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『四顧溟濛評言録』

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私、雁琳が書を読み世事を鑑みる中で私かに惟うことを綴りました、中編から長編の文章を載せて参ります。「溟濛」とは薄暗く先の見えないことを指します。どこを見渡してみてもこの暗い世の中… もっと読む
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2017年12月の記事一覧

「中断」する生と加速する世界––『ゲンロン0 観光客の哲学』『勉強の哲学 来たるべきバカのために』『中動態の世界 意志と責任の考古学』に寄せて

 今更私が改めて言うまでもないことだが、現代日本では読書人口が急激に減少している。東大出版会の黒田拓也氏がTwitterで「今後の学術書の出版を考えるとき、三百部ということを基準に考えざるを得ないと思う」と呟かれていたが、殊に人文書は市場縮小の一途を辿っているように思える。浅田彰『構造と力』を片手にディスコで踊る女の子をナンパする男がいた時代とは、最早全く違うのである。しかしそんな言語文化の窮乏の

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