物語/現実に潜り込んでいく~小泉明郎 「縛られたプロメテウス」→ゆうめい「弟兄」→ナフーム 「Another Life」/「軌道のポエティクス」→『地獄の黙示録 ファイナル・カット』→「ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ」

きっと、偶然なのだろうけれど。ちゃんとパンデミックになった世界において、日常は自粛に侵され、現実に行くことの出来る場所は制限され、SNSは阿鼻叫喚。世間のムードから逃げるように、自粛要請をどうにか避けて、非日常の場を設け続けてくれた劇場や映画館を回っていたら、そのほとんどが物語/現実に潜り込んでいくものばかりだったという話。

小泉明郎「縛られたプロメテウス」 | シアターコモンズ'20 https://theatercommons.tokyo/program/meiro_koizumi/
VRゴーグルを使って、とある人の思考の中に潜り込んでいく。その思考は自由で、宇宙までひとっ飛び、時空も容易に飛び越えていく。しかし、その思考の自由さと真反対の"縛られた"展開の衝撃。

ゆうめいの座標軸「弟兄」
https://www.yu-mei.com/wxyz
こまばアゴラ劇場という小さな演劇空間で、作者である池田亮の記憶に潜り込んでいく。青年期のトラウマとも言える悲痛な思い出の数々。しかし、そのところどころに意図的な嘘を付く。ラストシーンの大きな嘘の衝撃。

ナフーム「Another Life」/「軌道のポエティクス」 | シアターコモンズ'20
https://theatercommons.tokyo/program/nahum/
催眠術を使って、自分自身の遠い過去と未来に潜り込んでいく。身体は現世に残しながら、魂を脳内の地下世界に飛ばしていく。2300年の未来で、僕たちは2020年の現在のことを考える。地球の、未来のあり方を考えていく。

地獄の黙示録 ファイナルカット
http://cinemakadokawa.jp/anfc/
映画館の巨大なIMAXスクリーンの中で、1960年代のベトナム戦争下のカンボジア奥地のジャングルに潜り込んでいく。リアルを超えたリアルの戦場。『1917』以上に戦場を、戦争の狂気を恐怖を強く実感。

ロングデイズ ・ジャーニー この夜の涯てへ https://www.reallylikefilms.com/longdays
現実と記憶の間を行き来しながら主人公の過去に潜り込んでいく。中盤、主人公が3Dメガネを装着するのと同時に、僕たちも3Dメガネを装着し、彼の世界に入り込んでいく。いつの間にか、僕は夢の中に居た。だから、何を書こうにも書けない。

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