「イベント運営」を演出する

研究者が発表することの演出について
いろいろと話をさせていただいた。

未公開(多すぎたのでごっそりカットした)パートが
「イベントの運営」自体の演出方法についてだ。
山田Pから「公開セヨ」との後押しをいただいたのでご紹介させていただく。

前述の演出ノウハウが、「研究者の魅力を引き出す」ものだとしたら、
こちらは「運営の能力を引き出す」ものだと言える。
ちなみに、ボランティアでの運営に関するお話です。

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タスクの共有ではなくイメージを共有する

プロジェクトマネジメントの経験がある人が、
ボランティアのチームでイベントを行おうとした場合に多く見られるのが

1:タスクの洗い出し
2:優先順位の決定
3:スケジュールの決定
4:担当者の決定
5:各タスクの進捗管理

さらに、これらをスムーズに行うために

・組織構成の明確化
・肩書きの付与

などで体制の整理とモチベーションコントロールを行うことが多い。

美しい。とは思う。
わかりやすくて迷わない。のだろう。

ニコニコ学会の運営でもそのように進めていたのだが
「これ仕事じゃないのに」「この仕事したことないのに」
という声(自分も含む)を耳にした。

効率よくタスクを分散し、
納期の中で最もよいパフォーマンスを出すために動けるのは、
それが仕事だからだ。
仕事なので効率的に動く気になるし、具体的に何をするかもわかっている。

趣味で関わりたい、楽しくて関わりたい、
しかもそれを仕事の合間にやりたいのであれば
仕事と同じベースで考えては息が詰まって当然だ。

さらに、関係者はイベントのプロではない。
全員が他に別の事をやっているので、
イベント運営においては皆アマチュアだ。

なので、
第6回ニコニコ学会βシンポジウム(@幕張メッセ ニコニコ超会議)
の運営では次のような工夫をした。

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画コンテはコンテンツ以外にも使える

イベント(シンポジウム)当日は、協力スタッフの数が膨大になる。
ニコニコ学会βでは50名以上が一気に動くことになる。
しかも当日のみスタッフ参加をしてくれる学生さん達も多数いる状況。

大所帯の舵を切る時に、よくあるのがやはりタスクベースの割り振り。
・やる仕事を決める
・やらせる人を決める
・やってはいけない事を決める
・監督する

これではバイトだ
もし僕がそんな風に仕事をやらされたら、
どうやってサボるかしか考えないぞ。
ある程度はルールと上下関係で縛ることは必要なのだが、
できればそれは「安全」「お金」の2点のみにとどめたい。

そこで画コンテでイメージを伝える事にした。
本番1週間前の全体打ち合わせ(これは全スタッフが参加する)で、
「この景色がみたい。これが見れれば成功!」
というプレゼンをさせてもらった。

この景色さえ見れれば成功なので、やり方は問わない。
例えばこんな感じ。

【入り口にはゆきりんが展示されて写真を撮ったり近づいたりしているの図】

結果はこの通り。

【ステージに人だかりができているの図】

結果はこの通り。


【ポスター横丁(ポスターセッション会場)には人だかりの図】

結果はこの通り。

達成したいゴールを妄想でもいいので形にする。
そこにたどり着く方法は各々が考えれば良い。その結果、コンテ通りに
ならなくてもいい。多様な人が集まって作り上げるイベントなのだから、
各々の工夫を組み合わせて見た事がないものになればもっと面白い。

「イベント運営」の演出においては、
タスクを共有するのではなく、イメージを共有することをお勧めする。

タスクは、イメージから生まれるのだ。

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