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初見で楽しめるし、TV版楽しめた人は必見!「ウルトラマンブレーザーthe Movie大怪獣首都激突」

昨年7月から半年にわたって放送されていた特撮ドラマ、「ウルトラマンブレーザー」はとても意欲的な作品でした。近年のニュージェネレーションと呼ばれるシリーズものから一線を画し、別作品のウルトラマンは一切登場しない、ブレーザー自身もほとんど喋らないなど、人類が初めてコンタクトする外宇宙人としての丁寧な描写、田口清隆監督による安定の迫力ある特撮、個性的な登場人物に、一話完結とシリーズとしての魅力的なストーリーなど、最初から最後まで画面に釘付けになって見続けていました。

そんなブレーザーの劇場版は、TVシリーズのその後を描く、大怪獣バトルでした。
宇宙怪獣と外宇宙の知的生命からの脅威を退けたSKaRDのメンバーたちは、今回地球由来の怪獣たちが頻発する災害から人々を守るミッションを行っていた。原因を探るうち、最強最悪の怪獣と対峙することになる……。

展開は、冒頭の総集編に続いて、怪獣とウルトラマン、アースガロンの激闘からの原因究明パートを挟んでボス怪獣登場、激闘と、ほぼ終始激しい戦闘の連続です。ゴジラ-1.0の感想で「ドラマ要らんから怪獣がずっと暴れていてほしい」と言っていた人はみんな本作を見るといいですよ。

CGを多用しない特撮を撮らせたら、今田口監督より上手い人はいないのではないでしょうか。総集編で映るTVシリーズの映像も、映画館の大画面にも負けない大迫力で、この部分だけでテンションはマックスでした。
もちろん映画本編の特撮も最高で。特に人間の戦闘とウルトラマン・怪獣のバトルが同じ画面で描かれる映像は、巨大さと躍動感、情報密度が最高で、大画面で鑑賞できて幸せでした。
今回の特撮で気づいたのは、ミニチュアの車にあまりフォーカスしていなかったこと(一箇所印象的に倒れていたシーンはありましたが)。
TVシリーズでは怪獣が道路を踏み歩く度に、跳ねて警報を鳴らすミニチュアの自動車が映るのですが、正直画面越しにもミニチュアとわかるスケール感で、どうしても、「ああ、特撮見ているんだなあ」とやや醒めてしまうときがあったのです。
今回の劇場版では、遠景で写ったりはするものの、TVシリーズのようにフォーカスを当てるシーンはなく、総集編でもカットしているように思えました。
クライマックスの国会議事堂での激闘でも、ウルトラマンたちの上半身を中心に移しており、そのためリアルな議事堂のセットと破壊の迫力で、ミニチュア感をほとんど感じないアクションを堪能することができました。

ストーリーで面白かったのは、隊長で主人公であるゲントとその家族の物語と、今回の事件の発端となったネクロマス社のマブセ氏の家族の関係が一つの筋としてつながっていたこと。ゲント隊長の妻が音信不通になっているミスリードも、途中から展開は予想できましたが、いいスパイスになっていたと思いました。

ざっくりネタバレしますと、今回の怪獣災害は、マブセ氏の天才息子が元凶で、彼が色々ハッキングして研究施設を破壊したことで、最凶最悪の怪獣が目覚めるわけで。映画の予告で登場する怪獣の名前が、妖骸魔獣ゴンギルガンと随分厨二病なネーミングだなあ、と苦笑していましたが、なるほど実際小6の子供が付けたらそうなるなあ、と納得感が高かったです。
今回の事件、子供が宇宙人に洗脳などされずに起こした事件としては、かなりの被害だったため、シナリオ的には賛否あるかもしれませんね。私は落とし所含め、納得はしましたが、あの親子これから大変だろうなあ、と同情的にはなりました。

そんな感じの劇場版ブレーザー。初日の観客は男の子の親子連れと大きなお友達客が半々くらいでした。子どもたちの反応はかなり上々で。結構コミカルなシーンでは笑い声もありました。

個人的には今年ベストにも残りそうな本作。もしTVシリーズ未見でも、主人公でウルトラマンに変身する隊長が家族持ちで、個性的な隊員と巨大ロボで地球を守っている、ということさえ知っていれば、あとは冒頭の総集編で説明してくれますし、映画自体もとてもシンプルな筋書きですので、血湧き肉躍る怪獣映画見たければ、ミリ知らでも見てきてほしいと思います。

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