が『オロチ』です。絶対どこかで関係してきそうだなとワクワクしております。

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さらに須佐之男命が遠呂知の尾をお切りになったとき、何か堅いもの当たった手応えを感じられました。

スサノオ「、、、十拳剣が欠けちゃった。」

思わず風の谷のナウシカっぽいことをおっしゃった須佐之男命ですが、尾の中に何かあるとお思いになり、尾を縦に切り裂かれると、中からそれはそれは神々しい剣が出てきました。

スサノオ「いや、どういう意味!?なんで?なんで剣?」

この剣はのちに『草薙剣(くさなぎのつるぎ)』と呼ばれます。

須佐之男命は高天原にいらっしゃる天照大御神(アマテラスオオミカミ)に、八俣遠呂知を倒したこと、妻を娶ったことなど、ことごとくを報告なさり、尾から出てきた素晴らしい剣を献上なさいました。

天照大御神が天の岩屋戸(あめのいわやと)にお隠れになったときに使われた『八尺鏡(やたのかがみ)』と『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』、そしてこの『草薙剣』が、今に続く天皇の位の印である『三種の神器』です。

この須佐之男命の誠実な態度をご覧になられた天照大御神は、

アマテラス「あんなにも暴れん坊っだったあの子が、他人のために怪物と戦って、結婚もして、しかも私にプレゼントまで、、、お姉ちゃん嬉しい。」

と、たいそうお喜びになり、長くこじれていた姉弟の関係もついに改善されました。

葦原中国(あしはらなかつくに)に戻られた須佐之男命は、出雲にて新婚生活のための宮殿を建てる土地をお探しになりました。そして、広々とした緑の多い土地に行き着いたとき、

スサノオ「うわぁー!すがすがしいー!すがすがしいからこの地を『須賀(すが)』と名付けようっと!」

と仰せになり、その土地に『須賀の宮』という宮殿を建てられました。すっかり穏やかになられた須佐之男命は駄洒落も絶好調であらせられました。

そして、須賀の宮を建てようとしたとき、その地から美しい雲が天空高く立ち上りました。

スサノオ「マジで『出雲』じゃん。。」

そして次の歌をお詠みになりました。

「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」

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古事記には数々の和歌が収録されていますが、この和歌が最初の和歌であり、平安時代に作られた『古今和歌集』の序文を書いた紀貫之(きのつらゆき)は、この歌が日本で最初の『三十一文字(みそひともじ)』であると述べています。三十一文字とは和歌のことです。日本で最初に和歌を詠んだのは、須佐之男命だったのです。

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