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S-202 パルテノン首像(ラボルトの頭部 )Head of Iris

石膏像サイズ: H.55×W.28×D.37cm(原作サイズ)
制作年代  : 紀元前447~433年頃
収蔵美術館 : ルーブル美術館
作者    : フェイディアスの監修
出土地・年 : パルテノン神殿 17世紀末

パルテノン神殿の西側破風彫刻を構成していた彫像の一部で、虹の神イリスの姿を表しています。西側破風彫刻のテーマは「アッティカの土地をめぐる、アテナとポセイドンの争い」で、中央のアテナと対峙するポセイドンの右側の2頭の馬のそばに立つのがイリスです。この頭部は、17世紀末にヴェネツィア総督であったフランチェスコ・モロシーニ(Francesco Morosini 1619-1694)の秘書サン・ガッロによってヴェネツィアにもたらされました。1685年、オスマントルコとの戦闘でギリシャのアクロポリスの丘を包囲していたモロシーニの率いるヴェネツィア軍は、容赦のない砲撃をパルテノン神殿に加え、致命的なダメージを与えました。さらに彫像類の略奪をおこなったことが判明しており、この「ラボルドの頭部」もその時にアクロポリスの丘から持ち去られたものと推定されています。その後19世紀になって、フランスの政治家・考古学者のレオン・ド・ラボルド(Leon de Laborde 1807-1869)が購入(1846年)し、ルーブル美術館の収蔵品となりました。

※2017年9月までの版では、この彫像を「ポセイドンの妻アンピトリテの姿」としていましたが誤りでした。ルーブル美術館、アクロポリス美術館の双方が、最新の考古学的知見に基づいてこの頭部をイリス像の一部と断定しているため訂正しました。

ルーブル美術館収蔵 「ラボルドの頭部」 現在の展示の様子 後世の修復・補足部分を除去 (写真はWikimedia commonsより)


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