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第一章:データ×AIが人類を再び解き放つ【勝手にシン・ニホンアンバサダー】

 週一で独学勉強会をする事にしたシン・ニホン。
今日は表題の第一章の学習と気付きを。本書で書かれている事例やデータはなるべく省き、重要なメッセージとなる「核」の部分を取り上げながら、私が感じた事(★の部分)を交えて書き連ねていきます。

第一章は「時代の全体感と変化の本質」について。

前提条件として、シン・ニホンに最も頻出する「AI」とは、

AI=計算機×データ×アルゴリズム

である事を常に頭の中に置いたうえで考えていきたい。

1.歴史的な革新期

①人類史に残る戦い
 AIと人類の歴史に残る戦い、として囲碁のステージが例に出されている。韓国の天才棋士にAIが勝つ、というストーリーなのであるが、日本では羽生名人がAIと対決した記憶も久しい。
 ここではAIに与えるデータ量とそのアルゴリズムが、人間が人生で得られる知見を圧倒できる事が述べられている。具体的に言うと、この囲碁対局において、AI(AlphaGo)はひと月の間に16万局、約3000万の局面を学習し、自己対局で局面を生み出し、その勝敗結果をすべて学習する、という芸当で対局を迎えている。ちなみに、一人の人間が毎日1局を30年続けても1万1000局程度しか経験出来ない(しかもその勝敗結果を完璧に復習する事も難しいだろう)という事だ。これでは勝ち目が無いのも頷ける。
 ただし、だからといって囲碁を人間がやらなくなるという事がないのは、産業革命後のスポーツ文化を見ても分かる通りで、それとこれとはまた別の問題である事も区別できるようにしておきたい。

②既に来ている未来
 「情報の識別」「予測」「目的が明確な活動の実行過程」はAIが得意とするところである。それぞれにおいて、様々な事例が紹介されているが、どれも相当なレベルに達してきているという事、また我々が想像しうるような事が殆ど実現可能なレベルになっているという事が語られている。
 人類が火を手にして以来、また産業革命以来、の指数関数的成長を遂げてきた歴史の繰り返しを、まさに今迎えている段階な訳である。

③指数関数的な思考が不可欠になる
 AIの技術が指数関数的発展を遂げている、という事は、あらゆる業界において指数関数的な思考が必要になる事を示している。「今は無理、そのうち出来そう」みたいな事があっという間に出来るようになり、技術的な制約で諦めるというケースが圧倒的に減る未来が見えている。
 logの思考、で分かりやすい例として、「毎日+1されるケースvs毎日+10%されるケース」の30日後は30vs11.9、60日後は60vs277、なんと90日後には90vs4830と、二か月もすれば100倍以上の差がつくという思考だ。こんな未来には期待しかない。
 
  本書曰く、人類はローマ時代の2000年前から産業革命がはじまるまで、人間の生産性は2倍程度にしかなっていないが、その後200年の間に生産性は50~100倍にもなっているという事だ。AIが生まれる以前からこの指数関数的発展は遂げられていた訳だ。

★:事例を見て分かる通り、AI×データの力の凄まじさを日々のニュースでも痛感します。これはディストピア的な物語で語られる悲観的なものではなく、人類を更なる発展(持続可能な)に導く重要なカギになるという認識を持つ必要があり、単に言葉に踊らされずその本質を見抜き、技術を使っていく事が重要だと感じています。
 データ×AIのインパクトを感じにくい業界で働いているからこそ、ユーザーとしてアーリーアダプターでいるだけでなく、様々な業界で起きる変化を常に前向きにかついち早く捉え、自分の会社や業界でもその変化を起こす側の人間でありたいなと思いました。




2.知的生産そのものが変わる

 すべての業界において、データ×AIによる知的生産が当たり前になるという事実を受け止め、対応していく必要がある。ここで言われるAIの正しい理解とは「速い計算機環境、もしくは計算機(コンピュータ)に、情報を処理したりパターン学習したりするための情報科学技術(アルゴリズム群)を実装し、最終目的に即した膨大な訓練を与えたもの」である。
 この「訓練」には膨大なデータ量が必要になり、かつそのデータの取り方が重要になってくる。どんなイシューを持ってAIを動かすがカギになる。
 本書では、データ×AIがビジネスとマネジメントにどのような影響を与えるかを大きく7つに分けて紹介している。簡単に抜粋すると、

①すべての産業がデータ×AI化する
 ・古くからある繊維アパレル産業や小売、農林業をはじめとし、例外となる業界は何一つない
 ・単なるキカイへの置き換えではなく、全く新しい未来がはじまる

