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トイレ気にする間もなし!「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」

3時間20分超えの大作映画ですので、鑑賞に迷う原因の一番はトイレ問題かと思います。
参考までに私の鑑賞記録を。
鑑賞50分前にラーメン、チャーハンを食べて水もそれなりに飲んで劇場へ。
事前にトイレをすませ、上映中はお茶をちょっと飲んだ程度では、特にトイレに行きたくなることはありませんでした。
利尿作用のある飲み物は、アルコール、カフェイン、砂糖含むものですので、それさえ避ければ結構長時間でも保つと思います。
劇場なら、塩バターポップコーンと烏龍茶がベター(烏龍茶にも多少カフェインは含まれますが)でしょうか。

さて、本作の感想ですが、実話ベースの凄惨な事件を、首謀者でも捜査官でもなく、首謀者に言われるまま、妻の家族を手に掛ける男を主人公にしたことで、ジャンル映画では得られないエモーショナルな作品になっていたと思います。

レオナルド・ディカプリオ演じるアーネスト・バークハートは、恐らく根は悪い人じゃないのでしょうが、とにかく深く考えない男として描かれていました。
そんな彼が、本作の黒幕であるキングことウィリアム・ヘイルにいいように操られ、ネイティブ・アメリカンである妻の姉妹を間接的に手をかけて、彼女たちオセージ族が持つ石油利権を簒奪しようとする様子は、恐ろしくも愚かしく、ブラックなドリフのコントを見ているような気持ちになります。

人種差別、絶対的な力を持つ家長に逆らえないマチズモ的な価値観など、アメリカのみならず、人間が持つ悪しき面を露悪的に描いていますが、何よりこれがたった100年前に起こった史実ということが恐ろしい話ですね。

本作で一番ゾッとするシーンは、アーネストや弟が、妻であるモリーの姉妹を殺害した直後、何食わぬ顔で彼女に接し、ソファで眠る場面でした。彼らの良心の呵責を一切感じないシーンはその後もたびたび見られ、アーネストが妻を愛している事と、金のために彼女の縁者を殺す事に殆ど葛藤を覚えないその元こそが差別意識のリアリティであり、私たちも少なからずその意識をもっているからこそ恐ろしくなりました。

ただ、本作にはそういう社会問題を説教するような作りにはなっておらず、アーネスト視点での事件の推移が、テンポ良い編集で描かれ、とても気持ちの良いリズムで家族愛と殺人が描かれていました。

曇天の日が多いオクラホマの情景を切り取る撮影は極上。音響も、今回ドルビーアトモス版を鑑賞したのですが、雨音の広がり、ハエの動きなどを的確に捉えていました。この音響は、エンドロールでも音楽が止まり、環境音のみの時間があるため、ドルビーアトモス音響の凄さを堪能することができました。

上映時間が長いし、Apple TV+製作なので近日中に配信に来るだろうから、待つのもありかな、と当初は考えてましたが、これはまずは映画館で見るべき作品でした。流石外れの少ないApple TV +作品。これは12月公開の同じくApple TV +製作、リドリー・スコット監督の「ナポレオン」も期待できるというもの。そっちも映画館に行きたいと思いました。

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