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【映画レビュー】大金払ってやることは怪獣プロレスという愛すべきバカ映画「ウルフマン」

時は2010年、ハリウッドは混迷の時代にあった。

何しろシュワちゃん州知事は政治家としては大失敗、ネタ切れは深刻化して新しいスターが不在の状況であった。(これは今もそうか)

何せ前後の年のリーマンショックやハリウッド脚本ストライキなど様々なことが目まぐるしく行われていた。

実はこの時代からユニバース物の基礎はすでに出来上がっており、アイアンマン2はほんのりのちに繋がる「キャプテンアメリカ」や「ソー」の存在を臭わせ現代に至るMCUことマーヴェル・シネマティック・ユニバースを結成しようとしていたのだ。

本作のウルフマンは恐らくそれを見習うべくこれらをきっかけにユニバーサルモンスターを現代風にアレンジした作品を飛ばそうとユニバーサルは模索していたのだろう。

1941年の名作「狼男」を現代風にリメイクした本作ではオリジナルのタルボット家をそのまんま登場させることに成功している、このことからオリジナルを大事にした映画化にしていたのであろう。

ところがどっこい、時は2010年。

この時代のハリウッドはとにかく売れる物がなくドン底状態であった。

映画業界自体もイマイチでこの年に出た映画といえば・・・今となってはもう誰も何も覚えていないようなぐらいに影が薄いそんなどん底状態にあった。

そんな中、ベニチオ・デルトロとアンソニー・ホプキンス二大スター共演で描かれた人狼親子の愛憎劇を描いた本作は全く鳴かず飛ばずで大コケをしてしまった。

批評家からも総スカン状態で興業もダメダメ、ぶっちゃけた話失敗作であった。

でもねえ、自分的には実はかなり大好きな映画なんだなこれが・・・・。


あらすじはもはや近代といえないほど産業が進んでいた1880年代のロンドン、没落していた貴族の息子である主人公のローレンス・タルボットは弟が行方不明になったと知り故郷に帰ってきたがそこで人狼に噛みつかれてしまい、人狼になってしまう・・・という身もふたもないような映画である。

(人狼が出てこないシーンがとても単調で、退屈だ。本作が売れなかった理由はそこにあるのだろう。)

やがて、人狼としての血の呪いや食人本能に悩みながらも弟は死んでいる事、それらの影に父が関係しているということを知るのであった。

そんな感じで大体眠たい話が続いていくが、本作で描かれる狼男は結構オリジナルの要素を残しつつもアレンジされたカッコイイモンスターになっている。

何せ演じるのがベニチオ・デルトロなのでどこかセクシーなのも味がある。

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やがて、すべての黒幕は父親であったことを知り父に戦いを挑むタルボット・・・。

なんと父親もまた狼男だったのだ!


そして、父のベンを演じるのはアンソニー・ホプキンスである。

ただでさえ何をしなくても怖いアンソニー・ホプキンスが狼男なんだからもう勘弁してくれ…パパ…という感じだ。

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さあ、人狼同士が二体揃い始まるのはなんと親子同士の殺しあい怪獣プロレスであったのだ!!!


まだ特殊メイクなどがギリギリ残っていた世代であった本作のCGを極力割いた怪獣プロレスは実に見ごたえがある。

何よりもベテラン俳優二人が「ウガー!!!」「ガオー!!!」といい合いながら殺し合う絵は中々爆笑物である。

父親の人狼は息子よりもはるかに強く、苦戦する主人公であったがなんとか勝利し…この呪われた運命を終わらせるため死を選ぶ…というところでオチがつく本作。

ユニバーサルスタジオは「ロストワールド」や「ヴァン・ヘルシング」のようなたまにトチ狂ったような怪獣映画を作るが、本作はその典型例だろう。


まあ、ぶっちゃけ退屈な本作だがこの名優二人そろってバカをしている光景は中々見ものであるぞ。



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