②意思決定の質とスピードが上がる
 ・経営分析や経営ダッシュボード的な機能の自動化により、ほぼリアルタイムで情報が可視化され、発生データが少ない(いわゆるテール)部分も含めた特徴や意味合いまでが可視化される
 ・言語ベースの構造化さえていないデータ(通話内容など)まで蓄積される

③状況把握から打ち手まで1つのループになる
 ・「サービス価値→ユーザ利用→データ把握→アルゴリズム→打ち手の質」のサイクルが生まれ、PDCAサイクルは古いものになる
 ・システム全体のパフォーマンスを見ながら、システムそのものをチューニングする事が業務の中心になる

④集合知的なAIを作れるかのゲームになる
 ・単に膨大なデータを持っている、優秀なアルゴリズムを持っている、では何も意味を為さない。その掛け合わせが出来て初めて意味をもつ
 ・個人のプライバシーを守ることと、データをつなぐ事は切り離して議論する必要がある。GAFAやBATJといったメガプラットフォーマーが圧倒的に力を握る社会になってく(技術プラットフォーム×データホルダーが重要)

⑤マッシュアップエコノミーの時代になる
 ・どこかを握ってどこかを他力を借りるという事が必要(Uberがサービス自体をAPI化してGoogle Mapなどの外部に提供したように)
 ・何もかもをブラックボックス化して作る事で競争優位、競合の参入障壁を築く時代は終わりつつある

⑥事業および収益構造が二重になる
 ・あらゆるもののIoT化により、常に商品やサービスが学習し、変化し続ける事で、収益の機会が一時の購入だけに留まらなくなる(多くのものが、スマホのようにアップデートする余白を持つようになる)
 ・各事業者はこれまでとは比較にならないほど長い間、顧客との関係にコミットすることになる

⑦ヒューマンタッチがより重要になる
 ・キカイに出来ない人間的な接点(ヒューマンタッチ)がこれまで以上にビジネスでの価値創造、価値提供の中心になってく
 ・AI×データが得意な事は任せ、浮いた余力をヒトにしか生み出せない価値の打ち出し、ヒトにしか出来ないこだわりや温かみの実現を目指していくことがビジネスでの勝負になっていく

★:AIが人間の仕事を奪う、という短絡的な話を聞くようになって数年が経つが、具体的にAIが何か、そしてどんな事が出来るのか、を説明できる人が殆どいないと感じています。唯、日常の生活や仕事において「これ楽になったな」と感じる事が多くなっているスピードは人類史最速である事は間違いなく、「人がやるべき」事がより本質的なものになっている事にワクワクせざるを得ません。
 ビジネスにおいて、商品やサービスが刹那的な売買で終わるのではなく、人と人を長い期間つなが「モノやコト」として機能する事が出来るようになった時代では、また新しい付加価値を感じる機会にも恵まれる筈です。ヒューマンであることを自覚する機会が増える時代において、新たな哲学や価値観、アートや生き方が生まれてくる時代で仕事を出来る事に幸せを感じつつ、誰も予測できない未来を生きる私達にとって、今あるものへ感謝し、感動し、侘び寂び的な文脈を愛でる思考がより求められるのかなと思います。



3.不連続な変化はデータ×AIだけではない

①人間すらデザイン可能な時代に突入している
 2016年のノーベル化学賞におけるモレキュラーマシーン、すなわち分子レベルの大きさのキカイの研究のように、キカイは分子レベルでデザインする時代に入っている。そして2018年には遺伝子改変した胚から本物の人間のこどもが生まれた(デザイナーズベイビー)。
 ゲノム編集技術において、「天然のDtoAコンバータが地球生命である」という結論から導き出される通り、ビックデータにまつわるデータサイエンスの発展と膨大なDNAデータを扱うゲノム技術の発展には深い関係がある。

②地政学的な重心のシフト
 世界経済の中心が急速にアジア(インド、中国)に戻りつつあるという変化は、日本にとって千載一遇のチャンスであり、急速な発展を遂げる中国やインドとの関わり方も日本の明暗を分ける重要な要素になる。

★:事例が多かったので要約を大分省きました。不連続な変化、というのは私が物心ついた頃から日々目にしてきたことなので何も違和感がありません。身の回りですら目に見えて変化する時代において、世界に目を向ければ毎日のように新しい技術やサービスが生まれています。
 ここで何より気になるのは断続的な変化が起きる事です。具体的に言うと、戦争などの人災や天災。これらが起きる可能性は人類に常に付き纏っており、現代においてもそれは例外ではありません。未来を思い描く時、こうした断続要素を頭のどこかに置きながら、改めてFACT FULNESSを読んで、自分が分断本能や単純化本能に惑わされていないかを確認する必要があると思いました。そんな時、常に未来を描きながら対話できる存在が身近にいる事が財産になると思います。(私にはまだまだいないので自省しつつ、そんな環境に飛び込めるよう目の前の事に全力を注ぎたい)



