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『ガイズ&ドールズ』 雑録 #01

『ガイズ&ドールズ』@帝国劇場、上演中です。
ご観劇くださった皆様、ありがとうございます。

ヒロイン・サラ(明日海りお さん)の同僚で、救世軍のスネアドラム担当、アガサ役の 伽藍 琳 です。がらん りん と読みます。

ガイズのカンパニーでは、「Lin」「琳ちゃん(or さん)」と呼ばれています。四半世紀以上のお付き合いの先輩や仲間は「ガラン」と呼び捨てで呼んでくれて、それもまた嬉しいのです。

パソコンは得意ですがスマホの文字打ちが苦手な1970年代生まれ。SNSについていくのが精一杯な上に、上手にパパッと文章を書けない性分で、Twitterの140字でさえ何度も書いては直しをしてしまう…。(書き始めると長文になり、まとめるのにエライ時間がかかる…汗)

ガイズが始動してから書き留めておきたいことが山ほどあったのに、SNSをなかなか更新できずの毎日でした。

▼かろうじて初日の翌朝に書いたインスタがこちら

noteは初めての投稿です。どうぞよろしくお願いします。

前置きはここまでにして、、、


稽古中から、初日が開いてランニング中の今もなお、袖から自分の出ていないシーンを見つめる度に、あぁここはこんな風になっていたんだ!と新たな発見があり、マイケル・アーデン氏が散りばめていった、粋で緻密な演出に感動する毎日です。

作品を創る側としても、表現者としても、これ以上ないくらい沢山学ばせていただいています。

マイケルの抜群のセンス、繊細さ、それゆえの気配りのパーフェクトさ。
演出そのもののみならず、稽古進行の仕方、カンパニー一人一人を尊重しながらベクトルを同じ方向に束ねていくhow to…等、穏やかに、でも妥協せず、自らの信じる演出プランを実現させていくマイケル’sスタイルを間近で体験できたことは、本当にラッキーでした。

今回私は役柄上、振付のエイマン・フォーリー氏とは密な関わりがなかったのですが、彼の大胆さやこの作品にかける熱意、ジャズダンスでもシアターダンスでもない、エイマン独自のムーブメントが演出と相まって世界観を構築していく様を見ていて、彼の姿勢やアイディアからも沢山の刺激をいただきました。

(実は私はエイマンが子役で出演していた2004年の『アサシンズ』をブロードウェイで観ています!当時のPlay BillのWHO’S WHOページには、「大人になったら振付をしたい」と書かれていました。見事、しかも国を越えての日本での夢の実現、素晴らしいです!)

装置のデイン・ラフリー氏の発想や色彩、細部へのこだわりの巧みさは、観てくださった皆様はきっと存分に感じていただけたと思います。
(デインの装置については改めて書きますね)

そして、海外スタッフの要求に応えながら、クリエイター自身のアイディアを最大限に盛り込んで作品を彩る、日本側クリエイティブスタッフとテクニカルスタッフ、制作スタッフのみなさん。

舞台仕込みから初日までの1週間は、想像を絶する大変さだったと思います。ブロードウェイではプレビューも含め少なくとも2週間以上かけてじっくり確認と修正を施していく作業、しかも帝劇の舞台機構をふんだんに使っての、危険も伴う大仕事を、たった1週間で。

また、そうして出来上がったルーティーンを日々、間違いのないように粛々と準備し、上演中も、終演後も、すべての関係者の安全第一で、作品クオリティを維持すべく尽力してくださるランニングスタッフのみなさん。

先日、我らがスカイ・井上芳雄くんのナビゲートで第75回トニー賞授賞式が放映されましたが、作品賞が発表された直後、会場にいる授賞したカンパニーの全員が壇上に集合する時の、あのわちゃわちゃ感、私、あの光景を見ていていつも、とっても素敵だなぁと思います。
叶うことなら、2022年東京版『ガイズ&ドールズ』の上演に関係した全員が舞台上にわちゃわちゃ集合する姿を、お客様に見ていただくチャンスがあったらなぁ、なんて思ってしまいます。

まだスタッフの方々のことしか書いていないのにもう1500字超えてしまいました!

ブラニガン警部補のカズさん(石井一孝さん)に迫る勢いか!?
(いやいや、足元にも及びません…)

▼いつもインスタの制限文字数 2200文字いっぱいに、面白くてタメになる、カンパニー愛溢れる記事を発信されている、石井一孝さんのインスタ
今日の記事はこちら


ちょうど2クール目が無事終わったところで、関係者に陽性反応が確認され、本日6/21昼夜、明日6/22昼の公演が中止となっています。

観劇を楽しみにしてくださっていた皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいですが、万全の状態での再開を、私たちも心の底から願っています。

今朝の情報番組の街頭インタビューで、「コロナを理由に飲み会や帰省を断ることが、もはや難しくなってきた」などという声が多く聞かれました。世間一般ではそのくらい、コロナへの警戒や関心が薄まっているようですが、舞台業界ではまだまだ厳格なコロナ対策が続いています。

演出のマイケルは、舞台上で起こることの真実味を何より重要視し、稽古中に「pretend(=フリをする)しないでほしい」と何度も言いました。

「見せかけでない、俳優間で生まれている真のコミュニケーションを感じ取った観客は、舞台上で起こっていることを自分自身に投影させ、過去、現在、未来の自分の人生に思考を巡らせる。そうした観劇体験は、観客一人一人がより豊かな人生を送るきっかけとなり得るし、演劇の存在意義はそこにある。」

デルタ株が猛威を奮い、舞台稽古でさえもマスク着用、楽屋の化粧前は一人ずつビニールシートで区切られ、稽古場や劇場舞台の床に直に座ることも控えましょう、という究極のコロナ対策で臨んでいた頃。とある別のカンパニーから、「ソーシャルディスタンスを取るために、抱擁シーンや殺陣のシーンはカットして作品を作る」という話が飛んできたことがありました。結果、演出家の判断により、公演自体が中止となりましたが、英断だと思いました。

舞台作品は密集・密接こそが魅力の芸術ですから、それを制限しては成立しません。
と同時に、人の命より大切なものはありません。
コロナ感染が人の命を脅かしているうちは、頻繁で定期的なPCR検査はやはりマスト、致し方ない、と思っています。

すべての人がコロナに左右されることなく日常を送れる日が一日も早く来ることを、心より祈ります。


出演者やオーケストラのみなさんについては、次回、熱く語ります!

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