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そもそも事業所得って何なのかを考えてみました

こんにちわ、皆様と一緒に成長していく公認会計士・税理士のガッツです。

最近、副業が事業所得なのか雑所得なのかという議論が出てきています(そのあたりの所得税の扱いが一部追記されたため)。

そもそも、事業所得って何なのかという点、理解できているようでそうじゃないところもあるので、考えてみました。

1.僕が思う世間の「事業所得」のイメージ

世間の事業所得のイメージってどんなものだろうと考えた時に思いついたのが、

「開業届」を出して収入を得てたら、「事業所得」

このように区分しているような気がします。

実際の事業所得の扱いはそうではないようです。

2.それでは、所得税法上の事業とされているものとは

所得税法施行令第63条で以下のように定義されています。

 農業
 林業及び狩猟業
 漁業及び水産養殖業
 鉱業(土石採取業を含む。)
 建設業
 製造業
 卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含む。)
 金融業及び保険業
 不動産業
 運輸通信業(倉庫業を含む。)
十一 医療保健業、著述業その他のサービス業
十二 前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業

十二の「対価を得て継続的に行なう事業」というのがポイントになるのだと思います。

3.対価を得て継続的に行なう事業とはどういうものか

国税庁のページに以下のような研究活動が報告されています。

長いので、肝心なところのみ抜粋しますが、以下の要件を加味して判断するのです。

①営利性・有償性の有無
②継続性・反復性の有無
③自己の計算と危険における企画遂行性の有無
④費やした精神的あるいは肉体的労力の程度
⑤人的・物的設備の有無
⑥資金の調達方法
⑦その者の職業、経歴及び社会的地位
⑧生活状況
⑨業務から相当程度の期間継続して安定した収益が得られる可能性が存するか

どれがあればよしとか、一つでもダメならば事業所得不可とかではないため、やっかいな「実質判断」となるところが難しいところです。

4.事業所得として認められないと思われる典型例

■①⑨の要件でアウトな例
・売上が多く上がっていない
・利益が継続的に上がっていない
⇒逆にある程度の収入があり、利益があがってたらこの要件は主張できる

■②の要件でアウトな例
・一時的な収入と思われる
⇒逆に継続的に上がっているならばこの要件は主張できる

■③⑤の要件でアウトな例
・事業と関連する相応の投資や設備が存在しない(存在すると主張されても、社会的に事業との関連が説明しにくい)
・業務に伴う瑕疵担保責任や追加費用負担が他者にある
⇒逆に、事業と関連する相応の投資や設備が存在し、瑕疵担保責任や追加費用負担などが自己にあればこの要件は主張できる

■④⑦⑧の要件でアウトな例
・当業務に関する収入以外に、生活を支える給料がある(当業務は収入3百万円だが、給料が10百万円あるとか)。
・サラリーマンで週5勤務しており、当業務にかけている時間割合が相対的に少ないという外観がある
⇒逆に、生活の主の部分を当業務に依存しているとなればこの要件は主張できる(収入が低くても、当業務のみ行っていれば事業として主張できる局面もあるかと)。

5.最後に

重ね重ねになりますが、いろんな要件を総合的に実質判断し、事業にあたるかを決定することになります。
事業所得ではなく雑所得と認定されたらどういう影響があるのか、最近のこの論点における改正点については改めて説明の機会いただきたいと思います。



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