第1回 オタク川柳NO.1決定戦 店主の俳句の解説

店内で開催される毎年恒例の格付けチェック会から派生した、オタク川柳NO.1決定戦にエントリーし、店主の作品は最下位、それどころか読み解けた人が1人もいなかった。

だがそれでいい。

いかにオタク特有の気持ち悪さと難解な回りくどさが俳句ににじみ出ているかが、自分が理想とするオタク川柳である。


今回作った俳句はこれである。

其れ系譜 辰星(しんせい)落落 卯月待つ

以下意味を解説をしていく。

これは「機動戦士ガンダム 水星の魔女」の1クール目最終第12話を視聴したオタクの心情を表した俳句である。
締め切りが放映の週だったので、オタクにとってもっとも旬な話題をテーマにした。

これがガンダムの初視聴作品だった者は、厳しい洗礼を受けたことだろう。
古いオタクにとっては、当然予想できたという者、「くっそ油断した!」という者の2つに別けられると思う。

かつて機動戦士ガンダムF91を視聴したことがあるオタクは、ナディア・ロナが発した「人殺し!」というセリフに対し、ほとんどが(なにトンチンカンなセリフを吐いてるんだ?こいつはダメだな)と感じたと思うが、今回はどう感じただろうか。
 
今回もそう感じた原理主義者もいただろうが、そう思わなかった者たちは、今回はまざまざと油断であることを突きつけられたのである。
まったく同じセリフを、不快な違和感に感じなかったことに。
そして思い出す、ガンダムとは、すべからく戦争の物語であったことを。

それが一行目の、其れ系譜=それがガンダム作品の、脈々と受け継がれている系譜ですよ、という意味に繋がる。


こういうオチになると、この先の展開の予測はみんな一致するだろう。
これまでのガンダム作品と同じく、この先仲間がどんどん死んでいくのだろう、と。
それが二行目の晨星落落(しんせいらくらく)という四字熟語に繋がる。
その意味は、明け方の星がだんだん少なくなっていくように、次第に仲の良い友人がいなくなること。

それを、水星の中国名である辰星(しんせい)に掛けて、辰星落落(しんせいらくらく)とした。


三行目は、2クール目はいつなの?夏?秋?
いいえ、4月=卯月です、と、親切だがいちいち回りくどく教えるオタクと、楽しみに正座して待つ心情を表している。



ということで、完成度が高い気持ち悪い句と、オタク解説ができたので、参加できてとても満足した決定戦だった。
終わり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?