見出し画像

1450年 タルタリア

過去の記事でイタリア人、ウルバーノ・モンテが描いた16世紀の世界平面地図に関するものを書いた。
今回はさらに遡り、1450年の地図に関連することを記事にしたいと思う。

画像1

キャプチャ1

この地図を一見すると、また平面地図かのように思ってしまうが、よく見るとただ輪郭が丸く切り取られているだけだと気づくだろう。
さらによく見ると、我々が知っている地図とは違い、上下が逆になっていることにも気づく。
北極が下、南極が上、というようにだ。
さらによく見ると、アメリカ大陸とオーストラリア大陸がないことにも気づく。
おそらくこの時代にはまだ確固たる証明が為されていなかったからに違いない。
しかしこの時には既に両大陸には巨大な文明があることは周知の事実であり、如何に欧州の人種たちによって世界の歴史が創造されていることに思い至ってしまう。
これは思いのほか恐ろしいことではないか。

キャプチャ

上はユーラシア大陸北部の拡大図だが、どうだろう。
我々の知るものとは全く違う景観が広がっている。
現在何もないと思われる場所には多くの街が建設されている。
それに伴い多くの人や物の移動もあっただろう。
それほどに活気が溢れている世界だったということだろうか。
それにしても広く石造建築物が広まっていたようだ。
作者の願望か、それとも真実か。
これが真実であるかどうかはさておき、こうした話が地図製作者に伝えられている、ということだ。

この地図製作者の意図通りの世界が過去にあったとしたらの話だが、もしかすると現在、土に覆われている大陸の下には多くの石造りの建築物があちこちに埋まっているのではないだろうか。
見栄をはるだけでこのような大層な「嘘」を地図上に記入するものか?
するかもしれないが。

キャプチャ8

上は極東、つまり日本付近を拡大したものだ。
そして日本列島と思われる個所を見つけたのだが、注釈には思い切りジャワとある。
どうやらかつての日本などはジャワの一部と考えられていたようだ。

キャプチャ2

キャプチャ3

キャプチャ4

次いでアフリカを見てみたいと思う。
興味深いのは、大陸のあちこちにエチオピアの文字があることだ。
アフリカにおけるエチオピアの影響が大きく描写されている。
そしてサハラ砂漠などは存在せず、そこにはいくつもの街が描かれている。
やはり現代、教えられているアフリカの歴史とは、何かが大きくかけ離れていると言わざるを得ない。

キャプチャ5

更に上のイラスト中央には「ナイル川が勢いよくこの山を流れ落ちている」というようなテキストがある。
これはつまり当時の人々が早い段階からナイル川の源流を把握していたことになる。

キャプチャ6

これにはいくつかのピラミッドが描かれている。
三つの大きなピラミッドがあるが、これがいわゆる「ギザの三大ピラミッド」を描写したものかはわからない。
このピラミッドの横に簡素な文章が書き込まれている。
「ピラミッドは穀物倉庫として知られている」というような意味らしい。
これは実に不思議な記述だと思う。
ピラミッドといえば、巨大な墓所に他ならない、というのが現代の認識のはずだ。
しかしこれには「倉庫だ」とある。
当時の認識を書いているのか、それとも?
こうしたことが正しいかどうかは別として、この時代にはピラミッドの役割というものがこのように伝えられていた、ということだろう。
だが、ピラミッドの中に何かを入れておくと腐敗しない、というようなことを聞いたことがある。
もしかしてこの記述もそうしたことを説明しようとしているのか。
ならばこのピラミッドの腐敗神話も、すでに数百年前から知られていたことになり、現代でも実践すべき食料の保存方法なのかもしれない。

キャプチャ7

黒海とカスピ海に挟まれた場所に、タルタリアの説明が書いてある。
しかも割と重厚なテキスト量だ。
残念ながらこれらのテキストの詳細はわからない。
なんとかわかるのは、白文字のタルタリアのほうだが、そこには「アジアとヨーロッパ、及びアフリカとヨーロッパの軍事的な分断について」の何等かの意見が書かれているようだ。
なぜこのことがタルタリアの説明に必要なのだろうか。
勿論、関係しているからこその記述なのだろうが、よくわからない。
それにしても二つに分けてまでの詳細な記述だと思う。
それほどに当時からデリケートな話題なのだろうか。

思うに、これらを読み解いてみても、結局のところ当時の人々の歴史観を自身に置き換えることが不可能な時点で(例えば参考にしている歴史そのものが違っていたとして)すべて誤訳となってしまうような気がする。
現代と過去ではすべての価値観が違う、これを埋めることが出来ない以上、解読を試みても根本から異なる認識では当時の人々の思いを推し量ることすらできないのではないか。
そう考えると、現在の歴史認識を後世に遺すことが、殊更重要なことのように思う。

この記事の映像版を作製しました。
併せて見ていただけたら幸いです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?