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地図上から消えた島々とフリスランドの話

古い時代の地図には、結構な確率で「フリスランド」という島が描かれている。
ニコロ・ゼノという人物が有名になりたくてこの島の存在をでっち上げた、というのが通説だ。
今も昔も、目立ちたい、有名になりたいと思う人間の欲求は変わらず、時として手段を選ばない、という点も酷似している点に注目したい。

19世紀になり、一帯を調査するまでこのフリスランドの伝説は続いた。
当然、ウルバーノ・モンテの描く1580年代の平面地図にもフリスランドは存在している。

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そしてフリスランドは様々な地図に描かれる。

フリスランド周辺

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ここで気になるのは、結構なでまかせででっち上げられた島だということは理解できるものの、その書き方だ。
余りにも緻密ではないだろうか。
拡大してよく見ると、妄想とは思えないほどに詳細に仕上げられている。

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拡大どころではない。
より詳細に描かれたフリスランドの全景には、湾や入り江、半島名、岩礁、離れ小島、いくつもの都市の名前がより丁寧に振られている。
よくぞ無からこれを生み出したものだ。
感嘆せざるを得ない。

とはいえ、グーグルアースにて海底の地形を確認してみると、確かにそれらしき地形を見ることはできない。
無いものは無い、と念を押されているかのように殺風景な地形が広がっている。
しかし私は疑り深い。
地形などの「操作」はその手の人々にとってはお手の物ではないか。
広範囲に亘ってフィルターがかけられている地図に、どれほどの信頼を寄せることができるのだろうか。
しかし。

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上の切り抜きは、ある日のフライトの状況だが、これを見る限り間違いなく飛行機はフリスランドの上空を飛行している。
どうやら誤魔化しがきかない状況のようだ。

それでもそうした島の存在は紛れもなく事実に基づいているものもあると思う。
イギリス近海に目を移してみたい。

幻島1

そして別の古地図。

幻島

これらを見比べてみたい。

幻島4

古地図上の三つの島はかつて存在していた。
しかし現代は見ることが出来ない。
島として海面から見えていたが、後に見えなくなった。
これは何を意味しているのか。
もしこれら、すなわちグーグルの提供する海底地形が正しく、古地図の描写が適切であった場合、三つの島は何かの理由で海底に隠れることになった。
三つの島を海底に追いやるほどの「何かの理由」とは何だったのだろう。

そこには、割と深刻な世の中の激変があったのではないだろうか。
ゆっくりと、いつの間にか消えてなくなった、というものではなく、なすすべもない速さで「何かの理由」が訪れたとしたら。

世界各地にある「唐突で苛烈な変化」の痕跡は陸海分け隔てなく、間違いなく存在している。

映像版も作製しました。
テキストと併せてご覧いただければと思います。




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