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【悪役】帰ってきた素晴らしき悪役列伝 第16回 「モハメド・ハッサン」

プロレス団体「WWE」に登場。

2003年からWWE下部団体で活動していたが、2004年からWWE一軍の「RAW」にデビューをする。

マネージャーにはイラン人のデヴァリを従えているが、彼とタッグを組むこともしばしばあった。

キャラクターとしては典型的な反米ヒールで、「自分たちはアメリカで生まれ育ったのに周囲から差別されている!」とわめき散らすアラブ系アメリカ人の悪い意味でのステレオタイプを演じている。

と書くと道化のように見えるが…しかし、中々強くジョン・シナやアンダーテイカー以外からはほぼ負けることはなく終始強いままで終わった中々珍しいレスラーである。

やがて、ハルク・ホーガンやジェリー・ローラー、サージェント・スローターといったベテランから、クリス・ジェリコやバティスタといった当時の大物と抗争を行うが中々負けることはなく終始白星を抑えながら進んでいく。

おまけに実況であったジム・ロスやジェリー・ローラーを痛めつけるという凄惨な行為も行っていた。

その際にはアメリカを批判するマイクアピールを必ず添えるようになっていった。

2005年のロイヤルランブルでは念願の出場が叶うが、その際には善玉悪玉そろってのリンチにあいボコボコにされて敗退するという醜態にさらされてしまっていた。

その後、スマックダウンに移ると…当時の番組の主役であったアンダーテイカーとぶつかりあうことになるのであった。

アンダーテイカー相手には流石に苦戦し、敗北寸前までいったギリギリの際にマネージャーのデヴァリに命じて覆面のイスラム戦士をを多く呼び寄せてほぼリンチの状態でアンダーテイカーを倒すことに成功する。

しかし、その後「グレート・アメリカン・バッシュ」の中でアンダーテイカーによって仲間ともども逆にボコボコにされてしまい…最終的には入場ゲートからラストライドを喰らい大惨敗を喫した。

彼はこれを最後にWWEから去ってしまった。

大体の場合は強さ設定がその場で入れ替わりしたり、悪役から善玉に転向したり逆転するケースが多いのに対して、ほとんど悪役=ヒールのまま、おまけに強いまま最後まで活動して引退した珍しいレスラーでもあった。

したがって彼をこの記事企画で登場させることにした。

と、書いてみると・・・・何かおかしいことに気が付きませんか?

そう、完璧にステレオタイプなキャラクターである。

あなたがもしもプロレスラーだとしてこんな道化じみた悪役の役回りを引き受ける事ができるだろうか。

当時、イラク戦争まっただなかであったアメリカの中では実はイスラムに対する嫌悪感が非常に強くあったのだ。

イスラム系の血があった彼はそんな中、この役回りを受け取らざる負えなかったのだろう。

なんというか気の毒である。

彼がWWEを去った2005年にはロンドン同時爆破事件もあり、モハメド・ハッサンのキャラクターは出せなくなってしまったのだ。

幸か不幸か、彼は強いヒールであり続けてそのキャリアを終わらせてしまったのである。

おまけに最後はあのアンダーテイカーによって処刑である。

試合自体も結構見ごたえがあり、中々面白い話になっている…。

さらにいうと、おかしな話でこのようなキャラクターを無理矢理演じていた彼はバックステージでも激しいヘイトにさらされひどいいじめにあっていたそうである。

というのも、彼のフィニッシャーであったキャメルクラッチをこの技の開発者の息子であるエディ・ゲレロの断りに使ったことで「プロレス裁判」にかけられ20万円近くの罰金を払うはめになったそうだ。

エディ自身はモハメッド・ハッサンの好きに使用してくれといっていたが、周囲のレスラーはそう思わなったらしい、特にジョン・ブラッドショー・レイフィールドは。

彼のいじめに積極的に加担したのはあのJBLであったのだ。

時はながれ、WWEから去ったハッサンは教師にジョブチェンジを果たしていた。

良くも悪くもこういったレスラーはもう出てこないだろう。

そんな彼に敬意を表するとともにこの記事を書き記したい。


陰湿性:A(アメリカを罵倒、実況解説陣にすら激しい暴行を加えた)

頭脳:A(勝てなくなったときには相手をリンチして攻撃するなどの策謀も考えていた)

強さ:S(ジョン・シナやアンダーテイカー以外にはほとんどクリーン負けをすることはなかった)

主張:S(アメリカ人は自分たちを差別している)

人望:A(マネージャーのデヴァリや自身の信徒は忠実だったが、レスラー仲間からは演劇内外でも嫌われていた)

権力:C(所詮は一介のレスラーに過ぎない)







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