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バナナから見た世界(2021年度弁論大会中学2位)

 今回、この弁論大会に出るにあたって、僕が考えてきたテーマは、ズバリ「バナナについて」です。

「なんでやねん、どうしてこのせっかくの弁論大会で、なんでバナナとかいう意味わかんない果物の話をするんだよ」

 と、思われた方も多いでしょう。

 しかし、バナナは皆さんが思っている以上にすごい果物なのです。

 最初に、バナナにはたくさんの糖質が含まれています。

 その中でも特に優秀な「ブドウ糖」「果糖」という糖質についてそれぞれ解説すると、

 まず、ブドウ糖は、動物が生きるためのエネルギー源であり、唯一、脳のエネルギーになれる物質です。

 次に、果糖は、バナナに含まれている一番多い糖質で、穏やかに体に吸収されるため、血糖値が上がることもなく、肥満防止効果があると言われています。

 またバナナの糖質は、食べてから20分ほどでエネルギーに変わり、エネルギー効果も長く続きます。そのため、スポーツや、長時間の勉強などに向いています。スポーツ選手が試合の合間にバナナを食べている姿を見たことがある人も多いのではないでしょうか。

 ところで、皆さんは松尾芭蕉を知っていますよね?

 じつは、バナナの木は、江戸時代、日本では芭蕉と呼ばれ、松尾芭蕉の名前の由来になったのです。

 また東京オリンピックで話題になった卓球のチキータという技、この「チキータ」は球の起動がバナナの形に似ているためバナナのブランド名が名前になったのです。

 このように、皆さんの思いもよらないところにバナナは潜んでいます。

 さらに、バナナから「世界の問題」も見えてきます。

 みなさんスーパーでバナナ一房5本は、何円で売っていると思いますか? 考えてみてください。

 正解は、150円程です。安い時には100円程で売られています。安すぎると思いませんか?

 なぜこんなに安いのでしょう?

 その安すぎるバナナの裏には、現地の労働者の過酷な労働状況があります。安すぎるバナナは、フィリピンなどのバナナを作っている労働者が安い賃金で働いている証拠なのです。彼らの日給は、アメリカで売られているバナナ一房の値段と同じとも言われています。

 また、1996年プロサッカーのスペインリーグの試合中、後半30分のあたりで、ダニエウ アウベス選手というブラジル人の選手が、敵チームのサポーターにバナナを投げつけられるという事件がありました。

 マリオカートじゃねえよって話ですよね。

 なぜ彼はバナナを投げつけられたのでしょう?

 アウベス選手は、黒人でした。人種差別的な意味で、

「黒人は猿と同じだからバナナでも食ってろ」

 と、バナナを投げつけられたのです。

 普通なら、バナナをそんな意味で投げつけられたら怒りますよね。

 しかしアウベス選手は、バナナを食べたのです。

 「最高に大人な対応」「かっこいい」などとネットでも話題になりました。彼はそこでバナナを食べた事によって、差別を飲み込んだのです。

 このように、台所に転がっているバナナ一つを見ても、さまざまなことが浮かび上がってきます。

 皆さんも時間がある時は、暇を持て余すのではなく、なにか身近なひとつのことに着目して、色々なことを考えてみてはどうでしょうか?

 あっ、ちなみに人間の遺伝子とバナナの遺伝子って

 50パーセント同じなんですよ。

 ご静聴ありがとうございました。

受賞コメント

 僕、実はこの弁論大会最初は出るつもりなかったんですよ。

 「は? じゃあなんで出てんだよ」と思われた方に説明すると、

 僕のクラスでは弁論大会に出るつもりがなくても、

 演題と大まかな内容を考えて出す、

 という宿題がでたんですよ。しかも提出期限までに出さないと出さなかった人はなんと言おうと強制的にクラス予選に出場させるという宿題だったんですね。

 勘の良い方ならもうお気づきでしょう。

 そうです。

 僕、宿題出さなかったんです。

 宿題出さなくて、僕、クラス予選に出ることになったんですよ。

 僕はその時決めました

 出るからには1位目指すぐらいの本気でやろうと。

 そして良い弁論にするためにはどうしなければならないかを考えました。

 どうせならみんなが思い付かないようなテーマにしよう。

 そこで思いついたテーマが「バナナについて」です。

 このテーマなら聞き手にインパクトを与えられる、印象に残る弁論ができると思いました。

 そして僕はそのバナナについてという演題で準優勝することができました。

 最後まで応援してくれた家族や友人、そして一房のバナナにこの言葉を送ります。

 「ありがとう」

(中学1年)

Photo by Alberto Gasco on Unsplash

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