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誰かに話を聞いてほしい

元家族が出て行った。
これから夜が来る。

食欲はまったくない。
なにも食べたいと思わない。

憔悴してる。
不謹慎だが、面白い。

このおれが憔悴してる。

そんなこともあるんだな。
こんな経験、なかなかできないぞ。


おれは今すごく弱気になってる。
誰でもいいから、話を聞いてほしい。

いままでは、なんだかんだ、
元妻がおれの話を聞いてくれていた。
しかしもう彼女を頼るわけにはいかない。

とっさに、実家の母親の顔が思い浮かんだ。

おれと母は昔からずっと仲が悪くて、
今もソリが合わなくて、
話なんかしたくないのだけれども、
母は事情を知っているから、
おれの話を聞いてくれるかも?

いや、だめだ。


彼女は黙ってられない。
おれの話を聞く前に、
「ああしろ」「こうしろ」
と自分の気持ちを押し付けてくる。
そんな人だ。

ああ、おれもそういうところ、あるかもしれないな。

弱っている人は、アドバイスが欲しいんじゃないんだ。
ただ、自分の気持ちを「うんうん、わかったよ、そうなんだね」と聞いてほしいだけ。それだけが望みなんだ。

おれはここ数年で今一番弱っていて、
だからこそそのことに気づくことができた。

元家族と別れてよかった。
自分の知らない気持ちを知れてよかった。

もっと弱い人に寄り添える人になりたい。
なっていきたい。


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