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  • 書を拾い、旅に出よう

    本が好き。旅も好き。 本に関する素敵noteを拾ってます。読むと出かけたくなるはず。

  • 【連載】あれこれと、あーと

    gallery hyphenのオーナーによる独り言。 「身近にひそむアート」をテーマに、あれこれとつぶやきます。 サイトはこちら→http://gallery-hyphen.lomo.jp/

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美術館で心をとりもどす。

−丸亀平井美術館を知っていますか? 香川県の中心部に位置する宇多津町。鎌倉〜室町時代は四国の海運の要所として栄え、神社仏閣や古街、遍路道が残る歴史ある町だ。 ここに私のルーツともいえる美術館がある。 丸亀平井美術館。1993年に開館し、現代スペインを代表するアーティストによる90年代以降の作品を扱う小さな美術館だ。 アイスの甘い残り香をさがして。おや、不時着した宇宙船かな? 私の最も古い記憶の中にある美術館。大好きなのに、遠い昔に置いてきてしまった恋人のような存在。ア

    • おい、お前はどうなんだよ。

      私は写真集が好きだ。 ページをめくるたび、ぐわわっと作品が現れて毎回「おお!」と新鮮な驚きを味わえるし、じっくりなめるように見たり、食い入るように近寄って見たりしてもだれにも怒られない。展覧会では気が付かなかったことや見落としていたディティールも発見できたりして、楽しみが尽きない。 いつでも好きな時に写真家の目で見た世界を体感できるから、とても贅沢な鑑賞体験だと思う。印刷や装丁、構成にもこだわったものが多いし、写真家の世界観や思想がしっかり反映されているものなどは、是非とも

      • 名もなき記憶の欠片たち。そして寂しさ

        「目もくれず」という言葉がある。 少しの興味・関心も示さない。 見向きもしない。 という意味だ。 とめどなく眼に飛び込んでくる世界 人間の五感から得る知覚は、その大部分が視覚による。人は、一瞬一瞬、膨大に流れてくる情報を瞳に受け止め、凄まじいスピードで処理し、知覚と選別を繰り返す。視覚のそれは他の器官を圧倒的に凌駕する媒体なのだ。 たとえば朝、眠りから覚めた時。あなたは目を瞬かせながら外の世界を写していくだろう。波打つシーツや時計の文字盤、部屋に差し込む光や外の様子など

        • 世界に、やわらかな線を引く。

          5月の夜。荻窪にあるカフェ、arkku(アルック)にてMihoko Onodera氏の個展「Miho - Abstract」- Abstract」を鑑賞する。 みほこさんは私の古くからの友人で、久しくSNS上の繋がりに留まっていたが、最近また制作活動を再開されたと知り、かげながら応援していた。個展のお知らせを頂いたときはとても嬉しかったし、これは必ず行かねばと思った。 アートと触れ合う時間は貴重だ。けど、うかうかしていると鑑賞のチャンスを逃してしまう。私など、ご丁寧に手帳

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          3本
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          10本

        記事

          言葉を超えて。

          「私の言語の限界は、私の世界の限界を意味する。」 これは、哲学者ヴィトゲンシュタインの言葉だ。私はこの言葉を「思考の限界は自らの言語に起因する」と捉えていて、ゆえに「思考の限界=世界の限界だ」と思う。 9月、久しぶりにアート/空家 二人を訪問した。このギャラリーが居を構えるのは蒲田駅付近の住宅街。古民家を改築し、現代アートを取り扱っている。 夕暮れ時。靴を脱いでお家に上がると、 玄関先でオーナーの三木さんが温かい笑顔に迎えてくれた。部屋にはずらり作品が展示されていて、

