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スーパーと廃棄


廃棄を考える

以前の記事でノープラ生活チャレンジをしていて、お買い物ができない事にストレスを感じている。
その理由はスーパーの売れ残り(翌日には廃棄されてしまう商品)を少しでも購入したいから・・。
といった内容の記事を投稿しました。

未だ食べられるのに廃棄されてしまう食品。
これはスーパーに限った業態だけでなく、農業、飲食店など様々な業態でも起こっている事実です。
食品を加工する為には当然、エネルギーが使われています。
農業、畜産業、製造加工業などでもエネルギーが使われ、輸送にも使われ、最終、小売りでも包装したりしてエネルギーが使われています。
そんな環境にも一定悪影響を与えている商品が期限(ここでは賞味消費の概念については問いません)が切れたという理由で廃棄されています。
以前、環境活動家の方の講演を聞いた後、親睦会の席でスーパーの食品廃棄について話題になり、内情を伝えたところ
「くだらない」
と一蹴されました(涙)
随分前のことですので、今、同様のお話をするとこのような回答が返ってくるかどうかはわかりませんが。
もちろん、一蹴されるべきは、作る側も買う側も廃棄を良しとしない文化形成が重要で、そんな小売りでは買ってはいけない、といった感情が入っていたのも事実です。
では、いつも食品を購入に行っているスーパー(小売り)を思い浮かべてほしいのですが、買い物に行って予定していた商品がことごとく売り切れていたらどうですか?
次買い物に行きますか? 行って、その次も品切れしていたら?
品切れを機会損失をいいますが、品切れをすることによって本来売り上げになっていた機会を損失してしまっているんです。
食品小売りでは

売上ー仕入原価=粗利益

という簡単な計算式がありますが、この売上には

売上=通常価格売上+値引売上

という期限間近になり値引きして売れる売り上げも入っています。
この計算式に入っていないのが廃棄金額です。
廃棄金額は廃棄後に登録することで、廃棄率(ロス)を計算して粗利益への影響を確認します。
(実数で例を出していないので分かりにくいかもしれませんが)

細かいことは抜きにして、事前に廃棄金額の計画をたて、早い時間に売り切れないようにするちょうどいい廃棄金額予算を立てる必要があります。

スーパー小売で働く人はその廃棄予算に合わせて、値引きを行い、店によっては閉店間近に来店された方がお買い物できる最低限の品揃えを確保しているのです。



恵方巻きや年越しそばなどの廃棄の問題点


最近のネットニュースで話題に上げられるスーパーやコンビニの廃棄問題。

特に皆さんの記憶に残っているのが恵方巻きや年越しそばではないでしょうか?

消費期限が短く、来店された方の大半が購入される商品のため、品切れさせることは大きな機会損失です。
廃棄ロスは部門や業態によっても差はありますが3%程度です。
つまり、恵方巻きの廃棄は1本500えんの巻き寿司を来店2000名のお店で1500本売れるとして750000円の売り上げになります。
(値引き金額はあえて考慮しません)
3%の廃棄ロスを考慮すると22500円の廃棄予算となり、45本巻き寿司を捨てることになります。
これを1本も捨てないようにしよう!と考えると品切れが起こる。。
そういうことなんです。

恵方巻きや年越しそばなどは来店の多いタイミングで、大量に仕入れ(作成)するため、予想通りにいかないことも多々あります。

予測を立てる際に、曜日周り(平日だと巻き寿司、週末だと手巻きセットなど)、競合店の状況(近くに新しい店が出店したなど)、気温や天気、トレンドなど様々な状況を考慮して仕入れや作成数を決めますがドンピシャにハマることなどまずありません。

発注したり、関わっている人間からすると、今、自分が買わなければ明日には捨てられてしまう商品を買いたくなるのは必然のような気がします。
必要かどうか?で買う買わないを決めるのではなく、もったいないから買っっているのです。

近年の廃棄悪ブームから、できるだけ売り切るようにするため、値引きを早めたり、最終まで残す商品数を少なく選定したりする努力は続けています。

モラルとロス

では、残った商品(廃棄される商品)を従業員や近所の方に(必要な人に)配るのはどうでしょう。
この考え方は私もスーパーに配属になり泣きそうになりながら廃棄をしているときに聞いた覚えがあります。
廃棄商品を従業員に配るようになれば、従業員が自分の店でお買い物をしなくなる。お客様が買い物をする基準の中でかなり重要度の高いのが店の従業員が自分のお店で買い物をしているかどうか?だと教えられました。
また、考えたくありませんが廃棄商品を持って帰って良しのルールにすると、わざと廃棄が出るように発注や値引きをコントロールする従業員が出てくるかもしれません。
つまり、廃棄はもったいないからみんなで持って帰ろう!の文化は、店の中のモラルを低下させるのです。
海外では(西欧)、食品の小売や飲食店に廃棄をさせない為に残った物を福祉施設や子ども食堂に提供しなければならない・・といったルールがあるそうです。
日本でも一部のスーパー、小売では行っていますが、賞味期限が切れるまでお店で販売しているため、切れた商品を渡すことには抵抗があり進んでいないのが実情です。
小売では管理基準という仕組みがあり、トータルの賞味期限で切れる何日前には売り場から撤去しなければならない(2/3の場合もあります)といった独自のルールを設けているところもあります。
管理基準切れについては賞味期限まで期限があるため、福祉、子ども食堂などで活用しやすいと思われます。


これからの廃棄ロス削減

コンビニ各社は廃棄問題に対して予約販売を始めました。
スーパーでも始めているところは多いのですがコンビニは店売りの数を極端に減らして、とにかく予約中心に変えてきました。
これは廃棄ロスの削減に繋がると思います。

当たり前にくる人口減、売り上げもそれに合わせて減ってくる時代が既に来ています。
供給制約の時代に合わせた商品化や予約システムを構築し現在の販売方法と合わせて徐々に変更していくことが必要だと思います。

例えば、単価の高い恵方巻きを全て予約に切り替え、リーズナブルな予約と当日販売どちらもOKの通常の恵方巻きを品揃えして、本当に食べてもらいたいこだわりの恵方巻き(予約オンリー)のお知らせを徹底的に強化するという方法も考えられます。

ネットスーパー、EC、移動販売車など時代のニーズに合わせて様々な販売方法ができていています。

廃棄ロス廃棄ロス予算という考え方からアップデートする時期は既に来ているのだと思います。



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