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『四顧溟濛評言録』

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私、雁琳が書を読み世事を鑑みる中で私かに惟うことを綴りました、中編から長編の文章を載せて参ります。「溟濛」とは薄暗く先の見えないことを指します。どこを見渡してみてもこの暗い世の中… もっと読む
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#告発権力

欲望の流す涙は何色か?−千葉雅也・二村ヒトシ・柴田英里『欲望会議 「超」ポリコレ宣言』を読んで

 ツイッターを開けば、眼にしないことのない話題というものがある。
 それは、性的欲望をめぐる話題である。
 表現規制をめぐる論争も、コンビニエロ本問題のようなポルノのゾーニングをめぐる論争も、はたまたポルノかどうかの定義論争も、ペドフィリアやショタをめぐる論争も、萌え絵の公式キャラクターやキズナアイをめぐる論争も、デートの時に男が女に奢るべきか否かという奢り奢られ論争も、結婚と自由恋愛をめぐる論争

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「告発権力」について−ポリティカル・コレクトネスという名の新たなる専制

−深夜、突然の訪問。戸を開けると黒背広に黒い外套の男達。招かざる来客に目を丸くしていたら、突き付けられるは逮捕状。「〇〇を知っているか。知っているなら付いて来て貰う」そんな人物は知らないと言うと、やにわに腕を摑まれ、「夜と霧」の奥へと連れ去られていく−

曾て、秘密警察が吹き荒れた時代があった。日本の特高警察、ナチスドイツのゲシュタポ、ソ連のNKVDやKGB、東ドイツのシュタージ……彼等は、反体制

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