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光触媒

光を当てることで汚れを分解する、キレイにしてくれる。
一般的にはこんなイメージでしょうか?
十年以上前に流行った時期があり、光触媒効果を謳う製品がたくさん出てきました。
ただ、その多くは「使い方を本当に知っているのかな?」と首を傾げてしまうものでした。
そして、現在もそういう商品をたくさん見かけます。
光触媒に限った話ではないのですが、とても残念です。

光触媒とは何かをざっくり説明すると、光によって化学反応を促進する物質のことです。
実際には様々な種類が存在しますが、実用化されているもののほとんどが酸化チタンです。
そのため、酸化チタンにフォーカスしてお話しします。
酸化チタンは紫外光を浴びると、表面から電子を放出します。
電子が出ていった部分は正孔というホールになります。
この正孔は強い酸化力を持っています。
そのため、水中に存在する水酸化物イオンなどから電子を奪って酸化します。
すると、電子を奪われた水酸化物イオンは、とても不安定な状態(OHラジカル)になります。
このOHラジカルが周囲の有機物を攻撃し、結合を切断します
有機物の分解が進むと、二酸化炭素と水になるんです。
これが光触媒(酸化チタン)が汚れや有害物質を分解する仕組みです。

さらに、酸化チタンには超親水性効果というものがあります。
紫外光を照射することで水に馴染みやすくなり、酸化チタン表面に水が膜を張るようにして広がります。
そのため、建物の外壁に酸化チタンをコーティングしておけば、雨で定期的に洗浄が行われ、キレイな状態を長期間保つことが可能です(実際に使われています)。

ここまでの説明でお分かりと思いますが、十分な光触媒効果を得るには紫外光と水が必須です。
室内の蛍光灯やLEDでは十分な効果を得られません。
太陽光かブラックライトが必要です。
水がなくてもラジカルを発生させることは可能ですが、その効果は微々たるものです。

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