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『ほら このとおり』~とりの にげかた いろいろ~

『ほら このとおり』~とりの にげかた いろいろ~

作:薮内 正幸
出版社:福音館書店

<内容>
キジがえさを食べていると……危ない! キツネが襲いかかってきました。鳥たちはいつも敵に狙われています。油断するとすぐ食べられてしまうので、それぞれの鳥がそれぞれの方法で身を守ります。キジは翼で、シジュウカラは茂みに潜り、コアジサシは反撃をして……ほら、このとおり。身近な自然を舞台に、次々と逃げる鳥たち。逃げるもの、捕まえるものが繰り広げる雄大なドラマをおとどけします。(かがくのとも355号)

福音館書店HPより


この絵本は子どもたちが幼い頃、福音館書店の月刊誌で定期購読してた時のもので、かがくのともシリーズ1998年10月号となっています。
残念ながらハードカバーでの出版がされていなかったようで、今では中古でしか手に入れることはできません。
でも作者の薮内正幸先生は、多くの児童書を手掛けていて、中でも野鳥のイラストは素晴らしく、惚れ惚れしてしまいます。

日本の野鳥シリーズは、地元の図書館で借りて、楽しんでいました。

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さて、この『ほら このとおり』ですが、子どもたちには馴染みのスズメやカラスは登場しません。
でもよくよく注意して公園や川辺などを観察していると、気付かないところで逞しく生きている鳥たちに出会うことができます。
この絵本に登場するシジュウカラやカルガモは、人間のいるすぐ側で子育てもしているのです。
そして身近な存在の鳥たちにも、人間と同じように雛や卵を守る為、敵から身を呈して守ったり、知恵を絞って生き抜く術を身に着けていることに驚かされます。
その行動の全てが、野生動物の本能からなるものだとはとても思えず、自然の厳しい中で生きていく強さと、健気なさに感動してしまいます。
それはやはり詳細で表情豊かなイラストに引き込まれているからだと思うのです。
特に絵を描くことが好きだった長男は「カッコいいね」と何度もページを捲り観察していました。

私が鳥が好きなのも、薮内正幸先生の図鑑と、この絵本に出会ったからだと思います。
小鳥が餌をついばむ仕草や、常に辺りを警戒して見渡す表情が、必死に生きていると感じさせてくれる。そして何より翼を広げて空を自由に飛ぶ姿が羨ましく、心揺さぶられるのです。
薮内正幸先生のイラストには、私の感情を体現してくれているようで、だからこそ何度見ても飽きず、心惹かれるのだと思います。



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