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【悪役】帰ってきた素晴らしき悪役列伝 第15回 「加藤保憲」

映画「帝都物語」「帝都大戦」に登場。

旧日本軍兵士の姿をした謎の魔術師であり、そのオカルトパワーは尋常ではなく関東大震災すら起こしてしまうほどの実力がある。

元々「帝都物語」シリーズは原作小説が別にあるが、本作で加藤を演じた嶋田久作の圧倒的ビジュアルの影響で原作者をして「加藤というキャラクターは私と嶋田久作さんが作り出した」といわせてしまったほどである。

嶋田久作さんふんする加藤は邪悪で強く冷酷であるが、どこかエロティックでありまなざしが色っぽい独自のキャラクターをしている。

人食いカラスや暴れる仏像など…数多くの魑魅魍魎を操り何度も何度も帝都を襲うその様は恐怖を通り越して尊敬すら覚えてくる。

もはや彼は人間ではなく怪獣か何かだと思ったほうがいいかもしれない。

中国にも信者がいるようなので、実力だけではなく組織運営能力も実はあったりする。

オカルトパワーだけではなく運動神経や生での戦闘でも非常に強い。

また執念深く、日本を非常に憎んでおり、何度も何度も滅ぼそうとするがそのたびに失敗している。

第一作目「帝都物語」では明治時代の日本にその姿を現した。

日本に眠る最強の怨霊である平将門をよみがえらせようと腐心するが、将門の魂には「蘇らせるな」「関わるな」とあしらわれ逆に痛い目にあうなど散々な目にあっていた。

しかし、それでもあきらめることはなく今度は中国にわたり…そこから関東大震災を起こし多くの人間を死に追いやってしまう。

それでも将門は甦らないことに業を煮やした加藤。

そして日本に戻ってきた加藤は日本最強の霊能力を持った辰宮家に目をつけ、彼らを利用し将門をよみがえらせようとするが失敗…とうとう息を引き取った…かに見えたが…実は生きており、エンディングに彼らしい軍人が通るところで映画は終わる。

ちなみに加藤に戦いを挑む陰陽師一行の一人に桂三枝が加わるが、これがまたかっこいいのだ・・・。

と、ここまでが第一作。

第二作となった「帝都大戦」でも彼は出てくるのであった。

時代はうつり、第二次大戦中の日本を舞台にした「帝都大戦」では…戦災で死んだ人々の怨念のエネルギーを吸収し蘇る。

ただでさえ米軍の爆撃に苦しみ疲弊している日本政府を前に「帝都を破壊する」と懲りずに宣言する。

空気読めよ・・・・。


対処すべく雇われた大日本帝国お抱えの霊能力者の青年である中村はコレを妥当するべく立ち上がるが・・・・。

前作では将門に一蹴された姿はどこへやら、若造霊能者の中村に格が違うことをどうどうとみせつけフルボッコにのしてしまうのであった。


調子に乗った加藤は高笑いをしながら叫びだす。


「身の程をしれぇ!!!」


ここの加藤はすさまじくカッコよく、演じる嶋田久作さんも相当ノリノリだったんだろうな・・・という感じが伺える。


しかし、前作で死闘を繰り広げた辰宮家の娘である辰宮雪子(霊能力者である中村の恋人)が戦いに参加すると戦況は一変してしまう。

二人の愛の力の前に加藤の怨念の力はあえなく散ってしまうのであった・・・・。

ちなみに本作では霊能力を使い、連合国指導者を死に追い込むことで、大日本帝国を勝利に導こうと軍部が暗躍をしていたが・・・主人公中村の上司である観阿弥光凰(演じるのは丹波哲郎である)はヒットラーを暗殺してしまうのであった。

長いこと続いた小説「帝都物語」と違い、本作はたった二つで終わったしまった。

後に豊川悦司が別の作品で加藤を演じていたが、これは大失敗。

迫力がなく、ただ淡白な怪人に終わってしまっていた。

嶋田久作さんがまだ動けるうちに三作目をやってほしいものである。


陰湿性:S(関東大震災を引き起こしたのはこいつ)

頭脳:A(様々な魔術・呪術に詳しく、策略にも長けている策士)

強さ:A(魔術のみならず体術にも長けているが、将門には勝てない)

主張:S(帝都を壊す!!!)

人望:A(部下からの信頼は絶大的で、国外にも信者が多い)

権力:A(所詮大組織の親玉ではない)



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