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4月



3日間、
初めてこの場所にお客さまをお迎えしました


この秘密の工房で
お客さまをお迎えするにあたり
ほんの少し、きちんとした部屋を
不思議な気持ちで眺めていました


私が13歳のあの日から毎日勉強していた場所


ランドセルを卒業したら
突然、大人になる日が見えてきて

早く何かにならなければいけないような
そんな焦りと
何になれば良いのかわからない
何にもなれないかもしれない
きゅっと胸が締め付けられるような
そんな気持ちをたくさん感じた部屋でした

自分の価値、というか
証明のような、
誰かに認めてもらえる、役にたつ大人に
ならなければいけないと
13歳の私は強く感じていたのでしょう

あの日の私に会えたなら、

そんなことないよ、
元気に楽しく毎日のんびり過ごせていたら
もう、それだけで良いんだよ
楽しく幸せに生きてさえいれば
いつの日か、
夢中になれることにも出会えるし
素敵な人にもいっぱい出会えるから
何も焦ることないんだよ

と、声をかけてあげられたら
よかったなぁ

まさか
この部屋で、
お菓子をお客さまにお渡しする日がくるなんて
想像もできなかったでしょう

隣の部屋が秘密基地になるなんて
思ってもいなかったでしょう

生きていると、
こんな不思議な気持ちになることも
あるんですね

皆さんが帰られた部屋を片付けながら

押入れをとっぱらって
大きなフランスのテーブルを置いて
焼きたてのお菓子をたくさん並べて
手に取ってもらえたら楽しいだろうなとか

なんだかわくわく
楽しかったです


でも、やっぱり
狭いかなぁ


来月もまた
この秘密基地で、静かにお待ちしております


gâteauglacé
玉野

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