          言葉を超えて。

          友田もえが紡ぐ、静かなるfantasìa

          “home” それは、想いが、思い出が、積みかさなる場所。 あの頃、そばにいた人、そばにあったもの…あなたは覚えていますか? 「世界の片隅から顔を覗かせる、ユーモア」 友田もえは広島県出身・東京都在住のイラストレーター。 言葉や物語からインスピレーションを受け、動物や食べ物などのモチーフを好み、やわらかなタッチと深みのある色彩が魅力です。 観る人の心を静かにノックし、イメージが沁み込んでくるようです。 彼女が描く思い出と空想が混ざった小さなせかいたち。 それは、ユーモラ

          友田もえが紡ぐ、静かなるfantasìa

          それでも、「滅び」は美しい。 第三稿

          刹那を斬り、一瞬の美を永遠にする男 アート/空家 二人を訪問した後日、今度は東京工芸大学 写大ギャラリーで開催中の土門拳写真展へ向かった。 土門拳は戦後日本を代表する写真家だ。 『文楽』『ヒロシマ』『筑豊のこどもたち』など、日本の伝統文化や社会性の高いテーマを主軸とし、「リアリズム写真」を追求し続けた人である。 「写真の鬼」とも呼ばれた土門拳は、徹底したリアリズムで、対象の一瞬をファインダーに収める天才だ。完全主義者であり、辛抱強く執念深い男。 被写体を前にして、納得

          それでも、「滅び」は美しい。 第三稿

          それでも、「滅び」は美しい。 第二稿

          田中義樹 《ウォーホル》 これは、アート/空家 二人の企画展、「NITO10」で鑑賞した作品だ。 田中 義樹 《ウォーホル》 2022年 文庫本、模型 手前に三島由紀夫著『金閣寺』の文庫本、その奥にミニチュア模型の銀閣寺がちょこんと置かれている。先にこの作品を見ていた人が、可笑しそうにくすくす笑っている。なんだろうと私も近寄ってみるが、よくわからない。 三木さんが声を掛けてくれて「文庫本、よく見てみてください」と言う。どれどれと手に取ってみると… 銀になった『金閣寺

          それでも、「滅び」は美しい。 第二稿

          それでも、「滅び」は美しい。 第一稿

          アート/空家 二人 GWに、現代アートを取り扱うギャラリー「アート/空家 二人」を訪問した。ここは、作品を1万円から販売していて、購入されるごとに次回作の価格が上がるという独自のシステムを導入しているギャラリーだ。 一軒家を改造して作られたという展示空間は、明るく広々としていて、作品をじっくりと堪能できる。室内は、畳や台所、洗面所などの住居設備はそのままにしていて、「家感」がそこかしこに漂っているのがなんとも良い。 畳の上に映像作品が流れていたり、台所の側に立体作品がど

          それでも、「滅び」は美しい。 第一稿

          遠い日の、花火

          恋の話ではないです。 幼い頃、姉に連れられて百貨店で開催されている「山下清展」に行った。その時多分小学校低学年くらい?で、きちんと絵を見たのは、この時がはじめてだったと思う。 当時私はフジテレビ系列で放送されていたドラマ『裸の大将放浪記』に夢中で、毎回テレビにかじりつく勢いで見ていた。芦屋雁之助さん扮する山下清がなんとも愛らしくユーモラスだった。坊主頭、ランニングシャツに半ズボン、リュックに傘、手にはスケッチブックとおむすび。少年がそのままおじさんになってしまったような姿

          遠い日の、花火

          はじめは、ビー玉だった。

          【連載】あれこれと、あーと Vol.1 幼い頃、夜市に行くと真っ先にやったのが「宝石すくい」。 ビニールプールに浮かべられた、チープなおもちゃたち。煌びやかなビー玉やアクリルアイスが水の中でジャラジャラとひしめき合って、それらが夜市のギラつく光に照らされると、眩いばかりの輝きをみせる。その様は、幼い少女の心を射止めるにはじゅうぶん魅力的だ。 母にねだったのか、なけなしのお小遣いから捻出したのかは覚えてないけど、帰る頃にはてのひらいっぱいにビー玉。ニコニコ顔の私。大人た

          はじめは、ビー玉だった。