雷鳴 キノコ雲のした

雷鳴

粛々と進むディナー
テーブルを縁取る一群の夢
頭上には瞬く帚星
麻痺した魚に垂らすイエロー
海上には藍色の蓋につぶされつつある舟
扉のない明日
見つめる少年の目
宇宙を包含した声が
料理のあいだに飛び交っている


キノコ雲のした

楼の屋上から零れるピンク
スクランブル交差点には名前がない
迷い込んだ鹿の虚ろな瞳
地平からきこえる鈴の音は小さく
高架線下に吸収された光は遠く
邪な薫りと
心の底から震わす涼
過去の堆積のうえ
砕けたガラスと愛を

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