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「ザ・ビートルズ:Get Back」感想文②

前回から1か月以上経っての2回目です。今ちょうど映画館で屋上のシーンが上映してるんですかね。なので今回はその辺を絡めて。相変わらずネタバレ的な書き方をしますので、これからまっさらな気持ちで見たい人には不向きの文章です。

所謂「Rooftop Concert」と呼ばれる出来事について


屋上での演奏に関しては、僕はライブだとは思えたことないし、今回見てもそう思う。強いて書くならば、プロジェクト当初の「ライブ特番」に対する辻褄合わせの「ライブ風」の絵面が欲しい為だけに行われたようにすら思う。尤も、その時期になってまで合わせるような辻褄があったのかな?とは思う。今の感覚からすると、番販の都合でライブシーンは含まなきゃならなかった?とも考えられなくもないけど、50年前だしグダグダの状態で始まったプロジェクトだからそこまで考えもなかったろうし。ともかく、僕はあの屋上での演奏は、ゲリラ的に街中で行った野外レコーディングの一環ぐらいにしか思えないです。

結果的には「コンサート」扱いになった


でも、本人達的にはライブ的な手応えがあったんだろうなってのは、興奮した様子でプレイバックを聴くメンバーの映像で感じられた。あのシーンで作品自体も終わりだとハッピーエンド感は出るよね。しかし困ったことに、ここまで律義に時系列で進めてきたので、翌日にピアノやアコースティックをメインとした曲を「スタジオライブ形式」で撮った映像を無視するわけにいかなくなる。で、その翌日のセッションは結構ダラっとした感じになってしまっている。これどうするんだろ?と思っていたら、エンドロールの横にちょこちょこ流すという処理で済ませていたのは、なるほどと思いました。ちなみに、この日のダラッとした感じの要因の一つに、「ジョンが嫌々ベースを担当している」(今回の作品にも、別日の映像だけどポールからジョンのベースへのダメ出しに対し、子供のような対応する様子が出てくる)があると思うのですが、これと関連した個人的にBeatles最大の謎だと思ってる「何故ポールは「The Long And Winding Road」のベースをあのままにしているのか?」はまた別の機会に書きます。

その実現に至るまでの様子で


意外だったのは、屋上での演奏にポールは前日までうだうだ言ってたってこと。ポールはそのアイデアにノリノリだったと思ってた。うだうだ言うポールを横に、「僕はやりたい」とビシッと言うリンゴの姿も印象的なシーン。ちなみに、屋上での演奏というアイデアが出た際に好反応だったことから、当日までに屋上の補強作業が行われていたとのことで、それを踏まえてポールのうだうだっぷりを見ると、アップルから金がズルズルと流出していってる真っ最中であることを思い出してしまい、嗚呼アップルマネーよ…となってしまう。やっぱりちゃんと諸々を監視してくれる人が必要だったと実感させられた。

演奏について


今回の「ザ・ビートルズ:Get Back」を通しで見ると、あの四人(と一人)が数十分間一致団結してレコード化しても遜色ない演奏を何曲も残したのがいかに奇跡的か、ちょっとどうかと思うくらい強調されているように思える。でも当時の押し曲であったろう「Get Back」と「Don't Let Me Down」をそれぞれ複数回演奏しておいて、結局当時はスタジオ録音の方が採用されたってのは、まぁそういうことよ!って感じなのかな。でも最初から採用されたのは「One After 909」だけってのも、そこまででは・・・と思えなくもない。「One After 909」と「I've Got A Feeling」は良い演奏だと思います。あまり触れられないけど、リンゴがこの所謂「Get Back Session」からドラムを新調してるんですよね。タㇺとシンバル類は単純に数が増えている(タムは結局あまり使わなかった様子)ので、それまでより派手な印象が残るドラミングもこの時期の特徴に思えます。映像見る限り相変わらずタオルが掛かっててミュートはしてますが、スタジオ録音より外での演奏であるこの日の方がより派手に聴こえるのもこの屋上セッションの賜物ではないでしょうか。

今日も長くなったのでここまでにします。次ぐらいでこの話題最後にしたいです。次はもうちょっと小ネタ的になるかな。

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