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スプラトゥーンのゲームデザイン~インクによるエリアコントロールの可視化~

1. はじめに

今回は、前回のスプラトゥーンの記事に書き忘れた
スプラトゥーンのゲームデザイン(インクまわり)がエリアコントロールをしやすくしている点を見ていきます。

→バンカラマッチの『エリア』の攻略法ではありません!
本記事では、エリアコントロールに関してはエリア、
バンカラマッチのルールに関しえては『エリア』と表記します。

この記事でわかることは、以下の2点です。

  • 対人ゲームの基本は陣取り合戦!

  • インクが複雑なエリアコントロールを視覚化し、直観的にわかるようになっている!

2. エリアコントロールとは

エリアコントロールとはエリア理論とも言い、対人ゲームにおける考え方の一つです。
自分もしくは自分たちのチームが保持している、もしくは優勢なエリア
を広げていくことで、相手より優位に立てるといった理論です。
また、エリアを保持し、広げていくための行動を指すこともあります。

加えて、この記事では自身のエリアを把握することで、敵の不意打ちにやられるリスクを抑えることができるなど、相手にやられにくい立ち回りができるという文脈でも使用します。

FPSゲームにおけるエリアコントロールについては、上記のサイトを見ていただくと理解できるかと思います。

FPSで有名なエリアコントロールとですが、シューティングゲームに限定されず、ストラテジー系のゲームやMOBAなどのタイトルにも関係します。
格闘ゲームのライン管理も同様の考え方ですね。
また、アナログゲームの囲碁や将棋、チェスなどでも同様の考え方はあると思いますし、陣取り合戦と捉えると、ゲームとなる元ネタは実際の戦の戦術から来ていると思います。

3. スプラトゥーンのエリアコントロール 

この章では、スプラトゥーンのエリアコントロールが他のタイトルと比較して視覚的に分かりやすいため、直観的にできる点を説明します。
ここまで読んでいただいた方は想像がついていると思いますが、
スプラトゥーンでは、インクの色がエリアコントロールをサポートしています。

下の画像は、任天堂公式のスプラトゥーン3のナワバリプレイ画面です。
青と黄色のインクの境界によって、お互いの保持しているエリアが分かれていることがわかります。
「相手のインクのある所は警戒する」というプレイする基本となる要素が
初心者のころから自然と学べるようになっています。

図1:https://www.youtube.com/watch?v=sdI6COLDMEo&t=76s

自分もそうだったのですが、スプラトゥーン始めたて(特にスプラトゥーンからシューティングを始めた方)は相手チームが全落ち(戦線に誰もいない状態)していても相手のインクを警戒しながら少しずつ塗り進んだ経験がある方はきっといるかと思います。
それは、「相手のインクのある所は警戒する」という大前提に従って行動しているためです。

実際は、インクの他に相手の位置や、相手の武器の射程、スペシャル状態などの複合的な条件で自分達の保有するエリアと相手の保有するエリア、中立のエリアに分かれます。

これを解決してくれるのがWipe Out!の仕様です!
この文字さえ見逃さなければ、
「今だ!攻めろー!」と初心者の方も戦線を上げるタイミングをつかみやすくなっています!また、この言葉が出るとシンプルに士気があがり、気持ちいいですよね。

図2:https://gamewith.jp/splatoon3/article/show/362979

4. Valorantとの比較

次に、同じシューティング(TPSとFPSの違いはありますが)のvalorantのエリアコントロールと比較して見ていきます。

下の図3は、valorantにある1マップ、アセントのミニマップを攻め側、守り側のそれぞれのチームが保有しているエリアと中立のエリアを塗り分けたものです。
注目してほしい点は、攻め側の青色に塗られた部分です。
プレイヤーを示しているのは赤い丸で、プレイヤーが顔を出して斜線を通せる部分が青色の攻め側保有エリアとなります。

図3

valorantだと、実際には色が塗られているわけではないですが、
スプラトゥーンだと青色の部分が自チームのインクの塗ってある場所と言い換えられます。

この状態から、各プレイヤーが図4のような経路で移動し、図5の状態になります。

図4
図5

画像の左側の青かった部分が黄色の中立(どちらのものか分からないも込み)のエリアになったことがわかりますね。
青矢印のように、相手のプレイヤーがプッシュしているかもしれないからです。

この状態で攻め側のチームが左側へ展開しようとすると、下の図6のように
敵プレイヤー(青い点)がいる可能性を考えながら移動する必要があります。足音を立てて移動してもよい?クリアリングを細かくしたほうがよい?
スキルを使って索敵する必要がある?など様々な要素を考えながら移動する必要があります。

図6

しかし、スプラトゥーンでは、自分達の塗ったインクがそのまま残っていれば、「基本的には相手はいない」ことになります。
そのため、エリアコントロールのために判断しないければいけない要素を
簡略化し、不慣れなプレイヤーでも遊びやすくなっているのです。

おわりに

今回は、スプラトゥーンとValorantを比較して、
インクがエリアコントロールをわかりやすくしていることがわかりました。

対人ゲームのデザインを行う際に、陣取り合戦に見立ててゲームのデザインを行うことは重要なことだと思いますので、これからも様々なゲームのエリアコントロールがどのように行われているかを注視していきたいですね。


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