記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

ドラえもん映画の時期にこれぶつける胆力よ「デッドデッドデーモン デデデデデストラクション」

浅野いにお原作のSF青春漫画を前後編のアニメ映画化した作品で、本作はその前章にあたります。
謎の巨大円盤が東京上空に浮遊し続ける日本を舞台に、それでも緩く楽しい日常を過ごす主人公達と、その中で着実に進行している崩壊のカウントダウンが、精緻でよく動くアニメーションと、迫力の音響で表現されていました。

私は原作漫画は、最初の何巻かで購読が止まっており、ちょっと合わない作品だなあ、と思いつつも、漏れ聞こえる終盤の感想に、どこかでまとめて読まないといけないなあ、と思っていました。

今回本作がアニメ映画化されたことで、最後までストーリーを楽しめる期待にワクワクしているところです。
見た目は可愛らしい宇宙人達の思惑や門出たちの過去など、数多くの謎が残され、また後半からメインキャラクターに合流しそうな人物たちが、どのようにストーリーに絡んでくるのか、本当に楽しみです。

恐らく全12巻のストーリーの内、6巻分くらいをまとめたと思われる前章ですが、私からすると全く端折った印象は感じられず、むしろゆったり丁寧にアニメ化しているように思えました。
それでいて途中で挟まれる門出とおんたんの回想シーンは急展開で、今まで見ていたものがひっくり返るような衝撃を与えてくれたり。

監督の黒川智之さんは、少年少女が活躍するSFジュブナイル「ぼくらのよあけ」も評判が良かったですね。未見なので見ねば。
脚本の吉田玲子さんは、数々の名作アニメの脚本を担当していますが、聲の形や若おかみは小学生など、長い原作の要素をしっかりつかんで映画に落とし込むことに定評のある方だと思っており、本作でもその手腕を発揮されたのかな、と想像したりしています。

また、本作でしばしば言及される作品内作品、「イソベやん」。完全に「ドラえもん」のパロディで、私たちがのび太について感じていた思いが、まんま語られるシーンなどもあります。
後半の回想パートで語られる悲劇などは、どくさいスイッチを手にしたのび太を生々しくしたかのよう。国民的アニメと言われて久しいドラえもんですが、結構毒っ気もあるエピソードも多く、道具に溺れて破滅するエピソードなどは、決してほのぼの見れるだけでないものもあります。
デデデデがドラえもんのアンサーとまでは思いませんが、無害な感動漫画と思ってんじゃねーぞ、というメッセージを感じたり。
「空を自由に飛べたらどうします?」も複雑な問いかけに思えましたし。
丁度3月から劇場版ドラえもんが上映されているそのタイミングでこういう作品も上映される、その豊かさこそが今のアニメ映画の強みだと感じました。

構成的にも滅茶苦茶続きが気になる所で終わった前章。5月に公開される後章にむけて、とりあえずネタバレ踏まないよう待ちたいと思います。

この記事が参加している募集

アニメ感想文

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?