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声劇台本「先生卒業式」

恋の卒業式しましょ!

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声劇データ

✓上演時間 5分程度
✓上演人数:女性2名
✓ジャンル:友情

あらすじ

とある田舎の高校の小さな美術部。そこに在籍する杏と柚子は、クラスや属するグループは全く違うものの、不思議と気が合い、親友同士だった。どんなことも隠さずに相談していた2人だが、互いにどうしても話せない秘密があった。それは杏も柚子も、美術部顧問の小林先生に恋をしているということ。
2人はそれぞれに意を決して、卒業式の日に小林先生に告白をする。
杏は校舎裏の桜並木で、柚子は美術準備室で。しかし2人とも「ありがとう。でも君の未来は背負えない」と同じ文句で振られてしまう。

10年後。2人は互いに社会に出て、それぞれに恋愛もするが、どこか小林先生のことが振り切れずにいた。そんな中で開催された美術部の同窓会。しかし、出席者は杏と柚子の2人だけ。友人関係が続いている2人にとって、それはいつもの飲み会と変わらない光景だったが、互いにずっと隠していた先生への想いを話し始める。

――2人は、高校時代の恋から卒業できるのか。

登場人物

杏(あん):28歳。小林先生目的だけで美術部に入部した陽キャ。美術にはとくに興味はないが、イラストを描くのは得意。現在はデパートの美容部員。面倒見のいい姐御肌。
バリバリにメイクをし、ブランドファッションに身を包む派手な女性。

柚子(ゆず):28歳。絵を描くことが大好きな控えめな女の子。陰キャで基本的に友達は少ないが、なぜか杏とだけは気が合う。美術を愛し、自分に熱心に指導してくれる小林先生に淡い恋心を抱き続ける。美術館勤務。自己主張は得意ではないが、芯はしっかり持っている。
眼鏡をかけ、薄化粧。白いブラウスに黒のロングスカートなどを好む地味な女性。

―以下、直接声劇には登場しない人々―

・(小林先生):杏と柚子が在校時29歳。現在39歳。大学時代は水彩画の才能が高く評価され、将来は画家の道を歩もうとするも、怪我により断念。全くやる気のない教員の仕事をすることになる。未来に希望は抱いておらず、ただ毎日をなんとなく生きてるだけ。しかし、絵への情熱は完全に消えたわけではなく、美術部の指導だけは比較的熱心に行っていた。今現在は暗黒時代を支えてくれた大学の同級生と結婚し、真面目に美術教師として生きている。しかし多忙且つ当時の自分に良い思い出がないこともあり、同窓会には不参加。

・(橘直也):元美術部員(部長)。同窓会をやろうと言い出した張本人であり、幹事だが、急遽海外出張が決まり参加できなくなる。

・(美緒):元美術部員(副部長)。同窓会には参加予定だったが、旦那の両親の急な訪問により参加できないと連絡が入る。

声劇台本「先生卒業式」

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(SE:居酒屋のガチャガチャ音)

杏:「美術部の同窓会だっていうのに……結局参加者、私と柚子だけ?」

柚子:「うん。幹事の橘くんは仕事で急な出張、美緒さんは旦那の両親の急な突撃だって……大人になるって大変だね」

杏:「柚子だって大人じゃん。あ、小林先生は? 来ないのかな?」

柚子:「うん。元々不参加だって。さっき橘くんから連絡あった」

杏:「なーんだ、私、先生に会いにきたのにな」

柚子:「えっ?!」

杏:「柚子にもずっと言ってなかったけど、先生のこと好きだったんだ。なんなら美術部に入部したのも、先生が目的だったし!」

柚子:「だから杏みたいな陽キャが地味な美術部に居たってわけね。納得」

杏:「でも……卒業式の日に告ったら、見事に玉砕したけど」

柚子:「えっ?!」

(SE:テーブルがっしゃん!)

杏:「ちょ、どうしたの?! ビールこぼれてる!」(おしぼりでふきふきしてあげている)

柚子:「あ、あ、えっと、あの……わ、わたしも、せ、先生が好きだったの」

杏:「え?! そうだったの?! 全然気づかなかった!!」

柚子:「先生、普段はやる気なさそうだけど、一人でキャンバスに向き合ってるときはすごくキラキラしてるの。私がコンクールに出す絵を描いてるときも、熱心に教えてくれて……」

杏:「へぇ。そっかぁ。私は完全に先生の顔がタイプってだけだったけど、あのなんかちょっと影のある感じも高校生的には刺さったなー」

柚子:「分かる。高校生が大人にこんな想い抱くのも変だけど……なんか放っておけなくなるの」

杏:「そうそう! それで? 柚子は告ったの?」

柚子:「……うん。杏と同じ、卒業式の日に。一生分の勇気を使って。準備室にいた先生の後姿に「好きです!」って、叫んだよ」

杏:「結果は……? 何て言われた……?」

柚子・杏「「ごめんね。君の未来は背負えないんだ」」

柚子「えっ?!」

杏:「ハハハ! 先生って、告ってきた生徒に、みんなこう言って断ってたんだって。私も全く同じこと言われたもん」

柚子:「そうなんだ。まぁ確かに今思えば、高校生って子どもだし。相手にできないよね。そういえば、杏はどこで告白したの?」

杏:「校舎裏の桜並木。花びらが舞って、ロマンチックだったなぁ」

柚子:「卒業式の時期は、あそこの桜、まだ咲いてすらいないよ?」

杏:「そこは……思い出補正ってことでいいじゃない! ていうか、私、今まで色んな男の人と付き合ったけど、なんでか先生のことが頭から離れなくて。今日先生に会って、ハゲたり太ってたりしたら完全に忘れられると思ったんだけどなぁ」

柚子:「うっわ、酷い! でも、私もずっと先生のことを引きずってた。だから今日会えたらもう忘れよう!って思ってたのは杏と一緒」

杏:「お互い、同じ人の影を10年も追ってたなんて……さすが親友! 気が合うわけだ」

柚子:「私は別に、先生の見た目には興味ないよ?」

杏:「はいはい! てかさ、お互いもう、先生のことは忘れよう? 今日は、同窓会は辞めて、柚子と私の<小林先生卒業式>ってことにしよう!」

柚子「……うん。そうだね! そうしよう!」

杏:「よし、じゃあ改めて乾杯ね! あっお姉さん(店員さん)、生2つお願い!」

(SE:ビールがテーブルに置かれる音)

杏:「それじゃあ、私たちの先生卒業を祝して! かんぱーい!!」

柚子:「乾杯!!」

(SE:乾杯の音)

END


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