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『ザ・ミュージック・マン』 雑録 #01

『ザ・ミュージック・マン』、リハーサルの日々はあっという間でした。
稽古場を後にし、まもなく劇場入り。怒涛の舞台稽古DAYS@日生劇場 に入ります。

素敵な楽曲が盛り沢山なことも、それらの音楽と心を打つドラマとが巧みに融合した、ハートウォーミングな名作なことも知っていましたが、稽古場でいつだったか、パルー家のシーン、ヒロイン=マリアン(花乃まりあさん)と、その母ミセス・パルー(剣幸さん)のやりとりの小返しをした時に、演出のダニエルがマリアンの人物像について新たな解釈を提示して、それによってストーリーが一段と厚みを増したことに、私、感動してしまいました。

いわゆる「ボーイ・ミーツ・ガールの恋物語」とか、「主人公や彼らを取り巻く人たちの成長物語」とかの言葉では括れない、もう一歩先に進んだ思考や希望、人間愛が詰まっている…! 今、私自身のこの作品への愛情が、何倍にも膨らんでいます。

詳しくは、今はまだ書かずにおきますね。


舞台は1912年アイオワ州の田舎町リバーシティ。頑固で偏屈な町の人々は、突然やってきた音楽教授=実は詐欺師のハロルド(坂本昌行さん)の力説「町を悪い遊興から救うため子供達にマーチングバンドを!」に騙され、楽器や制服の先払い金を渡してしまいます。

さらなるあらすじは公式ウェブサイトをご覧いただくとして、

私はというと、”ゴシップおばさま枠” として、市長夫人(森公美子さん)の友人4人衆の一人、アルマ・ヒックス役を演じています。

どの町にもいる、噂好きのご婦人達。超絶早口のゴシップソング「Pick-A-Little, Talk-A-Little」でハロルドにマリアンの陰口を吹き込む、面白い役どころです。

我々は色モノ担当組。感動のアクセルを踏むのは他のメインキャラクターにお任せして、初日までに自身の役をもっともっと肉付けできたらと思います。

今回は全場面のお衣裳を、衣裳デザイナー 前田文子さんに新調していただく幸運に恵まれました。文子さんは、台本から各役の性格や背景を読み取って衣裳に反映してくださるので、役作りが何乗にも拡がります! 衣裳・ウィッグを付けての劇場での舞台稽古が楽しみです。

坂本くんを筆頭に個性豊かなキャスト陣は、子役やスウィングも入れると総勢42名。ベテランの大先輩から小学3年生まで、あらゆる世代が混在した大家族のような賑やかさです。

個性炸裂のメインキャラクターのみなさんの色鮮やかな演技。Teens役のアンサンブルのみんなや子供達が繰り広げる、大ダンスシーン。みんな本当に素敵です!

早くお客様に観ていただきたい思い半分、あと1ヶ月稽古したい気持ち半分。

演出のダニエル・ゴールドスタイン氏はとても朗らかで、俳優の喜劇的な演技に対していつも一番に大笑いしてくれます。純粋な子供のように作品構築を楽しんでいることが伝わってくるので、稽古場はプラスのエネルギーで満ちていました。

振付のエミリー・モルトビー氏は今回が初来日。振付における細かなこだわりや、フォーメーションが次々と展開する計算されたステージングの妙が、流石!です。ステージング中のストイックさと裏腹な、合間に見せる素のエミリーはとてもキュート。上手く行った時誰よりも喜んで、私たちのテンションを上げてくれます。

そして、稽古場に常駐し、二人のクリエイティブな要求に魔法使いのように鮮やかに応える日本側スタッフが、正にプロフェッショナル! 今、おそらく夜を徹して、仕込み作業をしてくださっています。

お客様の目に見えるのはキャストの姿だけですが、本当に大勢の才能と愛に溢れたスタッフの皆さんに支えていただいて作品創りが成り立っていると、実感します。

『ザ・ミュージック・マン』日本リバイバル版の開幕を、私たちも楽しみに舞台稽古に突入します。
4月11日@日生劇場初日から5月28日@博多座大千穐楽まで、無事完走できることを、どうぞ一緒に祈っていただければ幸いです。


音楽評論家の中島薫さんによる1年ほど前の記事ですが、『ザ・ミュージック・マン』の作品解説。興味深い話が読めますのでぜひ!


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