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熱可塑性樹脂と「おゆまる」

熱湯に入れると柔らかくなるプラスチック「おゆまる」
玩具やアクセサリーなど、工夫次第で色んなものに使えます。

以前投稿した記事はあっさりしていたので、改めて詳しく解説します。

「おゆまる」は、80℃以上の熱湯に漬けると柔らかくなり、粘土のように自在に形を変えることが出来ます。
80℃以上だと手で触れませんが、50℃付近になってもすぐには硬くなりません。
熱湯から取り出し、水分をふき取るときだけ注意すれば大丈夫です。

今回使ったのは24個入りです。

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ラメ入りのものは綺麗ですね。
温める前でも弾力があり、力を入れると写真のように曲がります。
硬いゴムのような感じです。

熱湯(90℃)に入れて約3分で柔らかくなります。
80℃以上の熱湯でないと柔らかくならないので、気を付けて下さい。

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触らなくても、一目で柔らかくなったことが分りますね。
割りばしなどでお湯からだし、タオルやキッチンペーパーで水をふき取ります。

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ベタベタするので、タオルや箸にくっつくことがあります。
お湯から取り出した直後は熱いので、くっついても素手で触らないようにして下さい。
おゆまるは水をはじくので、軽く拭くだけで大丈夫です。
そして、80℃未満になってもしばらくは柔らかいままです。
焦らずに変形させて下さい。

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こんな風に、とても柔らかくなり、形を自在に変えることが出来ます。

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二色のおゆまるを混ぜても良いですね。
青と黄色を混ぜれば黄緑色になります。

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とても柔らかいので、型取りにも使えます。こんなふうに、ビー玉を押し付ければ丸い型になります。
ただ、おゆまる同士はくっついてしまうので、紙粘土など、他の材料の型として使って下さい。

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こねて丸くすればスーパーボールになります。
ラメ入りの綺麗なボールになりました。
シリコーンの型で作っても良いですね。

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そこそこ弾みます。
写真は30cm程度の高さから落としたので、あまり弾んでいません。
思ったより大きな音がしたので、それ以上はやめておきました (^^;)

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なんとなく作ってしまったので、よく分からないものになりましたw
「おゆまる」で検索すれば、シリコーンの型を使った作例がたくさん出てきます。アクセサリーや食品サンプルなど、色んなものがあります。


「おゆまる」はポリエチレンという高分子で出来ています。
このようなシンプルな構造をしています。

スケッチ-195 (2)

炭素の4つの手のうち2つが炭素同士の結合に使われ、残り2つは水素と結合しています。
数ある高分子の中でも、最もシンプルな構造をしています。
そして、ポリプロピレンと並び、最も広く使われている高分子の一つです。
成分表示にはPEという略称がよく使われます。
ポリプロピレンの場合はPPですね。

ポリエチレンには低密度ポリエチレン高密度ポリエチレンがあります。
弾力があることと、80℃付近で軟化することから、低密度ポリエチレンだということが分ります。
高密度ポリエチレンは耐熱性が高く、110℃付近で柔らかくなります。

以下の図のように、「おゆまる」は80℃以上に温めると結晶構造が崩れ、柔らかくなります。

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冷えると再び結晶化し、硬くなります。
分子が規則正しく並んだ場所が結晶領域です。
球晶という結晶部位も存在しますが、球晶は強固なため、温めても簡単には崩れません。

このように、温めることで柔らかくなる樹脂を熱可塑性樹脂(ねつかそせいじゅし)と呼びます。
反対に、温めると硬くなる樹脂を熱硬化性樹脂と呼びます。

また、樹脂がゴム状態から硬いガラス状態になる温度をガラス転移温度(ガラス転移点)と呼びます。
ポリエチレンのガラス転移温度は-125℃です。
そこまで冷やすと柔軟性を失い、カチカチになります。
ガラス転移温度よりも高い温度になると、再びゴム状態に戻ります。
ポリプロピレンなどの他の高分子にもガラス転移温度は存在します。
ただし、ガラス転移温度=軟化温度のものや、軟化温度がないものもあります。ないというより、柔らかくなる温度=融けて液状になる温度(融点)のことが多いです。

おゆまるは低密度ポリエチレンの軟化点を上手く利用した製品だと思います。
触ってみることで「あれに使えるかもしれない」と思いつくことがあるので、どんなものか試してみるだけでも良いかもしれませんね。
クリアのみの商品もあります。
あと、稀に100円ショップで3,4本入ったものが販売されています。


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