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【エクストリーム登校】最後のアオハル編①登校前に二人のお気に入りの場所行ってみた

 新感覚・青春アクティビティ、エクストリーム登校。
 クラスでのたわいもない会話から生まれ、2021年度獅子児祭の一コンテンツとして発信されてきたANNEXお馴染み企画だ。
 始動から11ヶ月が経ち、もはや僕らの人生の「青春」と呼べる時間も残り少なくなってきていた。
 こうして、僕らの青春に有終の美を飾るために、今回の「【エクストリーム登校】~最後のアオハル編~」が開催された。

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 午前4時、iPadから聴き慣れた木琴のアラームが鳴り響く。小学生の頃は憧れた時代もあったハイテクなこの音も、今となっては安眠を妨害する騒音としか思えなくなってしまったことには一抹の悲しさを覚える。おまけに前日は午後から塾があったせいで家に帰って来てから床に入ったのが深夜1時となってしまい、気分は絶不調のまま僕の最後のエクストリーム登校は幕を開けた。重たい瞼をなんとか開かせて家を出る。第一回の神社巡りでは不安に感じた夜道も、これが最後になるのかと思うとどこか哀愁漂う道へと早変わりした。

 そんなこんなで東京駅へと向かい、今回も前回と同じチームのS君との待ち合わせ場所へと急いだ。僕は今年の夏に2度も約束の時間に遅刻してしまったこともあり、予定よりも余裕を持って目的地に行ったため彼より早く到着し、既に発車準備をしていた電車内で待つことにした。しかし待てど暮らせど彼は来ず、発車1、2分前になってしまったので焦って電車から降りて彼が降りてくる予定の階段を見ると、走りながら下ってくるのが見えたので胸を撫で下ろし、なんとか合流することに成功した。
 さて、ではここで今回僕たちが向かうことにした場所の1つ目を紹介することにしよう。それは葛西臨海公園駅だ。正確に言うとJR京葉線の潮見駅、新木場駅間にある鉄橋だ。というのも、この橋は途中で急カーブする仕組みになっているので、電車が橋の上を走っている間は葛西臨海公園の観覧車を横から見ることができ、それが面白いとS君がいったのでその風景を撮ることにしたのだ。

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 まあ正直何が面白いのか話を聞いた段階の僕にもよくわからなかったが、実際に乗ってみるとついさっきまで横の窓から遠くの位置に見えていた観覧車が、数分後には目の前にやって来たのでこの鉄橋から見える景色が面白いと言う彼の主張にも頷けた。また、写真を見ればわかるように僕達が窓を眺めていた時は丁度日の出の時間帯だったので、その朝焼けに少し感動していたというのも彼の言い分に肯定的になった理由の1つなのだろう。

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 だが、呑気に景色を味わっている時間は僕らにはない。実はこの他にも訪れる予定の場所があったのだ。それは上野にある東京国立博物館、略して東博だ。現地に着いた時には朝焼けの時間が過ぎ、既に朝の時間帯となっていたので葛西臨海公園駅に居た時程の非日常感は味わえなかった。ただ、入って正面から見える本館の荘厳さは依然来館した者を圧倒し、文化の結晶たる東博への内部へと誘っている。それだけでなく、左手に見える表慶館の優美な様と右手に見える東洋館の奇を衒うことのない佇まいも、東博全体を上野にある他の施設とは一線を画す存在へと昇華させる舞台装置としての役割を果たしていた。
 ちなみに、ここを訪れたいと言ったのは僕の方で、それはここは僕が歴史を学ぶ上で何度も世話になった場所だからだ。歴史、特に文化史を学ぶ際に我々は教科書や資料集に載っている写真を見て満足しがちだが、それでは生きた体験として身につくことはないだろう。時に友人に教え、時に友人や展示物から教えられる、そんな施設であるここを僕はどうしても紹介したかったのだ。恐らく僕がここについてこれ以上語ろうとすると話がどんどん逸れていくのは目に見えているので、これくらいで東博の話については締めさせてもらうことにする。

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 さて、これにて当初目的としていた場所を全て巡り終わったのでこれから急いで学校に向かう訳だが、当時は丁度通勤ラッシュの時間帯と被っていたせいで想像以上の混み具合の中電車に乗ることになり、ここでもかなり疲れてしまった。そして比較的空いていた山手線に乗り換えたところでついに今回のエクストリーム登校で最初から引きずっていた問題が牙を剝いた。そう、睡眠不足だ。これにより僕は完全に意識が朦朧として「歩くゾンビ」と化してしまったため何よりの目的である登校自体が危険視される状態となったものの、なんとか朝の冷気に当たって正気を取り戻しつつ無事に学校へと辿り着いたのであった。(ちなみにこの日の午後に僕が再び奴の毒牙にかかることになったのはまた別の話である)

Mr.salt(高校2年)

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