下戸だが、暑い夏はビールの気分だった。 今巷には数々のノンアルコールビールが出回っている。 湿度と暑さに1日耐えた後、パッッカン!とプルタブを開ける音と、シュワシュワと弾ける炭酸はたまらない。 下戸なのでコーラでも癒されるが、今時のコーラはたいがいペットボトルである。 シャワーでさっぱりしたところへのパッカン、喉を鳴らしてゴクゴクと飲んだ後の「あ"ーーー!」は、ノンアルビールでこそだ。 そんなノンアルビール党の私だが、このところの急な秋の訪れに、家人が飲む日本酒に目が行っ
会った人すべてに「酒豪」だと思われるが、ひどい下戸である。 ヤクルトほどの量のビールを飲んだだけで動悸がして右手に持つ箸が落ちる。そしてガタガタと寒気がしてくる。生粋の下戸である。 しかし家族は無類の日本酒党で、毎晩何某かの日本酒が食卓に上がる。 今夜は瑠璃色の酒瓶だ。爽やかな透明感。ラベルの字もモザイク柄で洒落ている。 「無濾過瓶燗火入れ」と。 濾過しないのはわかった。金属フィルターでコーヒーを入れた時のようにほんのり何かが沈澱しているのかもしれない。 燗火入れ