「フルメタル・パニック！Family」が発売された。
　まあ今回は雑誌連載で無理のないペースで書かせてもらってるので、これと言った苦労もなく、でもまあ、いつも通りくらいにはウンウンいって、仕上げた感じだ。

　おもな対象読者は原作やコミックをある程度読んでるか、アニメを一応見ているか、くらい。
　原作を最後まで読んでなくても、まあキャラが分かれば大丈夫じゃない？ 程度か。
「アナザー」は読んでなくても困らないが、読んでるとうれしいネタが随所にあるよ、と。
　ご新規さんには……すいません、ちょっと不親切です。
　できれば長編1巻と短編1巻だけでも読むことをおすすめする。
　大丈夫！ さらっと読めちゃうから。もうそれが売りで25年やってるようなものだから。

　それでまあ……
　フルメタ世界の現在を書いていて、気づいたことなどをつらつら書いてみようか。
ネタバレもあるので注意。

　年齢や変化の話。
　18歳とアラフォーの違い。
　育児や挫折などを経験して、人間的な深みやら何やらを備えたり、経験値を活かした仕事のやり方を身につけたりはするのだが、それ以外は大して変わらないかもしれない。
　そういえば悪役のガウルンは35歳くらいのイメージなのだが、宗介の方が年上になってしまった。
　もし今の宗介とガウルンが話しても、あまり会話の内容は変わりがなさそうな……いや、どうかな。
　流石に宗介は経験値のおかげで、心理的に動揺することは少なくなりそうだ。
　今の宗介にガウルンをどう思うか聞いてみたら面白いかもしれない。
　否定的なことは変わらないだろうが（当たり前だ）が、対等以上の目線になって、子供も持って、それでガウルンを思い返すと「あー、あいつかなりダメ人間だったな……」とか「なんかもう、三〇過ぎてああいうことしてたって……終わってないか？」とか冷静にドン引きしそうな感じか。
（まあガウルンは「悪役」という舞台装置としての機能があるので、いまの目線でそんな風に言っちゃうのはちょっとフェアではないけど）

　かなめもアラフォーになってあんまり変わってない……ようでじんわり変わっている。
　宗介よりもむしろかなめの方が変化が大きいかもしれない。
　まずガサツさや乱暴さは抑えめにしてある。
　当世風に、というのもあるが、年齢相応に、という方が大きいか。
　それから二児を育てて大病も患った後なので、落ち着いた……というかちょっと疲れた感じにもした。
　三話の冒頭の独白で、妊娠検査薬で陽性だったところから一瞬で17年過ぎてしまった……とあるが、これはわりと実体験である。
　賀東は男だしまだ17年はたっていないが、なんか子供ができてから人生の体感速度が切り替わって、あっという間だった。
　交友関係も変わった。
　なんかあの辺（恭子や瑞樹との関係の変化）は生々しいのでやるかどうか迷ったが、とりあえずやってみた。
　ネガティブな変化ではなく、自然な、ライフスタイルの変化でもある。
　賀東も高校時代の友人とはほとんど会わなくなった。
　地理的、社会的（専業主婦と経営者とか）に生活圏が違うと、自然とそうなってしまうのだ。
　それは悪いことではないと、個人的には思っている。

　いろいろな変化もそうだが、いまだにドンパチをやっていることについて、いろいろ思う人もいるだろう。
　原作でああいう風に終わったのだから、二人には平穏に暮らしていてほしい……というのはもっともな話だ。
　その辺りはなるべくストレスの無いように気を使っている。
　ドンパチはあるが、苦戦はしない。
　無双状態にしている。
　宗介とかなめ、その他のミスリルキャラはレベルカンスト状態だと思ってもらえればいい。
　今シリーズの主眼は強敵との苦しい戦いなどでは無いので、そこはもう、安心してほしい。
　それにほら、かわりに大金持ちにしてあげたから。
　たぶんYouTubeで紹介されてるようなン十億円の豪邸も持ってるよ、あいつら。
　そう思えば、ほら、ちょっとくらい襲撃されても可哀想じゃないでしょ（暴論）。

　まあ、そんなこんなで。
　また作品の話は書くかも。書かないかも。決めてない。

（おしまい）