4.未来の方程式

 不連続なレベルの技術革新は、単にデータ×AIで起きているわけではなく、日本が伝統的に強いモノづくり、また自然科学分野でかなり強みを持つ生物化学分野でも起きている。さらに、経済・地政学的な変化も日本にとって好ましい状況にある。一方で、SDGsで語られるような地球規模の問題も山積みであり、未来に向けて新しい変化を仕掛ける人たちにとってこれ以上な程エキサイティングな局面にある。

①変化は遥かに速く起きる
 2枚の写真が比較され、1900年のNYでは馬車ばかり走っているのに対し、1913年のNYでは車ばかりが走っている。近年でいうスマホのように、新たな技術があっという間に時代の景色を変える事は歴史が証明している。

②質的に変わる富を生む方程式
 スマホやGAFAの登場により、企業価値ランキングがこの10年で様変わりしている通り、極限的な下克上の時代に突入している。この非連続的な変化に富む局面では、「未来を変えている感」が企業価値になり、これをテコに投資し、最終的に付加価値、そして利益につながるという真逆の流れが生まれている。

③主要先進国は人口調整局面に突入
 FACT FULNESSで語られてる通り、人口増大している国も豊かさとともに人口は調整局面に突入していく。すでにシェアの大きい企業にとっては人口減少は負に働く事から、企業価値の下克上が起きやすい要因となっている。

④虚数軸が富を生む時代の到来
 スティーブジョブスやイーロンマスクのように、「妄想し、カタチにする」事が富に直結する時代。どの新しいテクノロジーをテコに社会を刷新するかという、所謂「虚数軸」での強さが大きな価値を生むカギになっている。

⑤未来の方程式
 未来とは、我々の課題意識、もしくは夢を何らかの技・技術で解き、それをデザインでパッケージングしたものと言える。つまり「未来=夢×技術×デザイン」である。
 どんな未来が創られるかには多くの道があり、我々がどのような課題に、どう技術を適用するか、そしてどんな未来を描くかにより変わっていく。

⑥デザインの新しい定義
 日本で言うデザインとは「意匠」の意味に留まりがちだが、英語本来の意味合いに立ち返る時が来ている。それは即ち「商品・サービス設計」「系・モデル設計」「意匠」までが全て一体となったものがデザインである。
 単なる技術オタクに留まるのではなく、素晴らしい世界を描き、領域を超えたものをつなぎデザインする力が、これまで以上に重要になる。

⑦「目に見えない価値」を想像し生み出せるか
 千利休がかつて行ったように、新たな価値観の挑戦(夢)とそれを形にする力(デザイン)こそが我々の未来の価値を生み出していく力になる。
 技やテクノロジーの(技術)だけではなく、人がいいなと思うであろうことを先んじて感じ、それを自分なりに表現できる力が重要となる。そして仮にそれが生み出せなくても、少なくとも識別ができるような「知覚」の能力が深く広い人が多くなる事で、街も、空間も質が上がる事になる。


★アートを好きでいてよかったと思う事が増えました。唯の知識としてのアートではなく、問題を設定する力、想像する力、対話する力(主にセルフ)、そして表現する力が養われていると感じるからです。
 本書の中で「未来=夢×技術×デザイン」という素敵な方程式が出てきますが、その要素のどれもがアートにおいて重要な事です。千利休やピカソがどんな未来を描いたのか、推し量る事も難しいですが、今に残る技術やデザイン(勿論意匠だけでない)を見る事で感じる影響はとても大きいものです。
 私は「世界中家族団らん」「誰もが居場所を感じ、夢を叶えられる世界を作る」という夢を持ってからもう10年以上が経ちましたが、まだ思い描く未来に近づいている感じは1mmもありません。その為の技術としてプログラミングを学んでいた私は、今やコーヒーや接客や店舗運営の技術を学びながら、生命科学の技術まで手を出すようになりました。唯そこに、他者の力を借りる事や、「商品・サービス設計」「系・モデル設計」「意匠」までが全て一体であるデザイン、を組み込む事が抜け落ちていました。
 シン・ニホンは第一章だけでそんな気付きを与えてくれ、本当に感謝している本です。また毎週木曜日に発信できるよう、日々の生活の中にシンニホンを感じながら頑張ろうと思います。
 また、ステイホームの中でどのように「知覚」を広げ、深めるか、という事も最近のテーマです。デジタルの中での祝祭性や、オンライン美術館に見るコンヴィヴィアリティや美しさを考えながら、五感とアート思考を研ぎ澄ませている日々です。(こうした事を対話できる相手を作るのが最優先!笑)

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