読書感想文 探偵は絵にならない (森晶磨 著)
殺人はない。犯罪者を追うわけでも、追われるわけでもない。
この本は、スランプのただ中にある画家の青年が、ほんの少しの謎から始まる感傷的な4つの短編を収録している。探偵はいない。きっと、絵にならないから。
濱松蒼は浜松の高校を卒業する直前に、彼女・フオンを連れて画家になるために東京に出る。フオンはダンサーを目指す。蒼は画壇にデビューして注目される新人になるものの、すぐに落ちぶれる。フオンは少しずつ認められつつあるものの、思ったようには活躍できない。そして10年。ある時、突